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同性婚を認めないのは違憲ではない(大和正)

2021.06.15 07:07

大和 正 Ph.D(教育学専攻)


去る3月17日、札幌地方裁判所が、同性同士の法律婚を認めないのは「婚姻の自由」などを保障した憲法に反するという判決を出しました。その判決の内容は、「1.性的指向は自らの意思で選択・変更できない。2.同性婚を認めないのは、『法の下の平等』に反するので違憲である。3.違憲性を国会が直ちに認識することは容易ではなく、国家賠償法上、違法とは言えない。4. 原告の賠償請求自体は棄却する」というものでした。


その判決は国の主張を全否定したものではなく、同性婚が認められない根拠とされてきた憲法24条の「婚姻は、両性の合意のみに基づいて成立」の解釈については、原告側が「婚姻の自由を定めた条文で、同性婚を禁じてはいない」と主張したのに対し、判決は「24条が『両性』など男女を想起させる文言を用いていることに照らせば、異性婚について定めたもの」とし、現行制度は24条に反しているとは言えないと判断したのです。それは正しい判断です。


しかし問題は、判決が同性同士の法律婚を認めないのは「法の下の平等」を定めた憲法14条などに反するとしたことです。たしかに14条には「すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない」とあります。


この「法の下の平等」とは、その法の下にいる日本国民が既存の法律の下では、だれも差別を受けない平等的な存在であるということであって、「婚姻の自由の平等性」ではありません。それで、その判決が矛盾しているのは、24条の「婚姻の定義」を認めたにもかかわらず、それを重要視せずに、「法の下の平等」に「婚姻の自由」を含ませ、同性婚を認めないのは違憲だと主張したことです。


そして、何より問題なのは、同性愛についての理解が偏っていることです。判決では「同性愛は精神疾患ではなく、自らの意思に基づいて選択・変更できないことは、現在は確立した知見である」と指摘されましたが、それは、間違った見識です。同性愛は先天的なものではなく、選択・変更の可能性があるという裏付ける研究結果も外国において多数あります。そして、実際、回復治療や信仰によって、あるいは、自然と性的指向や性自認が変わったケースは多数あります


残念なことは、多くの国民は、同性愛や同性婚に関する真相を知らず、性的指向や性自認は選択・変更できないものと思っているので、同性婚合法化に賛成しているようです。同性婚合法化は、個人の人権の問題であると理解している人たちが大半ですが、これは、社会の様々な領域に深刻な影響を与える社会的な問題になることは、数々の同性婚合法国から知ることができます。


まず、同性婚合法国にはLGBT差別禁止法が制定され、同性愛を公の場で批判すれば、差別となり、訴えられ、処罰を受けるような逆差別が現実に起きています。同性愛は差別禁止法によって保護され、それに反する者の表現と言論の自由が侵害されています。同性愛は正常な性愛であると容認され、学校の性教育で子どもたちに同性愛を正常な性愛として教えなくてはなくなります。その教育によって感受性の強い子どもたちは同性愛の影響を受けてしまいます


米国は、各州で差別禁止法が制定され、その後2015年には、全州で同性婚合法国になりましたが、過去10年間、米国の青少年人口の中で自分が同性愛者であると明かした比率が85%増加しました。そして、異性だけに性的に魅了すると明かした比率は6%下落したのです。


米国疾病統制予防センターCDCは、今日、1600万のアメリカ高校生の中で100万名余りが同性愛者であるか、同性愛者の道を歩んでいると発表しました。2012年、同性愛者と両性愛者の中で43%が18~36歳であった。2016年には58%が18歳から36歳でありました。青少年の中で7.3%が自分は、同性愛者であるという性同一性をもっています。


ギャロップ調査によれば、20年前は女性同性愛者(レズ)より、はるかに多くの同性愛者は男性同性愛者(ゲイ)でありましたが、現在、同性愛者の55%が女性同性愛者であります。フェミニストの男性に対する否定的な態度や女性スポーツチームの急増と数多いレズビアンのコーチたちは、女の子にレズビアンになるように誘導しているのです。


これは、差別禁止法と同性婚合法化が同性愛は正常な性愛といった社会的文化に影響された結果です。国民がこの問題に深い関心を持ち、正確な情報を把握し、正しい判断をすることが真に国を愛することです。