第三者配信(バイイングサイド)サーバーという概念
昨年、ダブルクリックがグーグルに買収されることになって、それに対応するかのようにWPPが24/7を買った。ダブルクリック社のDFA(DART For Advertisers)は、バイイングサイドつまり広告主サイドが使う第三者配信サーバーである。これを早期から一番使っていたのはIBMで、世界各国でマインドシェアがDFAを使って広告配信をしていた。(今はNEOかな?)おそらくダブルクリックがグーグルに買収されることで、WPPが脅威を感じたとしてもおかしくない。もっともそれだけで買収を決められる金額ではないので、24/7自体のアドネットワークとしての価値を最も評価したのは云うまでもない。
ただ、こうしたアドネットワークという媒体とアドテクノロジーとしての配信サーバーを広告業界が取り込もうとするのには意味がある。
私ベムはまだ20世紀のころから、ボストンにあるアドナレッジ社(おそらく世界初の第三者配信サーバー技術を確立した会社)に行って第三者配信サーバーを研究してきた。そしてこの技術が、メディアであるサイトという概念と、メディアと広告主(バイイングサイド)の関係を少し変えてきたのだと思う。ビークルを横断的に捉えつつユニークなリーチや、ポストインプレッションによるトラフィックやユーザーアクションを捕捉する考え方は、従来のメディアをビークルごとに括って、それぞれに出稿するという概念と幾分違ってくる。あくまで主体は広告主側のサイトであって、主導権が広告のバイイングサイドにある。
特に、行動ターゲティングになると、広告主はまるで、ターゲティングメールを打つような感覚で、ブラウザを特定するようになる。この時ブラウザ特定は、何も媒体サイトのユーザー行動だけが基準ではない。そして掲載面基準ではなく、ブラウザ基準や配信時間帯基準で広告配信するようになる。テレビでいうと、番組が媒体サイトだとすると、まるでスポット広告のように個別の番組にとらわれることなく広告を配信するイメージだ。
こうしたことで、広告主は自社のWebサイトのマーケティング活動を、第三者配信サーバーというアドテクノロジーのひとつを駆使して、最適化することになる。この最適化の概念が形成されるには、広告主主導の広告配信という考え方がひとつの出発点になる。
日本ではまだまだ受け入れられていない第三者サーバーだが、その価値をもっと広告主にアピールする必要がありそうだ。