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中央線の特急・快速の今後

2021.06.15 07:40

1.はじめに

 こんにちは**です。早いもので部内での最高学年になってしまいました。こうやって部誌に研究を載せることができるのはもう三回になってしまいました。これからの三本は今まで以上に実のある研究を書いていきたいと思います。

 さて今回は中央線の特急・快速(東京駅~高尾駅・大月駅などを結ぶ通勤型の快速を除く)について考えていきたいと思います。筆者自身も観光やスキーに行くとき、また撮影をしに行くときによく乗車する列車です。最近だとスーパーあずさがE351系からE353系に置き換わったことは記憶に新しいと思います。また今後はE257系0番台も順次置き換わっていく予定です。また旅行客や登山客に人気な快速ムーンライト信州、甲府駅行の特急かいじ、横浜駅発のはまかいじなど多くの優等列車が走っています。今回はそんな中央線の特急や快速についてみていきたいと思います。

2.中央線の特急・快速の現状

(1)あずさ・スーパーあずさ

 まずは中央線の特急のエースといってもよいあずさとスーパーあずさですが、E351系の置き換えや、E257系の置き換えによって情勢が変わってきています。現在は定期運用であずさが10往復、スーパーあずさが8往復されています。ほかに繁忙期には臨時のあずさやスーパーあずさが運行されています。

 スーパーあずさは全運用E353系によって、あずさは10往復のうち3往復がE353系、7往復がE257系によって運転されています。あずさは1往復のみ松本駅から先の大糸線に直通し、南小谷駅まで運行を行っています。ほかはすべて松本行で運行されています。スーパーあずさは新宿駅と松本駅を最速2時間31分で結びます。今後あずさで使用されているE257系はすべてE353系によって置き換えられ、スーパーあずさの愛称を廃止しすべての列車をあずさとして運行する予定です。

引退したE351系


スーパーあずさで使用されているE353系

あずさの7運用を担っているE257系。あずさのほかにかいじの運用も担っている。


臨時のあずさに使われる189系。のちに紹介するムーンライト信州でも活躍する。

(2)かいじ

 特急かいじは東京駅・新宿駅と甲府駅・竜王駅間を結ぶ特急列車です。定期列車の12往復中9往復はE353系、3往復はE257系で運転されています。かいじは新宿駅と甲府駅を結ぶものが多いですが、一部は東京駅発や竜王駅行も設定されています。また臨時で小淵沢駅行なども設定されています。新宿駅と甲府駅を最速で1時間38分で走りますが、ほとんどの列車は1時間50分ほどで走ります。同区間のスーパーあずさの最速の所要時間は1時間38分で、新宿-甲府を移動する人よりも、途中の山梨市駅や石和温泉駅へ向かう乗客に重きを置いているように見受けられます。

(3)ホリデー快速富士山・快速富士山

 ホリデー快速富士山は新宿駅と富士急行線の河口湖駅を結ぶ一部指定席の臨時快速です。主に土日や休日を中心に1往復運行されています。新宿駅から大月駅まではJR中央線を走行し、大月駅から河口湖駅までは富士急行線の線路を走行します。2018年の春のダイヤ改正で老朽化した189系からE257系500番台が中心に運用をこなすようになりましたが、車両編成が6両から5両に減ったため、車内は混雑するようになりました。

 また快速富士山はホリデー快速富士山と同じ区間を走行します。運転日は金曜に1往復運転されています。またこの快速富士山はホリデー快速富士山と違い一部区間を除き全車指定席になっています。

 さらにJR東日本は2019年春のダイヤ改正の目玉として中央線の優等列車の改革を掲げました。そのうちの一つに、新たに特急「富士回遊」という列車を新設することを発表しました。特急富士回遊は新宿駅と富士急行線の河口湖駅を結ぶ特急で、途中の大月駅まで特急かいじと併結し運行します。停車駅は新宿駅、立川駅、八王子駅、大月駅、都留文科大学前駅、富士山駅、富士急ハイランド駅、そして終点河口湖駅です。使用車両はE353系3両で、停車駅はホリデー快速富士山より少なく、また所要時間も20分ほど富士回遊のほうが早いです。この列車が設定されることにより、富士・河口湖方面への速達性は向上するでしょう。


