人の心に灯をともす
閻浮の身や桃葉桔梗の鐘の声 五島高資
Unenlightened person —
echoing with the voices
of Peach-leaved bellflowers Taka Goto
Facebook・人の心に灯をともす 投稿記事
【二度とない人生をどう生きるか】
藤尾秀昭氏の心に響く言葉より…
青年は臨済宗妙心寺派の寺に妹三人の一人息子として生まれた。
小学校で教師に僧職を否定されたこともあったのだろう、青年は寺を継ぐのを嫌い、大学を出るとサラリーマンになった。
その日の気分だけで過ごす若者にとって、サラリーマンは気楽な稼業だった。
ある日、会社の行事で講演会が開かれた。
講師は鎌倉円覚寺管長の朝比奈宗源老師。
青年は寺の出ということで課を代表して講演会に出席する羽目になった。
寺を嫌った自分がなんで坊主の話を聞かにゃならんのか。
気分は乗らない。
青年は会場の片隅に座ると、早速睡魔に襲われた。
と、朦朧とした頭に老師の声が響いてきた。
「人間は仏心の中に生まれ、仏心の中にいて、仏心の中に息を閉じよ」。
青年はムカッとなり、途中で会場を出た。
サラリーマンに話すのに仏教用語なんか使うな、現代語で勝負しろ。
しばらくして、人事担当から電話が入った。
朝比奈老師が貴賓室(きひんしつ)に戻られたから、寺出身のよしみで老師にインタビューせよ、という。
面白い、天下の名僧とやらをからかってやろうじゃないか。
老師と対座した青年は、「私には仏心とやらが全く理解できません」と切り出した。
「お前さんは幾つじゃ」と老師。
「二十五歳です」
「二十五歳か。それじゃ仏心は分からん」
「どうしてですか」
「お前さん、わしの話をどこを向いて聞いておった?」
「先生のお顔を見つめて聞いておりました」
「そうか。わしの面の皮一枚しか見ておらなかったのか。それじゃ仏心は分からん」
「どこを見たら仏心が分かるというのですか」
「そうじゃな。人間の目に見えぬものを見るんじゃ」
「そんなもの、見えるわけがないじゃないですか」。
そう吐き捨てる青年に、老師は「わしはお前さんと話をしているのが退屈じゃ。わしはもう帰るぞ」と立ち上がった。
「なぜ私と話をするのが退屈なんですか。理由を言って下さい」と青年はなおも迫った。
老師は真顔で言った。
「わしにはお前さんが、一生は一回しかないことを意識して生きているとは思えん。そんな若造としゃべる気がせんのじゃ」
「一生は一回しかないなんてことは、小学生だって知ってますよ」
老師は青年を見据えて言った。
「ほう、そうか。それならわしが質問しよう。一生は一回しかないな。もう二度と人間に生まれることはないな」
「はい」
「じゃ、聞くぞ。その二度とない人生をお前さんはどういう命題を持って生きていくのか。お前さんの人生のテーマを言ってみい」。
青年は息が詰まった。
そんなことは考えてもみなかった。
「黙っていては分からん。お前さんの人生のテーマは何だ。さあ、言え。さあ」。
うろたえる青年に老師は続ける。
「一生は一回しかないというのに、二十五歳にもなって人生のテーマがないとはなあ。人生には分かっているものが二つある。生と死だ。その生と死を結ぶ一回をどう生きるか。こんな大切なことを分からんままに生きていていいと思うか」
「思いません」
「だろう。だから古人は、一生一道、使命に燃えて生きろと言った。使命とは、お前さんは一体何に命を使っておるかということじゃ。さあ、言え。言ってみよ」。
老師の気迫に青年はうつむくばかりだった。
数日後、青年は「そうだ、自分は朝比奈老師のような人間になりたい」と決意、禅の一道に自分を投げ出し、以後の人生を禅僧として生き切った。
いまは亡き松原哲明氏の若き日の話である。
生きる力の根源をこの逸話に見る。
二度とない人生をどう生きるのか。
そのテーマを定めた時、そこに生きる力は湧いてくるのである。
『二度とない人生をどう生きるか』致知出版社
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藤尾秀昭氏は、この世に絶対不変の真理が三つあるという。
その一つは、「人は必ず死ぬ」ということ。
二つ目は、「自分の人生は自分しか生きられない」ということ。
三つ目は、「人生は一度限りである」ということだ。
だからこそ…
「人生は今日が始まり、昨日まではリハーサル、今日から本番」(田中真澄)
の気持ちで生きなければならない。
我々は、「人生は二度とない」と知っているにもかかわらず、毎日をフワフワとして生きてしまっている。
昨日も一昨日も、また、今と言うこの一瞬も、過ぎ去ったら最後、二度とは戻らない。
そしてまた、この自分の人生は誰に代わってもらうこともできない。
どんなに愛する我が子が病気で苦しんでいようと、代わることはできない。
つまり、自分の人生は、誰のせいにもできないということだ。
二度とない人生をどういきるのか…
一人ひとりの「人生のテーマ」が問われている。
【人生を好転させる道とは】
斎藤一人さんの心に響く言葉より…
「使命」でも「妄想」でも、自分を喜ばせるためにするもんだって思うじゃない?
