ねこらむ、18回です。
2021.06.13 16:39
公言していることのひとつに「ドライヤー」がある。
これは私がこの世でいちばん好きな家電のこと。
洗面所に一台、リビングに一台。
布団の中にもう一台。
とにかくドライヤーが好き。
仕事の帰りに、自転車で顔から転んで鼻の下を5針縫った日の夜。
痛くて寒くて冷えきった布団の中でドライヤーの電源を入れたとき、こんなとこに天国があったのかと涙が出た。
こんなはずじゃなかったのにな。
昔、彼氏に髪を乾かしてもらうのが好きだった。
感謝を表す意味で、乾かしてもらうときは必ず正座をし、自分のへそを見るようにこうべを垂れる。
私の正面で彼があぐらをかきながらドライヤーをあててくれてるときも、不覚にもここを天国だと思ってしまった。
ちょっとでも油断したら、余すとこなく崩れる気がした。
ネコは、風呂が嫌い。
そして風呂のあとのドライヤーはもっと嫌い。
濡れた体毛にドライヤーを当てようとする私から逃げ回り、人間の手の届かないところに逃げては、鬼の形相でこちらを一瞥し、延々と体を舐めている。
自分が好きなものを、
相手が好きとは限らない。
気づかないうちに、自分の「普通」や「常識」を相手に強要していることに気づいたときにはもう遅かった。
許してとは言わない。
でも変われた姿を見せることができたなら。
今日も、ドライヤーを持ってニヤニヤしてる私をネコは怪訝な顔でじっと見ている。
もー。かわいいんだから。
最後まで読んでくれてありがとうございました。
舞草香澄
↓舐めて乾かす派のすこやか。