QUINTA DA MURADELLAのオクシダティーバ、フランス料理と合うワイン
ワイン名の「CRIANZA OXIDATIVA」をそのまま日本語にすると「酸化熟成」。
直訳だと、飲む前に ちょっとニュアンスが誤解されそう。
Winery : QUINTA DA MURADELLA (ワイナリー: キンタ・ダ・ムラデッラ)
Wine : CRIANZA OXIDATIVA 2009 (ワイン名: クリアンサ・オクシダティーバ)
Type : White Wine (白ワイン)
D.O. : Monterrei (D.O.モンテレイ / スペイン ガリシア州)
▼この白ワインの命名の由来を探ってみる。
まず、このワインの特殊な製法。
シェリー(フィノ)のような製法(※1)だそうです。
なぜ、そのような製法で造ってみたのでしょうか?
恐らくは、ドニャ・ブランカ種という品種の可能性を
試したかったのでしょうか?
フルーティーな酸豊かな白ワインではなく、
例えばブルゴーニュのような
ふくよかな、落ち着きのある、まろやかな白ワインを求めて?
そんなふうに思えてしまうのは、
この2009年産のワインを2015年に飲んだ時、
昔飲んだことがあるブルゴーニュを思い出させてくれる味わいだったからです。
▼とにかく、この白ワインを飲んで味わいを探ってみる。
最近の造りのブルゴーニュではなく、
また、熟成した年代ものという意味でもなく、
90年代頃の造りのムルソーあたりを彷彿とさせる印象でした。
ワインの名前「Crianza Oxidativa」(クリアンサ・オクシダティーバ)とは、
直訳すれば「酸化 熟成」ということですが、
(※1)
フロールを作るために最初空気に触れさせ酸化させるけれど、
それは全体を損ねるほどの酸化には至らず、
フロールの下でそれ以上の酸化をせずに(逆に守られ)
熟成させたワイン、
ということからの命名だと考えられます。いかがでしょうか?
通常のワイン醸造上、
シェリーやヴァンジョーヌなど特殊なワイン以外では、
この酸膜酵母が発生したものは腐敗ワイン、つまり失敗となりますが、
まったくシェリーやヴァンジョーヌのようにもならず、
このワインの場合、
シャープなフルーツや酸素が排除され、
まろやかな熟成された上質な白ワインに出来上がっています。
実際飲んでみると、まったくシェリーのような香りもなく、
酸化熟成された香りもなく、
まるでかつてのムルソーのような、
ブルゴーニュ白ワインかと思わせるニュアンスに
仕上がっていませんか?
フロールを作るために 最初は酸化させるわけですが、
上手にコントロール(制御)することで、それ以上の酸化を防ぐ。
造り手のホセ・ルイス・マテオ氏は、
「ワインから果実味を取り除きたかった」ということで、
この製法を取り入れたそうです。(と、ワイン専門記事に書いてありました)
また、この「フロール(産膜酵母)」は、
ワインから空気を遮断し酸化を防ぐだけでなく、
フロール特有のイースト香を与えると言われています。
ムルソーを思わせる香りの一つに、
このワインにナッツなどの香りがしたのですが、
そこからきているのかと思います。
ですので、フレッシュな果実香ではなく、
ナッツなどの香ばしさから、
コクやふくらみ、まろやかな印象を
ワインに与えていると思われます。
※2016年5月号の「ワイン王国」の特集「完全なるマリアージュ」で、
ガストロノミー・フレンチの料理とのマリアージュが掲載されていました。
当時、早速食べに出かけ、実体験してきました!
そのお料理とのマリアージュの詳細は、
→「料理王国№92」 バックナンバー(2016年5月号)で。▶料理王国のサイトへ
▼この白ワインを、他のお料理とも試してみる。
2015年夏に飲み、昔のムルソーを彷彿させる風味から、
このワイン(この産地、この品種からの可能性)の偉大さを感じ、
2016年春に飲み、ガストロノミーフランス料理とのベスト・ペアリングで感動し、
久しぶりに2016年年末に飲みました。
相変わらず健在で、芯のしっかりした印象です。
自宅飲みなので、フランス家庭料理「ポトフ」で合わせました。
帆立の旨みをプラスし、骨付き鶏肉からと濃厚な野菜のブイヨン。
バターの風味とコク。
もちろん料理とワインのマリアージュを楽しめました。
たっぷりのバターを乗せたパンドカンパーニュと
このワイン、最高に美味しかった!!
※パンは、ライ麦と全粒粉
※バターは、フランス産 AOP発酵バター
フランス料理が合うワインなので、パンとバターは想定通り!
いや、予想以上に美味しく引き立ちました。
ワインが一層美味しく感じましたよ。
やっぱりバターですね!
果実味を消して まろやかに仕上げたこの白ワインの、
リンゴ酸が抑えられたからこそ、
バターの乳酸とぶつからず、溶け合うからでしょうかね。
ちなみに、その10日後にオリーブオイルをつけたパンと試してみました。
やはりバターの方がしっくりきました。
抜栓8日目にお寿司を買ってきたので合わせてみました。わさび抜きで。
白身魚も、赤身のマグロも、海老も、、、ぶつかることはないけれど、
なんかワインがもったいないというか、
お寿司も何もこのワインでなくても、、、という、、、
なんていうか、、、ぶつからないけど、お互い生かされもしない、という印象でした。
ちなみに、同時に別のロゼワイン(シラー種主体)も試したのですが、
ロゼの方は、果実味が少し邪魔するけれど、
お醤油ちょっとつけて食べるとそれも気にならず消え、
意外にお互いぶつかることもなかったです。
さて、その抜栓10日後のこのワイン、
抜栓直後より、酸がキレイにのびやかにエレガントさが際立っていました。
生き生きとした果実味が蘇ってきたかのようで、驚いた次第です。
もしかしたらこれは、まだまだ、まだまだ熟成するのではないだろうか?!
計り知れない魅力と神秘のワイン。
何せ、この2009年しか造っていないという貴重なワイン。
この生産者【キンタ・ダ・ムラデッラ】のワインは
白も赤も大好きなのですが、
あらためてこの生産者の挑戦というか、力量に感動した次第です。
凄過ぎる!!