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yoyo

とわの庭

2021.06.18 15:00

同居人が結婚式の企画で当てたというお菓子が届く。銀色の缶に入ったもち吉のおかきだった。洋菓子を想像していたので驚いたけれど、老若男女受け入れられるものとなると必然かと思う。新郎新婦の心遣いを感じる。こういう上品なおかきを食べるのは久しぶりだ、誰かの家を訪ねたときに出されるよな、あと取引先が持ってくるぐらい、というようなことを話し、「おかきは誰かからもらえる味」という結論に落ち着く。


夕方から小川糸さんの『とわの庭』を読む。良いのだけど、一言で良いというには軽すぎるので軽々しく良いとは言えないお話。子どもを生むのは親のエゴ、子どもは生まれさせられる、というような反出生主義的なことがテーマに据えられていて、それがどう着地するのかが分からずハラハラしながらページを繰る手が止まらない。そんなテーマではあるけれど観念的なものはかけらも顔を覗かせず、物語は物語として美しくて、この方は物語を愛している方なのだなあとしみじみ思う(小川さんの作品ははじめてだった)。言語感覚も研ぎ澄まされていて、最近よく感想などで見かける「身体性」というキーワードにいまいちピンときていなかった私でも身体性を感じる文章ってこういうことか~と思うなどした。読み終わったら考えたいことが沢山ある。