2018年までホリデー快速富士山や快速富士山の運用をこなしていた189系


2018年春から両運用をこなすようになったE257系500番台

(4)快速ムーンライト信州

 ムーンライト信州は新宿駅と白馬駅を結ぶ夜行列車です。新宿駅を夜23時54分に出発し、翌早朝5時40分に大糸線の白馬駅に着きます。白馬村は県内最大級の巨大スキー場があり、また周りの山々へ登る登山客の拠点になっています。そのためスキーシーズンの12月~3月と登山客やレジャーを楽しむ客が多く訪れる7月下旬~9月上旬にはこのムーンライト信州が多く設定されています。また快速列車なので乗車券と指定席券の520円のみで乗車できるためとても人気が高い列車です。

 しかし使用車両の189系は国鉄時代に作られたものなので老朽化が進行しています。そのためこの列車を存続させるためには新車や車両の置き換えが必要になります。

(5)ホリデー快速ビューやまなし

 ホリデー快速ビューやまなしは新宿駅と小淵沢駅を結ぶ臨時快速列車で、車両は国府津車両センターの215系を使用しています。主に3月から11月までの土日を中心に運行されており、一部指定の快速列車のため青春18きっぷ利用者が多く乗車しており、人気の列車です。

(6)はまかいじ

 はまかいじは横浜駅と松本駅を結ぶ臨時特急で土日、休日に多く設定されています。横浜駅から山梨県または長野県まで一本で行けるということで多くの観光客が利用しています。車両は185系が使用されています。



ホリデー快速ビューやまなしで使用されている215系


はまかいじで使用されている185系

(7)成田エクスプレス

 現在成田エクスプレスは定期運行で、早朝に高尾駅発の成田空港駅行の成田エクスプレスが2本、夜に成田空港駅発の高尾駅行の成田エクスプレスが2本設定されています。また行楽シーズンの土日休日に限り成田空港駅発、富士急行線の河口湖駅行の成田エクスプレスが設定されています。

(8)その他臨時特急・快速

 上記の列車のほか千葉駅発甲府駅行のちばかいじや、お座敷列車用いて運行されるお座敷桃源郷パノラマ号など様々な臨時列車が運行されています。

3.甲府・松本方面への需要

 次は中央線の沿線の自治体の観光客の推移をみていきたいと思います。大きく4つのブロックに分けてみていきたいと思います。特急かいじなどの列車が輸送を担っている甲府・勝沼方面、ホリデー快速が乗り入れる富士山周辺や河口湖方面、特急あずさ・スーパーあずさの終着駅である松本方面、そして1日1往復の特急あずさやムーンライト信州が輸送を担う北アルプス方面の4つです。

(1)甲府・勝沼方面への需要

 特急かいじは都内から甲府・勝沼エリアへの需要の大部分を担っています。特急かいじのうち、ほとんどの列車が停車する塩山駅、山梨市駅、石和温泉駅などへの需要は高いものと考えられます。また山梨県の県庁所在地甲府市には甲府市を代表する観光地甲府城や武田信玄公ゆかりの躑躅ヶ崎館、信玄堤など観光地が多くあり観光需要が見込めます。そのほかぶどうで有名な勝沼エリアなどがあります。このグラフは塩山駅が位置する甲州市、山梨市駅のある山梨市、石和温泉駅が位置する笛吹市の3市の合計の観光入込客数を表したグラフです。便宜上甲州市、山梨市と笛吹市をまとめて県東部と呼ぶことにします。


 観光入込客数とは日常生活圏以外の場所へ旅行し、そこでの滞在が報酬を得ることを目的としない者のことを指します。グラフの通り県東部の観光入込客数は減少傾向にあります。平成25年に富士山が世界遺産に登録されたことにより、観光入込客数は増加しましたが平成27年以降は減少傾向にあります。

(2)河口湖・富士山方面への需要

 山梨県の一大観光地といえば富士山、河口湖方面でしょう。山梨県と静岡県の県境に位置する富士山は世界遺産に登録されており、多くの観光客が訪れます。また河口湖が位置する富士河口湖町には多くの別荘があり、こちらも多くの観光客が訪れます。このグラフは富士河口湖町と富士吉田市の二つの自治体の観光入込客数の合計の推移を表した図です。


 この二つの自治体の観光入込客数は年々増加しています。この地区には世界遺産に登録された富士山や日本最大級のアミューズメントパークである富士急ハイランド、河口湖周辺の別荘、さらには河口湖周辺のゴルフ場など老若男女に楽しめる観光スポットが数多く存在します。それゆえ平成29年現在県全体の観光入込客数の約30%がこの二つの自治体を訪れています。

