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食べ方で発見するペットの病気

2021.08.05 02:25

ペットがおいしそうにご飯を食べる姿は、見ていてとても微笑ましいですよね。

一粒ずつゆっくりと食べる子、口いっぱいにほおばる子、ほとんど噛まないで飲み込んでしまう子、一旦食器の外にフードを掻き出してから食べる子や、なかには器用に手ですくって食べるなんて子もいるみたいです。

このようにペットによって食べ方は様々かと思いますが、そのなかでも「最近、口に入れたご飯を口の端からぽろぽろとこぼして食べるようになってお行儀が悪い」などと感じている方はいらっしゃいませんか?もしかしたらそれは、何かしらの病気のサインかもしれません。

今回は、「食べ方で発見するペットの病気」についてお話していきます。


食べながら口を痛がる

もし、ペットがご飯を食べながら「ぎゃっ!」と叫び声をあげたり、口元を手で引っ掻くようなしぐさをしながら、あわてて口の中のものを吐き出そうとしている場合には、食べ物が口の中に入ることで痛みが生じているということを意味しています。口が痛くなる原因としては、歯の病気や口内炎がよく知られています。一度でも口内炎になったことのある方なら分かると思いますが、小さな病変でも口内炎はとても痛いですよね。

もし、痛みが左右どちらか一方の場合でそれほどひどくない場合には、頭を傾けて痛くないほうだけでご飯を食べようとします。そのため「いつも右側でしか噛まない」と感じていたら、口の中の片方にだけ異常がある可能性がありますので注意が必要です。

痛みがさらに強く、口の中に少しでも何かが入ると痛みを生じる場合には、お腹は空いていてもご飯が食べられなくなってしまいます。このような状態の場合は、ご飯を前に恨めしそうに座り、ご飯と飼い主さんを交互にじっと見ている様子がよくみられます。

猫の場合「カリシウイルス感染症」という病気にかかってしまうと、症状のひとつとしてひどい口内炎になることが知られています。また、猫特有の歯が溶けてしまう病気「破歯細胞性吸収病巣」という病気を持っている子も非常に多いため、口を痛がるケースがたくさんあります。

また、犬では歯石がつきやすい子が多く、そこから歯周病や歯槽膿漏になるケースがよくみられます。


ご飯を口に入れたあとに飲み込みにくい

私たちはご飯を食べる際、口の中に食べ物を入れて、ごくん、と飲み込みますよね。普段、何気なく行っている動作ですが、実はこの動きは口からのど(咽頭)、食道の動きが絶妙なタイミングで連動しないと成し得ないことなのです。

口の中に入った食べ物は、舌の動きで適当な大きさまで小さくしてからのどの方に送られ、のどを通過した食べ物は食道によってさらに胃まで送られるのですが、のどの部分には肺に通じる気管の入り口が開いています。食べ物を食道に送るにはそのときだけ咽頭蓋(いんとうがい)と呼ばれる蓋で気管の入り口を塞いで、肺の方に食べ物が入らないようにする必要があります。これらを動かす舌やのど、食道の筋肉は神経の信号によってコントロールされていますが、もし、これらの筋肉や神経が病気で麻痺してしまったら、食べ物を口に含んだところで飲み込めなくなってしまいます。食べ物をぽろぽろとこぼしてしまったり、唾液を自然に飲み込めなくてよだれをたらすようになります。あまり多い病気ではありませんが、筋無力症や部分的な神経麻痺の場合にこれらの症状が見られます。また、これらの食べ物の通り道に腫瘍のような通過を邪魔するものが出来てしまった場合にも、やはり飲み込みにくくなってしまうことがあります。


食べる時に下を向きたくない

ペットによってはふせの姿勢でご飯を食べる子もいるでしょう。それが単にリラックスしているという理由であればいいのですが、もし、おすわりの姿勢で下を向けない結果だった場合には、下を向くと痛い=首を下に曲げたくない=頚椎に何らかの障害があることが疑われます。

例えば、首をどこかにぶつけたり、リードで強く引っ張られるなど、首に強い衝撃がかかったときには首の周りの筋肉や靭帯を痛めてしまい、首を曲げるのを嫌がることがあります。また、頚椎同士のつながりが不安定で首を曲げると頚椎の神経を圧迫してしまうような病気の時にも首を痛がることがあります。


食事の嗜好が変わった

口が痛い場合には、今までのフードより柔らかいものや粒の小さいものを食べたがるようになる場合があります。また、犬や猫はにおいで食事かどうかを判断するため、鼻が効かなくなってくると、よりにおいの強いものを食べたがるようになります。

さらに、ご飯をあげてもフードではなく水ばかり飲むようなときには、糖尿病や子宮蓄膿症といった病気が疑われます。さらに今まで食事に対してそれほど執着がなかった子が、急に食事に対して貪欲になり、食べても食べてもさらに食べたがるようになったという場合には、甲状腺や副腎皮質などの内分泌系の病気や痴呆など脳の病気が考えられます。

このように、食事の嗜好性の変化も病気を示唆していることがあります。


まとめ

ペットの食べ方は千差万別でひとつの個性ですが、もしも突然今までと違った食べ方をするようになったら、それは何かの病気を示す症状かもしれません。些細なことでも気になったらすぐに動物病院で診てもらうようにしましょう。

このように、飼い主さんがペットのちょっとしたしぐさの変化を見逃さないことが、ペットの健康や快適な生活を送るためにはとても重要です。