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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

アマデウスの旅17-過激に「ドン・ジョバンニ」

2021.06.18 10:59

1787年1月、モーツァルトはボヘミアの首都プラハへ赴いた。実は「フィガロの結婚」がプラハで上演されて大喝采を浴びたのだ。実際プラハは欧州の赫赫たる文化都市なのだ。30年戦争や普墺戦争で荒れ果てた都市も、ようやく復興して人口が増加し、83年に国立劇場も建てられた。

それと共に、プラハは2度も反ハプスブルク大事件が起こった都市である。フィガロの結婚も、市民はそこに、ハプスブルク貴族への批判と、市民が知恵で負かすという快感を見たのである。アマデウスは大歓迎を受け交響曲プラハはもちろんのこと、アンコールで「もう飛ぶまいぞ」を即興変奏曲を12曲もつくった。

そして国立劇場より、彼は新作オペラを注文される。アマデウスからそれを聞いたダ・ポンテが提案したのが「ドン・ジョヴァンニ」である。この物語は、モリエールが劇にして発禁になったが、これも政治宗教批判を和らげて出す許可を取った。実際女がなければ生きられないダ・ポンテ自らの話だった。

ダ・ポンテは、モリエールを下敷きにしながら、オペラらしい物語にした。最初に殺人事件があり、犯人を捜す恋人達、女を求める主人公、主人公を探す元カノ、と、すべてドン・ジョヴァンニ中心に展開していく。さらに最後が、地獄落ちというホラーシーン。アマデウスの新境地の劇的音楽を披露するチャンスだった。