アマデウスの旅16-革新的オペラ「フィガロ」
2021.06.17 11:04
フィガロは、この年9回の上演を見た。やはり大評判とはいえない。しかし実は、後で帝国都市プラハで大好評を博すのである。ともかくアマデウスは、革新的なオペラ作曲家との評価を確実にした。この時代には、オペラで認められるということが最も重要だった。
もう一方の作者ダ・ポンテこそ台本作家として認められ、仕事があちこちから入るようになった。ダ・ポンテは、ソイル作曲の「奇妙なこと」や、サリエリの「タラール」をイタリア語に訳して「オルムスの王アクスール」の台本を書いてヒットさせた。映画では、皇帝に評価されてモーツァルトが毒づくことになっている。
ダ・ポンテは後年モーツァルトの評価が高くなるにつれ、彼を世に出したのは自分だ、と言うようになる。しかし基本ストーリーはボーマルシェである。そこが気に入らないダ・ポンテは今度こそ自分のオペラを作ろうと思う。
しかしアマデウスは止まらない。誰からの依頼もなく、自分の創作意欲のために先進的な「ハイドン四重奏曲」を仕上げ、ハイドンに捧げる。そして、翌年のプラハ公演の前に、さらに劇的な交響曲第38番「プラハ」を作曲する。モーツァルトの絶頂期にかかってきた、この時30歳立志の年である。