観光列車の役割
1.はじめに
2回目の執筆となります、中学2年の**です。文章ばかりで見にくくなってしまっていますが、最後までお読みいただけると幸いです。
2.観光列車の今
現在、観光列車は全国にたくさんあり、北はJR北海道の「ノロッコ号」から南はJR九州の「指宿のたまて箱」まで、さまざまな個性を持った列車が走っています。地方では過疎化が進み地方鉄道の中心に経営が厳しくなっており、県外からも乗客を集めることのできる観光列車を、多くの地方鉄道でも運転しています。
2019年2月にはJR北海道が東急電鉄やJR東日本などと協力して観光列車を運転することが発表され、伊豆急行の「THE ROYAL EXPRESS」が北海道を走るということで話題を呼びました。そんな観光列車業界についてみていきたいと思います。
群馬県を走るELレトロ碓氷号
同じく群馬県を走るSLレトロ碓氷号
○観光列車の種類
観光列車には主に3つの特徴があると考えられます。また、これら3つの特徴を複数持っている列車や、どの特徴も持たない列車なども例外的にあります。
①移動主体型
1つ目が、移動主体型です。これは、名前の通り移動がメインの観光列車で、群馬県方面へ走る「リゾートやまどり」や、伊豆方面へと走る「スーパービュー踊り子」などがその例です。このタイプの列車は、車内での時間を楽しめる設備は整っているものの現地での観光が主体であるというものです。メリットとしては、都心部から直接観光地へ行ける列車も多いため気軽に乗車しやすいという点や、現地での観光が主体なので地域経済の活性化がしやすいという点などがあります。
デメリットとしては、都心部と離れている場合や、直通できない路線はそもそも列車の運転ができない点です。都心部から近い場合は日帰りとなってしまうこともあり、現地で使う金額が少なくなっているという点です。伊豆や草津では、温泉という宿泊とセットになった観光資源がありますが、例えば房総半島方面や秩父方面では、日帰り観光が多くなっています。また、地域の観光資源に大きく依存する上に、そのような場所はすでに観光列車の運転が行われているので、新たな運転を行う場所はあまり残っていないとも言えます。
②乗車主体型
こちらは前の通り、乗車すること自体が目的となるような列車です。JR五能線の「リゾートしらかみ」やJR陸羽東線の「リゾートみのり」、しなの鉄道の「ろくもん」など、全国各地で走っています。メリットとしては、それぞれの個性を出して集客するので注目されやすいという点や、地域の特徴を出しやすいという点などがあります。
デメリットとしては、乗車が主体となっているので、その列車に乗るだけで現地であまりお金を使わないという点が挙げられます。「リゾートしらかみ」では、沿線に観光スポットがあり、また1日2または3往復運転されているので途中下車などをしやすいですが、そのような場所は多くないため乗車するのみとなってしまう可能性があります。
③レストラン列車
ここでは車内で本格的な料理を楽しめる列車のことをレストラン列車と呼ぶこととします。レストラン列車は車内でそれぞれの料理を楽しめる列車で、季節ごとに料理を変えるなどして、別列車のようにすることもできます。
メリットとしては、その地域の郷土料理を提供することによって、すべての人に楽しんでもらえるという利点があります。また、地域の食材が多く使用されれば地域の活性化にもつながります。
デメリットは、専用の車両や料理人、食材の準備などが必要となり費用が高くなりがちです。専用の列車を使用する場合が多いので、普通列車とは運用を分ける必要があり車両の運用の効率において無駄が生まれてしまいます。
普通列車として使われていた車両を改造して観光列車にすることも可能であり、改造を最小限に抑えて普通列車として観光列車としても運用することもできます。しかし、個性を出すためには車内外での工夫が必須であり、古い車両を改造している場合は老朽化の問題もあります。ただ、様々な理由でまだ使えるのに廃車されてしまう大手私鉄やJRの車両も多くあり、そのような車両を貰い受け改造すれば費用も安く済みます。そのような列車の例として富士急行の「富士登山電車」があります。富士急行では元京王旧5000系を改造して現在でも運用されています。
3.観光列車の問題点
1つ目は、観光列車の集客効果は長期間続きにくいという問題です。
のと鉄道の当期純損失
参考:のと鉄道有価証券報告書 日本経済新聞