ふつうの人は、それを「いけない」って言うんだよ。
自分を「楽しませちゃいけない」と思っているんだよ。
だけど、自分が楽しいから、初めて他人も楽しませられるんだよ。
ちょっと前までは、個人の幸せを願うなんて、とんでもないことだ、って、そういう時代もあったけど、あの時代は、魂的には、まだ成長の途中なんだよ。
個人の幸せより、「国の幸せ」とか、立派なことを言っていた時代もあった。
個人より大切なものがあるような気がしていた時代は、もう卒業したんだよ。
いまの時代、21世紀は、個の時代なんだよ。
やっと魂が、ここまで成長したんだよ。
1人ひとりが幸せになる、個人が大切になったら、戦争とかやらないよ。
楽しいことを考えてみたらわかると思うけどね。
「自分が楽しくなる」ということは、「自分を愛する」ということなの。
自分が楽しくなると、「自分を大切にする」ことがわかってくる。
「自分を愛する」ことがわかってくる。
それが、自分も、周りの人も幸せにするんだよ。
だから、まず自分が幸せになるんだよ。
自分が幸せになったら、その波動を他人に分け与えるの。
自分が不幸だったら、不幸な波動や、不幸なバイブレーションしか、分け与えることができない。
不幸な波動が、にじみ出ちゃうの。
それをやっちゃいけないんだよ。
『使命』KADOKAWA
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斎藤一人さんは、「人生を好転させる道」についてこう語る。
『簡単に、自分を楽しませることができるのは「妄想」と「使命」なんだよ。
「妄想」なら、いつでもどこでもできる。
お金もかからないんだよ。
みんな、自分を忘れちゃダメだよ。
「自分は飢えてもいいから、他人の役に立ちたい」って。
自分が飢えて力も出ないのに、どうやって人助けするんだろう。
幸せじゃない人に、「幸せを出せ」って、無理なの。
ないものなんか、出せないよ。
あるものしか出せないの。
だから、運勢を好転させたかったらね、人の幸せに協力することなの。
オレが幸せなだけで、周りの人が幸せなんだ。
オレが機嫌が悪かったらね、ウチの会社の人からお弟子さんから何から、みんな、気を遣って疲れちゃうの。
だから、自分がいつも機嫌良くいる、っていうことはね、「愛」なの。
だいたいね、人の幸せを考えないでね、「運勢だけ好転させたい」って、そんなことはできっこないんだよ。
いま、自分が何も変わらないで、行動を変えないで、「結果だけ変えたい」っていうのは、無茶なんだよ。
まず、変えることは、楽しい妄想で自分を幸せにすること。
その次に、「自分の使命」に燃えて他人の幸せに協力すること。
これが、神が望む「人生を好転させる道」なんだよ。』
ひすいこたろうさんは、「予祝(よしゅく)のススメ」というコラムで、こう書いている。
『夢が叶うコツは面白がることです。夢って「深刻さ」を嫌うんです。』
予祝とは、まだ成就していない夢や願望を、すでに達成したかのように、前もって祝ってしまうこと。
まさに、楽しい妄想も、面白がることが必要。
だから、深刻さを嫌う。
深刻ではなく、面白がることが、人生を好転させる。
【台湾では、地方から5Gを始める】
オードリー・タン氏の心に響く言葉より…
4G技術の特徴として、光ファイバーよりかなりスピードが落ちるということが挙げられます。
つまり、自動運転で対向車と衝突した場合、衝突した車同士が4Gで通信していたら、ぶつかってからやっと「対向車とぶつかるぞ」という信号が届くという感じです。
それが5Gであれば、信号が最初に送信されるため、対向車は衝突を避けるためにハンドルを切るか、すぐにブレーキをかけることができます。
これは4Gと5Gの大きな違いです。
このような5Gを公共利用するためには、多額の設備投資を行わなくてはなりません。
これを政策として進める場合、まず4Gの利用率が比較的低い場所に5Gの設備を確保することが重要です。
要するに、ネット環境が良くない地方にまず5Gを導入するのです。
それによって、地方の人たちの学習環境や健康管理の権利を確保したり、改善することが可能になるでしょう。
これまで台湾では、地方に対しては大規模な資金を投入した設備投資が必ずしも行われてきませんでした。
しかし、5Gについては、「都市からではなく、地方から先に進める」という方式をとっていて、現在、地方での5Gチャンネルを確保するために多額の資金投入が行われています。
「なぜ、地方からなのか」と疑問を持たれるかもしれません。
まずそれについて説明したいと思います。
たとえば、これまで台湾で行われていたリモート教育は、ネットにつながっているからこそ可能になっていました。
そのために、ネット環境が整っていない山の上や離島では、これらの授業はできませんでした。
しかし、「それは公平ではない」と政府は考えました。
そのため、昨年(2019年)から政府は山岳部をターゲットに設備投資を行っています。
つまり、内政部(日本でいえば総務省)は、ヘリコプターを出動させるなど、あらゆる方法を使って、どれだけ高い山でも電波が届くようにしています。
また、今年(2020年)中には離島や海上でも電波が届くようにする予定です。
