【THE SHOKUNIN】どんな仕事でも誰かに愛を届けること。愛があれば、養生一つでもお客様が喜んでくれます
【多能工】刀根大真さん(31歳)
リフォームの営業担当者にとって、熟練の職人さんは大切なパートナー。今回登場するのは多能工の刀根大真さんだ。様々な工事を請け負う刀根さんの仕事への姿勢を紹介する。
「愛」がキーワード丁寧で喜ばれる仕事に
多能工として長年活動してきた刀根さんは、2020年に会社を立ち上げた。業務内容は内装工事全般。水回りの交換やクロス張り、塗装、造作大工仕事、ガス給湯器交換まで、様々なリフォーム工事を請け負っている。
そんな刀根さんが仕事をする上で大切にしているのは「どんな仕事でも愛を持って作業をすること」。「愛を届けます」は代表を務める会社のキャッチフレーズでもある。
「よく『相手の立場になって考えろ』と言われますが、愛があれば考えなくてもわかります」と刀根さん。例えば、組み上がったキッチンにちょっと工具を置く時、タオルなどを敷いてから置くこの一手間を惜しまない。
「後で何か言われるからやるのではなくて、愛を持っていたら自然とできる。愛がある作業をしていると、養生1つでもお客様が喜んでくれます」
ユニットバスの工事に行くと、昔の工事会社が設置した際の、余った配管の切れ端やコーヒーの空き缶などが床下から出てくることがある。そういうゴミさえも回収して、片付けるようにしている。
▲この日は一軒家のクロスの張り替え。気温は35度以上で、現場は室内でもかなりの暑さ
▲スタッフに指示を出す刀根さん
YouTubeで技術を勉強
自身の施工事例もインスタに
刀根さんが多能工として、色々な工事の技術を修得するために活用しているのが「YouTube」だ。
「YouTubeで大丈夫か?と言われますが、今でも暇さえあれば見ています。ポイントが分かりやすいし、何度も見直すことができるのがいいですね」
よく見ているのは、DIYの材料のネットショップ内の動画や、「技〜さらなる高みを目指して」というシリーズの職人の動画だ。「この職人の動画はすごくて、何回見ても新しい発見があります。僕がスタッフに教える時も『この動画、見てきて』と言うこともありますね」。
今では自身のチャンネル「おとね屋」を立ち上げ、自分でも施工事例を紹介している。
現在、見積もりサイトやインスタグラムを見た顧客からの依頼が多く、直受けの仕事がほとんど。多能工としてどの工事も奥深く、「まだまだ勉強中の身です」と刀根さんは話している。
刀根さんが愛用している道具
▲手に持っているのがインパクトドライバー。腰袋にはハンマー、カッター、マイナスドライバー、プラスドライバー、モンキースパナ、コーキングをする時に使うヘラを入れている
▲コーキングのヘラは牡蠣やムール貝を剥く用の調理器具を、使いやすい厚みに削って使用
刀根さんからリフォーム営業担当者にメッセージ
「こんな営業さんはすごい! その1」
職人からの提案に嫌な顔をしない営業さんはすごいと思いますね。その営業さんはなぜそうした提案をしたか、理由をよく聞いてくれます。
それに「職人さんのやりやすい方法でやってもらっていい」とも言ってくれます。これはわかっていない人が「いいよ」と言うのとはちょっとニュアンスが違います。「任せてくれる感」がこもっています。この営業さん、色々な職人をまとめてうまくチームを作っています。憎めないキャラクターの方で、ちょっと段取りが悪くても、「まったくしょうがねえなあ」とみんなでカバーしたくなってしまう、そんなリーダーです。
「こんな営業さんはすごい! その2」
もう一人、すごいと思う営業さんがいます。その営業さんがお客様に提案する金額は高めです。でも、お客様のところに行くと、とても満足されていて「お昼ご飯作ったから食べていきなよ」って言ってもらっているんです。話を聞くと、年配の方には世間話も兼ねたアフターフォローの電話もしているそうで、そうした気遣いが受けているんだと思います。こうした営業さんの姿を見ると、ただ工事代を安くすればいいものではないと感じます。
リフォマガ2020年11月号掲載