(3)松本方面への需要

 大半の特急あずさ・スーパーあずさの終着駅である松本方面への需要を見ていきたいと思います。主な観光地としては、松本市のシンボルである松本城、松本駅から電車とバスを乗り継いで行ける上高地地方などがあります。下の表は松本市の観光入込客の推移を表したグラフです。


 この表のとおり松本市の観光入込客数は年々減少しています。実は松本市は平成8年からの20年間で観光入込客数が230万人も減少しているのです。

 しかし松本方面への需要が減少していますが、特急あずさ・スーパーあずさの本数は減少していません。その理由は総合的に見てあずさ・スーパーあずさの需要が高いためです。甲府や小淵沢、諏訪湖や岡谷地方への需要もあるため、総合的にみると需要が高いといえます。実際休日にスーパーあずさに乗車してみると自由席が満席だったりということがよくあります。そのためJRも減便はしていないのです

 また松本市は今後観光客の増加のために、国内からの観光客のみならず国外からの観光客にも目を向け始めています。

(4)北アルプス方面への需要

 長野県の北アルプス地方は県の北西部に位置する大町市、松川村、白馬村、小谷村、池田町の5市町村からなる地域のことで、主な観光地としては白馬村にあるスキー場やスキーのジャンプ場、また雄大な自然が広がる穂高岳などが挙げられます。また信濃大町は立山へ抜ける立山アルペンルートの起点にもなっています。これらの市町村への需要は大糸線が担っており、1日1往復南小谷駅発着のあずさが運行されています。この表は北アルプス地方の延利用者数の推移です。延利用者数とは日帰り客数と宿泊客数の延数の合計のことです。


 この表のとおり北アルプス地方への需要は年によってまちまちです。理由としてはスキー場に積もる雪の量が関係しています。雪が多く降る年は多くの観光客が訪れますが、雪が少ない年は観光客が減少します。

4.外国人観光客の推移

 次は山梨県と長野県のインバウンド需要についてみていきたいと思います。インバウンド需要とは訪日外国人観光客による日本国内での観光需要のことを指します。

(1)山梨県

 今や観光業界にとって欠かせないものになりつつあるインバウンド需要ですが、山梨県におけるインバウンド需要はどうなのでしょうか。次の表をご覧ください。



 外国人観光客はやはり山梨県最大の観光地、富士地方や県東部に多くの人が訪れるようです。県全体の外国人観光客の推計宿泊客の80%が富士・県東部に訪れています。そのため富士河口湖方面へ向かうホリデー快速富士山や特急かいじなどの列車に今後は力を入れていくべきだと思います。

(2)長野県

 次の表は長野県を訪れる外国人観光客が訪れる場所の内訳を示したものです。


 東信州地方は県東部、主に佐久・上田・軽井沢方面のことを指します。伊那路地方は伊那盆地周辺を、木曽路は県西部の中央アルプスと御嶽山系に挟まれた地域のことを指します。日本アルプスは松本地方と北アルプス地方を足した地域、北信濃地方は長野市周辺と県北部の地方のことを指します。日本アルプス地方が38%と一番多く、多くの外国人観光客が白馬方面や松本地方を訪れていることが見て取れます。特に北アルプス地方への需要が高く、スキーやキャンプなどのレジャーを楽しむ外国人が多い傾向にあるようです。

 下の表は長野県を訪れる外国人の内訳です。


 長野県を訪れる外国人の中で一番多いのは28%の台湾人です。そのため英語表示だけでなく中国語表示も積極的に導入するべきです。

5.スキー需要

 最後にスキー需要についてみていきたいと思います。中央線沿線や、大糸線沿線には全国有数の巨大スキー場があります。特に大糸線沿線にある白馬地方には巨大スキー場が数多く存在します。そんなスキー需要についてみていきたいと思います。ただし今回はスキー場の数が少ない山梨県については割愛させていただきます。

 白馬地方には国内有数のスキー場が存在します。下の表は長野県における利用者数が多かった主なスキー場を示したものです。


 利用者では志賀高原や野沢温泉に劣っていますが、去年度から今年度への伸び幅はほかのスキー場に比べて大きいです。また白馬には他にもたくさんのスキー場が存在するので大きなスキー需要が望めます。しかし白馬地方への需要は月によってことなります。


