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食品の原料原産地表示について(参議院浜田聡議員のお手伝い)

2021.06.17 04:21

この時期、傘は傘ない、今日も出勤時に豪雨ひろみでしたので。

さて、昨日は参議員浜田聡議員のお手伝いに上がり食品の原料の原産地表示などいわゆる食品ラベルについて考証してみました。

まずは現行の規定です。

下記資料:消費者庁、食品表示基準改正のポイントより

これが下記のように変更になり、現在は移行期間中です。

消費者団体らは可能性表示に関して問題意識を持って抗議しているようです。可能性があるだけで事実とは異なることを表示することが可能になるという理由からです。

例えば、上記のようなウインナーの場合は、輸入の時も国産の時もあり得るという根拠を証明できる資料を持っていたら、可能性表示が可能になります。原材料の季節変動があったりして輸入品がほとんどであったとしても「輸入又は国産」という表示できてしまうことが問題とされています。

また、生鮮原材料とせずに中間加工原材料とすることで、実際の「製造地表示」ではなく、「国内製造」などといった加工地を表示することが容認されていることも問題提起しています。

いずれにせよ、いつでも何かを変更するときは反対意見が出るものです。消費者団体は可能性表示に関して、検証が不可能な容認であるから、消費者の誤認に繋がるとしています。一義的にはそうですが、それを回避する為に原材料表示を細分化したり、製造地表示を禁止したりすると、それに対応できる事業者が限定されて食品市場への参入障壁が高くなったり、不正表示が多くなり、監視機能が働かくなり、取締りが不可能になったりすることが危惧されます。事業者の90%以上が中小企業なのですから、うまく機能させるためには多少の配慮が必要だと思います。

私が思う折衷案として、「大括り表示」や「可能性表示」は認めるが、その条件として、国別使用実績や使用計画など根拠があることが前提となっていることから、それらの電磁的な開示義務を課すことで商品に表示する原材料表示を補完すれば足りるのではないかと考えます。

さて、下記の如くSNSで指摘されている具体例を見てみます。

確かに上記のように国別重量順表示が難しい場合、原料原産地を原材料の次に括弧を付して表示する場合は上記のような表示をすれば法的に足ることとなります。

なるほど、原材料の種類が多いときはたった5%であっても重量別割合が一番高いものになることはあり得ます。それは恰も表記している内容に即していないように受け取られるかもしれません。しかし、想像してみて下さい。原材料の筆頭が5%である食品の原材料の表記をつぶさに詳しく表記したら大変な情報量になります。なんせ、残りが95%もあるのです。最大で4%が以下の原材料が95%分のあるのですから最低でも23種類上あるということになります。

では、上記のような場合はどうすべきだったのでしょう。私は原材料名の中に原産地を括弧書きで示すのではなく、独立した項目として「原料原産地名」を設けるべきだったと考えます。

認められている表示方法は複数あります。上記のような国別重量別表示の標準的なもの、原料原産地を原材料の次に括弧を付して表示する場合、表示箇所を明示した上で枠外に表示する場合、「その他」を用いた表示などがあります。どれを用いるかは事業者に委ねられますが、上記の飲料のような材料の配分や種類が多岐である場合はそれに即した最も情報量が多くなる表示方法を選択するべきだと思います。確かに原材料名に括弧書きで原産地を表記する場合において、実際には複数の原産地の原材料を用いているとなると、消費者は事業者が不都合だと案じる情報の表記を避けていると解釈されても仕方のないことだと思います。

よって、原料原産地表示制度の基準として原材料名に括弧書きで付して原産地を表示するのではなく、「原料原産地名」という表記カテゴリーを設けることを原則にすることが望ましいように思います。現状は事業者の良心に委ねられている制度のように感じます。

上記の指摘ですが、私はそうは思いません。GREENSという商品の消費者の誤解を招くような商品であるとも思いません。ましてや、カゴメ社がそのような企業であるとも思いません。100%のジュースであれば100%である根拠を示さないといけません。100%とは果汁そのものであるストレート果汁であるか、果汁を濃縮したものを水で還元したものであり、他の生成物が混ざらないものであることが必要条件となります。

下記資料:アサヒ飲料HPより

所謂、ジュースには上記のような表記の種類があります。カゴメ社のGREENSは上記のルールに則って果実・野菜ミックス飲料と表記しています。規定を順守しているということです。よって、ミックスすることが騙すことにはなりえません。このSNSの場合は果汁と野菜汁の混合して100%になるように構成されている飲料であり、果汁が50%以上であることがわかります。

