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The Weekend Traveler

世界美術ノススメ

2021.06.22 23:18

わたしが社会人生活において悔しくてたまらない事のトップいくつかに航空会社のマイルと会社の有給休暇を捨てる事、がある。


その2つが同時にやってきそうだったので自分の精神衛生のために旅を予約。


遂にやってきました。


四国徳島。


鳴門、渦潮、阿波踊り。


徳島について思いつくとこをあげるとこれで全部な未開の地。


まずは空港でレンタカーを借りて鳴門市へ。

コロナ禍で密避け旅の技を様々身につけるにあたってレンタカーは避けて通れない。

なので今回は運転練習も兼ねて。


目指すところは大塚国際美術館。

えぇ、あの大塚製薬の美術館です。


駐車場がまあまあ遠かったんだけどもそれもそのはず、こんな立派なシャトルバスがあるから無問題!

この横浜市バスの1.5倍は絶対ある超長バスにもう2人しか乗らない状態で出発。大塚製薬何者感が漂い始める。


5分くらいで美術館に到着。

入場料が1人3300円とちょっとお高い。油壺マリンパークの3倍すんぞ、おい。いいもん見せてくれるんだろうな。

と息巻く。


券売所から長ーいエスカレーターで入り口へ。

何これ、大塚製薬何者ですか。


もはや階段がカロリーメイトにみえてくる。

ちょっともうポカリスエット嫌いになりそう。


と思いがけないスケール感に無意味な嫉妬さえ感じる小市民なわたしたち。


大塚国際美術館は、世界の名画を鳴門の砂を使って作った陶版にほぼ実物大で模写するというかなりチャレンジングな試みを成功させて、モネもピカソもダビンチも一斉に楽しめるとんでもないことをやっている美術館。

のっけからど迫力。

360度本気のレプリカ。


めたんこデカい。

音声ガイドによると、神が地獄と天国に行く人を分けてる様ということで、さっきまで大塚製薬に言われなき悪態ついてた私たちは完全に地獄側。

教会の椅子ってこんなだったな。

と中学なるまで毎週教会に通っていたことを唐突に思い出す。


古代から順路が続くんだけど、これだけみたらローマ行ってきましたって言っても誰にも疑われなさげな再現率。

単なるヨーロッパ再現しました、じゃなくてちゃんと美術史的な説明も聞けてここは面白い。

この美術館のデカさというかスケール感。

再びど迫力のレプリカの間。

特に宗教画の数が凄まじくてもう一生分イエス様には会った気分。

時代によっては宗教画はデザイン的にも面白い。2Dの中にある立体というか、模様も意味があるようなないような、現代のデザイナーさん、どうですか、これ。

その昔の絵画とか美術は宗教がベースにあって、風景とか日常が描かれ始めたのはその後だと知る。

ダヴィンチばっか見慣れてるとこの最期の晩餐なんて最高にポップ。


わたし世代にはむしろパロディの方がお馴染みの自由の女神。

これはフランス革命ではなくてそれより後の7日間戦争をリアルに体験した作者が、自由を擬人化したのがこの女神だったとか。

馬とか電車を擬人化しちゃう現代カルチャーとは似て非なる生々しさ。


クリムトの代表作たち。

クリムト大好きでウィーンのクリムト美術館まで原画を観に行ったのに覚えてることと言えばウィーンの人、そんなに優しくないなって言うどうでもいい思い出ばかり。

このナポレオンの作品も印刷が実家にあったんだけど、固定電話の前に学校の連絡網と並びで貼ってあって、親の目を盗んで長電話してた思春期を思い出す。ナポレオンの特にお気に入りだったと知ってなんだか申し訳ない。



あまりにボリュームありすぎて全体観れずにタイムアップ。それでも数時間は歩き回ったはず。


ここにあったクリムトの接吻とかピカソのゲルニカとかも現地で現物を観たことがあったけども、だいたいどこも激混みで説明もろくに読めないことが多かった。


大塚製薬美術館の再現度は本家も監修してるほどなので相当素晴らしく、普通のレプリカより陶版は劣化しないし長く楽しめる。

ムンクの叫びなんて、ここで観て、そういえばオスロ美術館で本物みたわ、と思い出したほど。


もちろん現地で本物観れるのはベストだけどもレンブラントとモネとピカソとダヴィンチが同時に楽しめる場所、世界のどこにありますかい。


まさかの徳島の鳴門でそんな凝縮された世界に出会って、ついでにその世界の傑作にまつわる自分の色んな記憶も呼び起こされて大層有意義な時間になった。

ポカリスエット御殿とか言って心の底からごめんなさい、大塚製薬さん。


コロナ禍で世界の名作に飢えてる方には是非おすすめ。


徳島の旅の良き幕開けでした。

次につづく。