 このグラフの通りスキーシーズンの12月から3月までの需要は見込めますが、そのほかの4月から6月、10月から11月までの需要はあまり見込めません。しかし夏休みシーズンは多くの需要が見込めます。特に8月は一年で最も多い値になっています。そのため夏の観光シーズンや冬のスキーシーズンに力を入れるべきです。

6.問題点

(1)ホリデー快速富士山の混雑

 まず紹介したいのはホリデー快速富士山の混雑についてです。2018年の春のダイヤ改正で車両の老朽化などの理由で189系からE257系500番台に移行しました。189系は6両編成でしたが、E257系500番台は5両なので自由席が1両分減少しました。そのためただでさえ混雑していた車内はより一層混むようになりました。外国人観光人も多く乗るようになったことも混雑の要因だと思われます。さらに富士急行線内はホームの有効長が6両分しかないので、6両以上の列車を直通させることはできないのです。

また3章や4章でも述べたとおり富士山方面へ向かう観光客は近年急激に増加しています。そのためホリデー快速富士山の混雑は何としても解決しておきたい事案です。また2章で述べたとおり特急富士回遊の設定によって、この富士・河口湖方面へのホリデー快速富士山や快速富士山の混雑は減少するでしょう。そのことについても7章でみていきたいと思います。

(2)大糸線直通の特急・快速

 次に大糸線直通の特急、快速列車についてです。現在千葉発の南小谷行のあずさ3号、南小谷駅発新宿行のあずさ26号が定期で1往復走っています。そのほかにスキーシーズンや行楽シーズンに臨時で新宿駅発白馬行の快速ムーンライト信州が走っています。毎日定期で走っているあずさ3号は土日・休日になると千葉県から山梨県や長野県に一本で行けるため相当混雑するようです。それゆえあずさ3号の大糸線直通の意味が薄れているように思えます。実際筆者の私もこのあずさ3号とあずさ26号に乗車した経験がありますが、大糸線内への需要はあまり感じられませんでした。

 またムーンライト信州についてですが、使用車両の189系の老朽化により存続の危機に瀕しています。しかし人気は非常に高く、夏の行楽シーズンや冬のスキーシーズンは高い乗車率を誇ります。時には満席になることもあります。この列車は快速列車なので乗車券と指定席520円のみで乗車できるので青春18きっぷユーザーから重宝されており、その安さも人気の秘訣であります。しかし先ほど述べた車両の老朽化の影響で廃止が危ぶまれています。

(3)特急あずさ・スーパーあずさと特急かいじの棲み分け

最後に取り上げる問題は特急あずさ・スーパーあずさと特急かいじの棲み分けについいてです。現在この両列車は一日30往復していますが、停車駅はまちまちです。特に特急あずさについては停車駅が列車によって異なっています。八王子駅から甲府駅までノンストップで走るものもあれば、停車駅が一番遅い特急かいじと同じものもあります。これによって甲府駅以東の駅で下車する乗客と甲府駅よりも先で下車する乗客が同じ電車に乗ることになり特急あずさの混雑を助長しています。そのため混雑解消するため特急あずさと特急かいじの棲み分けは急務です。

7.改善策

(1)ホリデー快速富士山の混雑

 前述したとおり、ホリデー快速富士山は6両から5両へ編成を減らされたことにより混雑が悪化しました。そのため改善策としてはE257系500番台のいくつかの編成を組み替えます。実はこのE257系500番台、2015年春のダイヤ改正によって、さざなみやあやめといった房総特急が減便されたため、余剰車が発生しています。余剰車が発生したのは5両編成9本です。そのうち2本はホームライナーとして、3本はこのホリデー快速富士山の運用に充てられるため豊田車両センターに常駐しています。しかしホリデー快速富士山の運用は新宿駅~河口湖駅の1往復の1運用しかありません。そのため実質9編成のうち6編成が余剰になっています。そのため5両編成から6両編成に両数を増やすことは容易なはずです。また混雑解消のため指定席を3両から2両にへらすことも必要かもしれません。

 また成田空港発の河口湖行の成田エクスプレスを増やすことも併せて提案したいと思います。現在乗車率が芳しくない成田エクスプレスですが、この河口湖駅行きの成田エクスプレスは人気があるようです。大きな理由としては成田空港に来た外国人観光客が乗り替えなしで富士山・河口湖方面に向かうことができるからです。またホリデー快速と同様に東京や新宿などから富士山・河口湖方面への需要を担っています。そのため成田空港駅9時15分発の1往復だけでなく、河口湖行成田エクスプレスをさらに設定するべきです。

