「宇田川源流」 「富士山噴火」がまたマスコミで話題になり始めたことに対する「備え」と「呆れ」
「宇田川源流」 「富士山噴火」がまたマスコミで話題になり始めたことに対する「備え」と「呆れ」
私が小学生の頃であったが、富士山が大爆発するといって、テレビでに時間の特集番組などがあった。現代で言えば、オカルトやサブカルチャーといったカテゴリーの番組だったと思うが、あのような番組をやって視聴率を稼げていたのであるからのどかな時代であったのだと思う。
富士山の噴火で記録に残っている新しいものは「宝永の大噴火」といわれるものであり、江戸時代中期の1707年(宝永4年)に起きた富士山の噴火である。噴煙の高さが上空20kmと推定される。火山爆発指数VEI5のプリニー式噴火と大量の火山灰である。実際に100 km離れた江戸にも火山灰が積もった。ただし溶岩の流下は見られていない。地下20km付近のマグマが滞留することなく上昇したため、脱水及び発泡と脱ガスが殆ど行われず、爆発的な噴火となった。
で、このような話の中で、1983年相楽正俊なる人が、「富士山大爆発」という本を書いて、その内容がにわかに信じられるというような結果になったのである。何しろ1983年9月15日に富士山が大爆発するというような本を書いたのである。冒頭に書いたのは、その本をもとに、テレビが特集するというような番組だったと記憶している。そこまでやりながら、結果はまあ、皆さんのご存じのとおりである。まあ、あの当時から、日本の言論の自由は「無責任」であるから、まあ、それだけ騒がせておりt、全く何もないという感じである。翌日のワイドショー(当時からあった)でも、何事もなかったように話をしていたのが印象的であった、
当時たぶん中学生であったと思うが、「頭が悪いなあ」というような話題になった。ちなみに、その三年後、伊豆大島の三原山が噴火をする。私の同級生二人が、わざわざ学校をサボって撮影に行って、大変な目に遭い、様々な所に迷惑を開けたのであるが、これは、富士山の噴火とは関係がない。
何かあれば、「富士山の噴火」ということをすぐに言うのであるが、残念ながら、噴火をしたことは宝永の大噴火以降300年ないのである。
富士山は“噴火スタンバイ状態”と専門家 2021年は世界でも噴火多発
古くから人々を魅了してきた富士山の美しい稜線は、幾度もの噴火により山頂から吹き出したマグマが緩やかに積み重なった歴史の産物でもある。数万から数十万年をかけて現在の姿となった富士山は、いま新たな大噴火の危機を迎えている。
「富士山は300年ぶりの大噴火に向けた“スタンバイ状態”に入っています」
そう語るのは、火山学の権威で京都大学名誉教授の鎌田浩毅氏だ。2011年の東日本大震災をきっかけに、富士山地下のマグマに影響が及んだという。
「東日本大震災で富士山の地下20kmにあるマグマ溜まりが揺すられ、噴出しやすい状態になりました。その4日後、3月15日には富士山の地下14kmで地震が起こり、マグマ溜まりの上の岩盤が割れた。この2つの条件が重なり、富士山は噴火しやすい状態に入ったのです」(鎌田氏)
2021年は世界中で噴火が多発している
4月25日、鹿児島・桜島が、上空2300m超まで立ちのぼる噴煙を伴って噴火した。その瞬間、雷鳴のような爆音が轟き、近隣住民は背筋を凍らせた。今年は海外でも噴火が相次いでいる。2月にヨーロッパ最大の活火山であるイタリア・エトナ火山、3月と5月にインドネシア・シナブン火山が噴火。5月22日のコンゴ・ニーラゴンゴ火山の噴火では、30人以上が死亡、5000人以上が隣国に避難した。
富士山は有史以降、記録が残っているだけでも10回以上の噴火を重ねている。そして、次の噴火のきっかけになるとみられているのが、マグニチュード(M)9.1と予測される南海トラフ巨大地震だ。
「1707年、南海トラフを震源とするM9クラスの宝永地震が発生し、その49日後に富士山の宝永噴火が起きました。南海トラフ巨大地震が起きたら、発生から約1か月後に富士山が噴火する可能性があります」(鎌田氏)
政府の地震調査委員会は南海トラフ巨大地震について「今後30年以内に70~80%以上の確率」で発生するとしているが、鎌田氏は「2035±5年、すなわち2030年代には必ず起こると考えるべき」と警鐘を鳴らす。その日は、確実に迫っている。
※週刊ポスト2021年6月18・25日号
2021年06月12日 07時05分 NEWSポストセブン
https://news.nifty.com/article/domestic/society/12180-1107002/
さて、ある一定の期間をおいて必ず富士山大爆発のうわさが出てくる。ある意味で「オオカミ少年」と同じになってしまうという感じだ。ある意味で「南海トラフ地震」「相模トラフ地震」と合わせて、「いつ起きてもおかしくはない」けれでも「なかなか起きない」ということであり、なおかつ「起きれば甚大な被害が想定される」ということになる。この内容は「終末思想的なカルト宗教」が好きなタイプの状況であり、ある意味でその内容を信じるにしても、その終末思想的なカルト宗教に与しないようにしなければならないのである。
さて、富士山というのは休火山であり、基本的にまだ死んだわけではない。木曽御岳山の噴火でもわかるように、ある意味で噴火はいつ起きるかわからない状態にある。そのことを考えれば、噴火そのものに関して何か備えなければならない。単純に「恐怖」に駆られてしまっては最大の問題であり、カルト宗教の餌食である。その意味で上記の記事を見ていると、ある特徴がある。
「今後30年以内に70~80%以上の確率」で発生するとしているが、鎌田氏は「2035±5年、すなわち2030年代には必ず起こると考えるべき」と警鐘を鳴らす。<上記より抜粋>
さて、見ていただいてわかるが、実際に「何が起きるのか」「どのような被害が予想されるのか」ということは全く見えていない。それにもかかわらず「起きるから備えろ」という。本当に「いたずらに恐怖をあおっているだけで具体的にどのように備えるべきか」「今何をすべきか」は書いていない。日本のマスコミというのは、本当に無責任にあおって、あとは知らんふりである。これでよいのかということを思う人はいないのであろうか。
単純い「富士山の噴火」という場合、そもそも溶岩が東京に来るようなことはない。つまり、「火山灰」と「天候不順」であろう。火山灰は、金属を含む灰であることが明らかになっているので、電磁波など発生し、コンピューターや発電設備がおかしくなる可能性がある。また、鉄道や自動車の事故などが発生する場合がありまた吸い込めば健康に問題が出る可能性がある。冷静に考えれば、そのようになるはずである。しかし、上記の記事では突然に「地震」の話が出てしまい、そのまま「噴火の被害予想はしない」と言うことになってしまっているのである。
まあ、「備える」ことは必要である。しかし、「どのような被害を想定して、その被害に対してどのようなものを備えるのか」ということが重要であり、なおかつ「被害の想定を超えた場合にどのような方針で行動をするのか」ということが重要であることは間違いがない。単純に恐怖心をあおるだけの頭の悪い言説に惑わされないようにすべきであり、また、そのような言説を行うものに対して、非難をするということも重要なのかもしれない。