コラム:ポピュリズムとキリエル人
2017年1本目の記事です
今年もよろしくお願いします。
さて、みなさんは「ポピュリズム」って言葉をご存知でしょうか?
辞書的な意味だと「情緒や感情によって態度を決める大衆を重視し、その支持を求める手法あるいはそうした大衆の基盤に立つ運動」ということになります(コトバンク参照)
新アメリカ大統領のトランプ氏などが有名ですが、去年はイギリスのEU離脱など、大衆の感情を煽るような呼びかけによって世の中が大きく動くようなことが目立った年でした。
この流れは今年にも大きく影響してくると思います。
そこで今回は「ポピュリズム」について特撮を通して考えてみようと思います。
今回取り上げる作品は「ウルトラマンティガ」第25話「悪魔の審判」です。
あらすじはこのようになってます。
街は天使を見たという噂で持ちきりになっていた。
天使を見たという人々のインタビューにGUTSのイルマ隊長の義母の姿が映る。
その後義母と住んでいる息子・トモキよりメールが届き、義母に会いに行ったイルマは違和感を覚える。
街に巨大な天使とキリエルの預言者が現れ、ウルトラマンこそ悪魔であると人々を煽る。
そして巨大な門が出現し、人々に扉を開けさせようとする。
イルマは門が開けばキリエル達が攻めてくると判断。ダイゴ隊員もウルトラマンティガに変身し、門を破壊しようとする。
その時、キリエルの預言者と巫女が合体しキリエロイドⅡが現れティガに襲い掛かった!
キリエル人というのは「ティガ」に登場する精神生命体です(キリエロイドはキリエル人の戦闘モード)
死んだ人間の体を使って人々の前に預言者・巫女として現れ人類を導こうとします。
第3話「悪魔の預言」に初登場し、その際はイルマがウルトラマンティガが人類を導く存在とTV番組で発言したことを怒り、「聖なる炎」と呼ぶ力でビルを爆破する事件を起こしティガと戦っています。
キリエル人が特徴的なのが地球を侵略してくる宇宙人たちと大きく異なることが、人類に自分たちを信仰するよう迫ってくることです。
脅迫や洗脳などを用いりますが、言葉巧みに人々の感情を煽り、人々が信じるティガを人々の目の前で打ち倒すために、わざわざキリエロイドという戦闘モードになってティガに挑戦してくる徹底ぶりです。
その強さは恐るべきもので、「悪魔の審判」での門をめぐる戦いでは一度はティガも倒れてしまいます。
その後イルマの決死の呼びかけに目を覚ました人々からの光によってティガが復活。
一気に戦況は逆転し、キリエロイドⅡと門はティガのゼペリオン光線を食らい消えてしまいます。
しかし、EDにてキリエルを信仰する人がいなくなったわけでないことが示唆されてこの話は終わります。
さて、ポピュリズムとキリエル人ですが、人々の感情を煽り自らをを信仰させる点が似ていると私は思うことがあります。
もちろん、ポピュリズムがキリエルのように悪魔的存在と言ってるわけではありません。
ただ、他者に感情を煽られたままでは、時に理性的な面を見落とし、思いがけない事態になることだってあるかもしれません。
昨今、過激な言動や敵を想定して激しく攻撃する言動をとる方が注目・増加してきて、そういった人の支持も広がってきています。
けれど、私たちは自分の中にある理性の光を見失うことなく、表面的な過激さに惑わされない判断が必要であると私は思います。
そうでなければ、思わぬ形で災厄を呼び込む地獄の門を開いてしまうことになるかもしれませんから・・・・・
誰の心にもある弱さや不安とそれに惑わされない理性の強さを人は持っている。
キリエルの挑戦とウルトラマンティガの奮闘からそんなことを感じ取りました。
以上、新年早々長ったらしい考察となってしまいスイマセン・・・
この「悪魔の審判」、ストーリーだけでなくティガのタイプチェンジに対抗して姿を変えるキリエロイドⅡとのアクション。
絵画「アダムの創造」を意識した人々の光を受けて復活するティガなど名シーン・名台詞満載の傑作なので、3連休中にぜひご覧になってください