少陰病の調整
まずは少陰の異常を認めることが何よりも重要です。
異常を認めないのに治療はありえません。
意外に異常がどこにどんな状態で存在しているのかを目標にできていないのに症状だけを目標にして治療をしていくことが多いように思います。初心者のみならず、ベテランでもそういう見方をしてしまいます。症状は様々な問題の結果ですから、その症状だけを改善させようとしてもはじまりません。絡んだ糸を一発で解くようなものです。そんな方法はありえません。どこが糸の端になっているかを見つけ出さないと糸はほどけません。
東洋医学は、症状に対してのアプローチではないと言われていますが、その基礎となっているのは、陰陽表裏虚実寒熱や気水血という考え方でしょう。基礎を頼りに解決の糸口を探していくのが東洋医学のやり方です。
例えば昨日の例のように頭痛があって、背中がパンパンで少陰病の異常があることがわかりましたが、これは100%少陰病が問題ではありません。
層状に異常は存在しているので、背中がパンパンになっているのは、1対1の関係ではなく、1対多が基本です。一つの答えだけしかないと思ってパンパンになったところをグリグリと揉んだり叩いたりしてもはじまりません。
昨日の例では、少陰の処置をし、反応がとれると、背中全体が(特に左)柔らかくなり平坦にはなりますが、グニャグニャにはなりません。他の問題が考えられるということです。
1つ2つの問題なら良いですが、5つも6つもあると、どれが、その時点で主役か決めるのも大変です。そんなに簡単な作業ではないことは治療してみればわかります。
それで騙されるのが、この方法をやれば全ての症状が改善する!!
みたいな文句です。あれは絶対にやめて欲しい。キチンと観察すれば、そんなふうには絶対になりません。マーケティングですから仕方がないと言えば仕方がないのですが、そんなことを言う方が怪しいと思われるのではないかと思います。