「宇田川源流」 EUに吹き荒れる「極右」(愛国者)の嵐の予兆がフランスの地方選挙で出てきた
「宇田川源流」 EUに吹き荒れる「極右」(愛国者)の嵐の予兆がフランスの地方選挙で出てきた
昨年の12月31日、イギリスとEUの間でイギリスのEU離脱、いわゆるブレグジットの交渉が完結し、そのことによって2016年6月の国民投票以降のブレグジットの経過措置が終わり、イギリスはEUという連合体に飲み込まれない、一つの完全な独立国家になった。この一連の動きに関して、日本の評論家の多くは「イギリスはそのうち詫びを入れてEUに戻る」などというようなことを言い、また「国民投票のやり直し」などということがまことしやかに言われていたが、そのようなことは全くなかった。基本的にこれら評論家の人々は「嘘」を言っていたわけであるが、その責任は負うのであろうか。全く関係ないというような顔をして、今まで通り何事もなかったようにそのままいるのであろう。まあ、言論の無責任は本当に身勝手なものである。
さて、イギリスは何故EUを抜けたのか?
このことをしっかりと解説したものはなかった。何しろほとんどがイギリスがEUに戻り離脱しないというようなことを言っていたのであるから、EUから離脱した理由などをしっかりと分析した人がいないのが日本の言論界だ。逆に言えば、「なぜブレグジットを起こしたか、国民の多くがそのような投票結果を出したのか」という「当たり前の分析」もなく評論しているのが、日本の言論界であり報道陣なのである。まあ、そのような者をいつまで信用しているのか、日本人の気の長さには驚きである。
さて、答えは「イギリスの国益にかなわないから」というものである。つまり、EUに加盟していることによって、イギリスは国益が守れないと判断した。実際に「経済圏」が同じになり、なおかつ「経済的に編重」するということになった場合、当然に、その中心地区に全ての叡智や人材が集中し、また経済が回ることから、そこに経済がすべて集中することになる。日本の国土を見ていればわかるが、経済や企業が集中する東京と、そのほかの都市がどのような関係になるのか。この関係がイギリスとドイツやブリュッセルの間に起きているということになる。要するに「中心地」以外は「過疎化」することになる。
日本のような同一の国家であれば、それでも何とかなるかもしれないが、税制も何も異なる「国家」が変わりなおかつ民族も異なる場合、そのような「他国への人材と技術と資本の流出による過疎化」を許せるのか。そのことを考えれば、当然の帰結になる。
イギリスはこれでなんとなかった。しかし他国はどうなのであろうか。
20日に仏地方選、極右初勝利か=来年大統領選の前哨戦
【パリ時事】フランスで20日、来年の大統領選の前哨戦と位置付けられる「地域圏」議会選(比例代表、2回投票制)の第1回投票が実施される。
マクロン大統領の与党「共和国前進」が劣勢に立たされる一方、極右政党「国民連合(RN)」は議席を伸ばし、地域圏議会選での初勝利を視野に入れる。
地域圏は、複数の県を束ね国に次ぐ権限を持つ広域地方自治体。選挙結果は国政に直接影響しないものの、これまで根強かった極右政党に対する国民の拒否反応を測る指標として注目されている。
今月上旬に調査会社のイプソスが行った世論調査によると、1回目の投票で海外県を除く本土の13地域圏のうち6地域圏でRNが首位に立ち、決選投票では、マルセイユ市を含む南仏の地域圏で第1党の座を獲得する可能性がある。RNのルペン党首は9日、ツイッターに「希望を勝利へ変えよう」と投稿し、勝利に自信を見せた。
2016年に設立された共和国前進は初の地域圏議会選に臨むが、新型コロナウイルスの感染拡大による経済的打撃が特に大きい地方で与党に対する不満が強く、苦戦が予想されている。野党の共和党や社会党は支持基盤を生かし、善戦する見通し。
15年12月に行われた前回選挙では、直前に発生したパリ同時多発テロを受け、移民排斥を掲げる極右が支持を拡大。当時の国政与党、社会党は決選投票で候補者を取り下げて右派と連携し、極右の勝利を阻止した。マクロン氏は「共和国の勢力結集を求める」と述べているが、候補取り下げについては明言していない。
2021年6月19日 16時0分 時事通信社
https://news.livedoor.com/article/detail/20396532/
EUという内容においては、企業と金銭が中心になりなおかつ旧冷戦時の東西両方の考え方が入っているのがドイツしかない。ドイツは戦後1990年までいわゆる「ベルリンの壁」があり、東西で国家が分かれていた。その東西ドイツが一緒になったのがドイツである。そのドイツのコール元首相が「EU第一主義」を掲げ、そのあとを受けたメルケル首相が「ドイツを中心にした共同体」ということを行ったのだ。
しかし旧東側、つまり、全体主義というような考え方をする人々は「中央集権」「権利極集中」を考え、分散型の国家づくりをしない。そのことは北朝鮮や中国を見てわかるとおりであり、衛星都市構想などは全くないということになる。国家が異なる「連合体」であるのにそれをお行ってしまった場合、「負担」は応分でありながら「権力」は「中央に集中」ということになってしまうのである。
さて、そのようなことを望む国はあるだろうか。ドイツは別である。しかし、他の国は不満がある物の、一度ドイツに経済の中心を持っていかれてしまっては、今更独立しても国家単独で経済を回せないのである。現在東京都や大阪府以外で、日本国政府からの地方交付金なしで都道府県の政治をできるところはあるのだろうか。そのように考えれば、それは日本という国土と都道府県というのではなく、ヨーロッパ全般とEU各国というように考えれば見えてくるのではないか。
そのようになれば「なぜEUの中心に富と人材と企業を獲られてしまうのか」「自分の国は自分の国で守り発展させるべきではないか」というような感覚になる。これをなぜか「極右」という表現を使うのが日本のマスコミなのであるが、私からすれば「愛国保守」でしかないように感じる。
さて、フランスはまだ「EUの経済に依存しなければならない割合が少ない」ところであり、同時に、フランスの国内においては、今までのEUに従っているマクロン政権に対しての反対運動が大きくなっている。実際に「イエローベストデモ」などでパリが閉鎖されるほどの規模になっているのである。
地域圏は、複数の県を束ね国に次ぐ権限を持つ広域地方自治体。選挙結果は国政に直接影響しないものの、これまで根強かった極右政党に対する国民の拒否反応を測る指標として注目されている。<上記より抜粋>
さて、これからの流れがどうなるのか。なかなか興味深い。