これは、のと鉄道の当期純損失を表したグラフです。平成27年度は観光列車「のと里山里海号」の運転開始や北陸新幹線の開業など、のと鉄道を含む北陸地方が注目された年でした。平成27年度はのと鉄道の赤字額が減っていますが、翌年からは赤字が膨れ上がっています。これは、この列車がリピーターを呼べなかったということになります。同じ列車を何年も運転していると、何回も行きたくなるような個性がなければ観光列車による集客効果が、長期間は続かなくなってしまいます。
2つ目に、訪日外国人などの日本人以外の利用者との問題点も多くあります。そのうちの1つは言語の問題です。観光列車の多く走る地方には英語や中国語などの表示があまり多くないところもあります。そのため、何か問題のあった時に、外国人のほとんどは日本語を話せないので混乱してしまいます。地方では、想定以上に外国人観光客が訪れたりして、多言語化の対策が間に合わなかったということも考えられます。もう1つは、マナーに関係する問題で、日本のマナーを知らない外国人がマナー違反を行ってしまうという問題です。関係ないように見えますが、日本の観光列車が世界に広まれば外国人観光客は鉄道をより使うようになり、電車内でのマナーが問題になると思います。他にも、ワンマン列車の仕組みや現地での切符購入方法がわからない外国人観光客は多くいます。
日本では、人口減少や過疎化により、地方鉄道では普通の列車も、観光列車も利用客が減ってきています。その分利益も減少しますが、外国人観光客の呼び込みで少しでも和らげることができると思います。外国人観光客に日本の観光列車というものを知ってもらい、収益につなげられたら地方鉄道の存続にもつながるのではないかと思います。
4.改善案
1つ目の問題に対しては、観光列車を数年おきに新しくすることが有効だと考えます。車両設備を新しくするのではなく、内装のリニューアルや列車のテーマを変更したりするなどして常に列車を乗客から見て新鮮な状態にしておくことが大切だと考えます。地方の中小私鉄は大手私鉄やJRの新しめの車両を貰い受けて改造し、地域の個性を出した観光列車を運転することが良いと思います。地域の郷土料理などがある場合はレストラン列車にした方がよいでしょう。またレストラン列車とする場合、メニューを季節に合わせて変えることにより、リピーターを呼びこみやすくなります。
ただ、観光列車を運転する場合、普通列車の本数が少なくならないようにしつつ、列車の本数を最小限にする必要があります。そのためには、観光列車に普通列車を連結して運転する、または乗車券のみで乗れるフリースペースを設けることが良いと思います。
2つ目の問題に対しては、訪日外国人との言語問題を改善するために、案内表示などに4か国語案内を使用することが絶対条件といえます。そのため、案内表示などの4か国語化などの費用は必要な投資だと思います。ほかにも、観光列車を1つのプランとして発売すれば良いと思います。そのプランは、観光列車に乗り、終着駅周辺の観光を通訳のできる案内人にしてもらうというものです。これで、外国人が入りにくい場所にも案内することができ、より魅力を伝えやすくなると思います。
さらに、運行するルートを変えたりすれば、1つ目の問題にも対応してリピーターを呼び込みやすくなります。マナーに関しても、観光列車をプラン化すれば日本人が外国人観光客に付き添うので、注意や分からないことの説明もできるようになります。ただ、この場合には日本人向けと外国人観光客向けのプランを明確に分ける必要があります。
5.総括
・観光列車を数年おきに内装のリニューアルや列車のテーマを変更したり、レストラン列車の場合は地方の食材を使ったメニューを季節によって変更し、リピーターを獲得する。
・外国人観光客を集客するために、多言語表示や外国人観光客向けのプランを設定する。
6.おわりに
最後までお読みいただきありがとうございます。独自の魅力で人々の心を奪い、地方鉄道と地方を支えている観光列車の今後が気になります。次は、文化祭号になるので気を抜かず、よい研究を書けるよう精進していきたいと思います。
7.参考 (全て2019年1~3月アクセス)
・JR北海道ホームページ
https://www.jrhokkaido.co.jp/
・JR九州ホームページ
http://www.jrkyushu.co.jp/
・のと鉄道有価証券報告書 日本経済新聞
https://www.nikkei.com/
・のと鉄道ホームページ
http://www.nototetsu.co.jp/
・THE ROYAL EXPRESSホームページ
https://www.the-royalexpress.jp/
・NEWSタウンセブン 急増する訪日外国人に鉄道業界はどう対応しているのか
https://www.news-postseven.com/