台湾にはたくさんの小島があり、小学生がカヌーを使って島々をめぐるような体験をしています。
小島の間を縫うように漕ぐのはカヌーの良い練習になります。
ただ、何かのトラブルがあった場合、陸上にいる人が助けてくれるかどうかは別にして、ネット環境を整えておかなくてはなりません。
文字どおり、それがセーフティネットになるからです。
セーフティネットが何もないと、子供たちが非常に危険な状況に置かれるケースがあるかもしれません。
でも、セーフティネットがあれば安心して探検できますし、大自然は彼らの良い先生になってくれるでしょう。
そのような体験は、人間の成長にとても貴重なものです。
そういうものが何もなければ、私たちはいつも平地の人間が作りだした建築物の中にいるだけです。
ネットにつながっているだけで、大自然の中に入り込む感覚を実感することはできないでしょう。
VR(バーチャル・リアリティ=仮想現実)はあくまでも仮想に過ぎず、大自然と同じというわけではありません。
5Gあるいは将来的には衛生を利用した6Gが出てきますが、これらの技術は私たちが到達できる場所を拡大するだけでなく、私たちの視野を広げてくれます。
また、これは教育の非常に重要な部分です。
だから、まずネット環境が整っていない地方から始めているのです。
それによって、私たちが手にできるものは、決して小さいものではありません。
『オードリー・タン デジタルとAIの未来を語る』プレジデント社
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本書の中でタン氏は「中学中退」についてこう述べている。
『私は生まれつき「心室中隔欠損症(しんしつちゅうかくけっそんしょう)」という心臓の病気を持っていたこともあり、体が弱く、感情が高ぶってしまうと顔色が紫に変色して、卒倒してしまうこともありました。
身体的に怒るということができず、学校での集団生活になじむことができませんでした。
小学2年のときにはいじめに遭ったこともありますし、私自身の性格的な問題もあって、学校でうまくいかないことも多く、その都度転校をしました。
その結果、私は3つの幼稚園と6つの小学校に通いました。
中学校には1年間だけ通いましたが、最終的には14歳で中退することになりました。
14歳で学校を離れる前、私は家族の同意を得て台北市郊外の鳥来に行き、静かな環境で過ごしました。
そこでこれからどうするかについて一人で考えたのです。
当時、私は全台湾の小中高生が参加する「全国中学生科学技術展」というコンクールの応用科学部門で1位を取っていて、自分の好きな高校に無受験で進学できる権利を得ていました。
当時行きたい高校がなかったわけではないのですが、私はすでにインターネットを利用して自らの興味に従って研究を進めていました。
当時、私が研究していたのはAIやAIの自然言語処理に関する最先端技術でした。
その研究課程で多くの研究者と出会い、インターネットを介して対話をしていました。
そのため、学校の授業で学ぶ内容がウェブで学べる最先端の知識より10年ほど遅れていることにすぐ気づきました。
それならば学校へ行くより、直接ウェブから学べばいいのではないかと考えるようになったのです。
その頃の友人は皆、私より5歳から10歳も年上でした。
中学を退学することについて、母は最初から賛成でしたが、父は反対しました。
しかし、家族は校長先生を尊敬しており、その校長先生が「大丈夫」と言ったので父は何も言いませんでした。
あとで聞いたところでは、父は校長がそのような考えを受け入れてくれるかどうかを確認したかっただけだったそうです。
私の考えを支援してくださった校長先生には、心から感謝しています。』
また、タン氏は、「年齢の壁を越えて若者と高齢者が共同でクリエイトする」という「青銀(せいぎん)共創』という試みにが盛んだという。
これは青年(青)と年配者(銀)が共同でクリエイトしてイノベーションを行っていくもの。
年配者は若者から、「今のデジタル社会と、どうコミュニケーションをとっていけばいいか」を学び、若者は年配者の知恵や経験を学ぶ。
ようは、年配者と若い人がお互いに学び合うしくみだ。
タン氏は現在、台湾の行政院(日本でいう内閣)の閣僚のひとりで、デジタル担当の政務委員(大臣)を務めている。
中学中退であり、トランスジェンダーでもあり、IQ180の天才でもある。
「世界の頭脳百人」(Foreign Policy)にも選ばれた。
中学中退とともに、ビジネスの世界に飛び込み、19歳で創業してネット企業の社長も経験している。
アップルのデジタル顧問となり「時給=1ビットコイン」(当時は1ビットコインが5,6万円で、現在は約400~600万円)の契約を結び、若くして成功を収めた。
33歳でビジネスからのリタイアを宣言し、2016年から蔡英文政権に招かれて35歳で史上最年少の大臣となり、政治の世界に転身したという華々しい経歴の持ち主だ。
タン氏のような異才を政府の中枢に抜擢する台湾。
その懐の深さこそが、これからの大変化を乗り切るための大きなパワーとなる。
AI革命は、あたかも明治維新クラスの大変革だ。
今までの固定観念や偏見を捨て、老いも若きも、このAI革命に身を投じたい。