更にはこのSNSの記述には下記のようにあります。

この記述も言いがかりのようなものだと思います。果汁成分の量により公正競争規約・景品表示法などによりパッケージなどの表現の規制が法律で定められています。

上記の表より、果実・野菜ミックス飲料のパッケージにリアルな果実表現は許容されています。よって、消費者を欺いているとは思いません。

更に欧州同様の含有物の配分をメーカーが開示しないことを批判しています。これもお門違いだと思います。メーカーが商品に明記されていない含有物や配分を公開していないからと言って食品の安全を疑うには及びません。食品衛生法で食品および添加物の基準、検査、表示などについて規定するほか、 食器、調理具、容器、包装、乳児用おもちゃも規制の対象としています。所管は厚生労働省です。上記のSNSでの発信者はご自身の基準に適う飲料を購入すればよいだけです。私には現行のルールで国民が不利益を被ったり、食害が発生するとは一様には思えません。

発信者は国民が無知だからストレートと称する100%の果汁そのままの商品が日本で売れないのだと発信しています。私はそれも違うと思います。国民に提供される情報が阻害されているから売れないのではありません。

まずは価格の差です。100%果汁をそのままの商品(ストレート)だとすると、国内産では楽天市場で安いものを探してもリンゴジュースが200ミリリットル1本500円ほどしていました。それが、輸入品だと250円ほどで見つかりました。輸入品でも比較的高額な飲料商品となるのは重量物であり、なおかつ嵩張るので、それが価格に反映されているということでしょう。濃縮還元ジュースだと同様のものが輸入品で100円、国産のオーガニックの濃縮還元ジュースでも150円ほどでした。価格的には比べようもないくらいの差です。

次に味に関してですが、こちらは好みになるので一概には言えません。その上でお伝えすると、ストレートは果実感が強く甘みや苦みもそのままです。果物感がそのまま出ており正にストレートです。濃縮還元ジュースは還元する際に味の濃さを一定に整えられておりストレートに比べて果実の癖のようなものは感じられません。味に関してはストレートが個性が強く、濃縮還元が酸味もなくベーシックな味で安定感があります。

飲み心地ですが、ストレートは果実を絞ったままの液体ですので、多少の引っ掛かりがあります。ざらついた感じによって果実感を増したように思い、一層おいしく感じると受け止める人もいます。半面、濃縮還元ジュースはすっきりとした飲み口で飲み心地に特に主張するような工夫は見られないように感じます。飲みやすさを追求することが多いということだと思います。

最後に入手についてです。ストレートは専門店やデパートなどでの取り扱いが多いようです。量販店やスーパーやコンビニでの取り扱いは稀だと思います。半面、濃縮還元ジュースはコンビニでも販売されており手軽に入手できます。

 上記のことから、日本人がメーカーから与えられる情報が少ないことや食品に表示しるラベル表示に関する法規定が不備であること等が起因してストレートのジュースの市場が拡大しないのでは決してないと思います。当該市場におけるルールは何人にも平等です。同じ土俵なのです。ストレートのジュースが高額で味の調整がされておらず、飲み口も独特で、スーパーやコンビニが取り扱おうともしない商品だから、自ずとストレート果汁の市場は拡大しないのだと思います。それは現段階の消費者が示す結果にすぎないのだと思います。発信者はその原因や責任を商環境に転嫁するべきではありません。

 そして、日本人に濃縮還元ジュースが好まれるのはストレートを知らないからではなく、濃縮還元飲料が手頃の価格で飲みやすい飲み口で、スーパーやコンビニでも手軽に購入できるからだと思います。市場原理からして、当然の結果なのでしょう。

 私はストレートジュースの存在を否定しているのではありません。あくまでも支持者が少数に留まるには相応の理由があるということを主張しているまでです。そして、指示されないことを国民の無知によると断じてはいけないのではないかと考えているということです。日本人は世界的にも味に関しては柔軟で多様性に富んだ指向を持っていると思います。価格、味、飲み口、販売チャンネルなど総合的なバランスを持って日本の市場が形成されていると私は思っています。そして、このSNS発信者が思っているよりもずっと日本の市場は成熟していると思います。