 また特急富士回遊ですが毎日設定されます。そのため土日休日に走るホリデー快速富士山に比べ需要が低いと思われる快速富士山を廃止します。またホリデー快速富士山は前述のとおりE257系500番台の編成を組み替えて6両化したものを使用し一往復設定します。しかし富士回遊は8時30分発と9時30分発が設定される予定で、ホリデー快速富士山は現在新宿駅8時14分に出発するダイヤです。そのため富士・河口湖方面への列車の間隔を調整するため、新宿駅の発車時刻を富士回遊が出発する50分前である7時40分発にします。これにより50~60分間隔で富士・河口湖方面への優等列車が走ることになります。また停車駅は富士回遊と差別化するために富士回遊の停車駅よりも多い、現行の停車駅に停車します。

 また私の私見ですが、富士回遊は平日は特急かいじと併結する意義はあると思うのですが、土日休日は富士回遊は併結せず単独で走らせるべきだと考えます。なぜなら併結することによって車両数が制限されてしまうからです。E353系の9両固定編成が特急かいじとして付属編成の3両が富士回遊として運行するわけですが、前述のとおり5両編成のホリデー快速富士山の自由席が混雑していてパンク状態なのに、富士回遊が3両で需要を賄いきれるとは思えません。そのため単独運行の形態をとり、付属編成3両を2本連結した6両で運行すべきだと思います。

(2)大糸線直通の特急・快速

 次に大糸線直通の特急・快速についてです。

 まずは快速ムーンラント信州についてです。前述したとおり非常に人気の高いムーンライト信州ですが使用車両の189系の老朽化で存続の危機に瀕しています。しかし乗車率が高く人気なのも事実です。

 そのため老朽化した189系6両をE257系0番台で置き換えるということを提案します。2018年春のダイヤ改正でE353系が導入されたことにより、E257系0番台の余剰車が発生しました。そのため編成的な問題はクリアされたと考えていいでしょう。また5章で述べたとおり、やはり12月から3月までのスキーシーズンと7月後半から9月前半までの夏の行楽シーズンに大糸線方面への需要が高いと考えられます。そのため現行ダイヤで、このシーズンのみをE257系0番台で運行するということを提案します。

 また大糸線直通の特急あずさ3、26号についてです。これについても大糸線直通を廃止し、松本駅止まりまたは松本駅発とします。しかし上記のスキーシーズンと夏の行楽シーズンだけ臨時で大糸線に直通するようにします。また朝の千葉発の中央線行き特急はこのあずさ3号だけなので、あずさ3号は混雑する傾向にあるようです。そのためこのあずさ3号については千葉駅発を止め新宿駅発とします。

(3)特急あずさ・スーパーあずさと特急かいじの棲み分け

 現在中央線で走っている主な特急としてこの二つの特急があげられますが、前述したとおり二つの特急の棲み分けは全くできていません。そのためあずさ・スーパーあずさとかいじの停車駅を明確に区別する必要があります。

 停車駅を区別するためかいじは現行のダイヤで運行し、あずさ・スーパーあずさは新宿駅から八王子駅までは現行ダイヤと同じにし、八王子駅を出ると甲府駅までノンストップで運行することを提案します。これによりあずさ・スーパーあずさには甲府駅以西の駅で下車する乗客だけになり、またかいじには必然的に甲府駅以東で下車する乗客だけが乗ることになります。

8.終わりに

 いかがでしたでしょうか。2019年春の改正ですべてのあずさが塩山駅、山梨市駅、石和温泉駅、を通過することを正式に発表しました。これにより更なる中央線特急の速達化が促されることでしょう。最後までお読みいただきありがとうございました。

9.参考文献

山梨県観光入込客統計調査結果

http://www.pref.yamanashi.jp/kankou-k/17390378357.html

長野県観光関連統計

https://www.pref.nagano.lg.jp/kankoki/sangyo/kanko/toukei/kanko.html

長野県 スキー・スケート場利用者統計調査

https://www.pref.nagano.lg.jp/kankoki/sangyo/kanko/toukei/ski.html

白馬村内スキー場利用者数

http://www.vill.hakuba.lg.jp/somu/statistics/ski_run_2019.pdf

白馬村 観光客入り込み状況

長野県 外国人延宿泊者数調査

https://www.pref.nagano.lg.jp/kankoki/sangyo/kanko/toukei/gaikokujin.html


※おことわり

掲載されている情報は研究公開当時のものです。現在とは若干異なる場合があります