温泉MaaSの開発(2)
長野県千曲市ではワーケーションを推進していますが、ワーケーションの場を提供する上での移動課題については、こちらの記事に書いた通りです。温泉MaaSは、ワーケーション参加者の移動課題を解決するために開発することになりました。
この記事では、温泉MaaSの技術的な部分について紹介します。今回は第1回目実証実験(2021年2月25日実施)の範囲とします。
第1回目実証実験では、タクシー予約管理の機能のみの提供としました。これは一番要望が多かったという点と、地元のタクシー会社にご協力が得られそうという見込みがあったことです。タクシーのサービスを提供する上では最低限以下の機能要件が必要となります。
- 利用者がタクシーの配車予約をする機能
- タクシー会社の配車担当者が利用者からの配車予約を知る機能
- タクシー会社の配車担当者が配車可否を登録する機能
- タクシー会社の配車担当者が利用者に配車可否を知らせる機能
- タクシー会社の配車担当者がタクシー運転手に配車を伝える機能
- 利用者がタクシー利用料を支払う機能
第1回目の実証実験の目的を以下のように定めました。
- 利用者がワーケーションにおいてどのくらいタクシーを利用してくれるか検証する
- タクシー会社がこの仕組みを使いこなしてもらえるか検証する
目的を確認するには上記機能のうち項番1〜4は必須となりますのでデジタルによる仕組みを構築することにしました。一方で、項番5、6はデジタル化が必須ではないため、項番5は従来の仕組みである無線による伝達のままとし、項番6は紙チケットを発行して、利用者からタクシー運転手への手渡しによる支払い方法としました。
システム構成を下図に示します。利用者はLINEアプリで、温泉MaaS公式アカウントに友達になることで、機能が使えるようになります。利用者用アプリは、LIFF(LINE Front-end Framework)で構築しました。
ワーケーション参加者である利用者がタクシー配車予約を利用者用アプリから登録すると、タクシー管理DBに登録されます。タクシー会社側は、一般的なWebアプリで構築されたタクシー管理アプリをWebブラウザで開き、定周期でDBの情報を取得することで、利用者からのタクシー配車予約を知得することができます。タクシー管理アプリからタクシー配車可否(配車可能、配車不可)を登録すると、DBの管理ステータスが更新され、利用者にはLINEメッセージによって配車可否の通知が行われます。
下図に全体の流れを示します。