次世代広告マン養成ギブス その5 「テレビの個人視聴率推移」
テレビの到達力指標である視聴率は、云うまでもなく、基幹地区は機械式でパネル視聴世帯からデータを集めている。世帯視聴率つまり単純にテレビが点いているかどうかと違って、個人視聴率の場合は、個々の世帯構成員が視聴する度にボタンを押しておいてもらう方式になった。世帯視聴率はずっと機械式だったが、個人視聴率も機械式で取るようになったのは意外と最近の97年からである。それ以前の個人視聴率はいわゆる日記式で、日記式から機械式に変わって、個人視聴率は7~8掛けになったと記憶している。
さて、この機械式になった97年から以降の視聴率推移を見てみよう。それ以前とはあまり比較にならないからだ。
関東地区19:00~23:00の全局視聴率で見ると、世帯視聴率は、97年に68.4%だったものが、06年には65.7%つまり97年を100として、06年は96.1になる。
テレビの視聴率は落ちていると云われている割には、ここ9年間で、3.9ポイントしか落ちてない。ところがこれを個人視聴率で観ると、かなりクリティカルな状況となる。
男女ティーンで、97年を100とすると、87.0
男性20~34(M1)で、87.4
男性35~49(M2)では、83.7
女性20~34(F1)で、91.2
女性35~49(F2)で、89.4
となって、ほとんど2桁ポイント落ちている。たった9年間の推移としてはかなり大きいと云える。
逆に、
男性50~(M3)は、103.0
女性50~(F3)で、98.7
なので、テレビは高齢者のメディアになっていることが分かる。
最近はほとんどの有力広告主がターゲットGRPを算出させている。世帯視聴率はさほど落ちていないが、ターゲットによってはかなり獲れにくくなっている訳だ。こうした到達力の低下と分散化に対応したメディア戦略が求められている。
とはいえ、テレビというメディアの力が非常に大きいことには変わりない。ただテレビだけで購買行動までを促すことができにくくなったのも事実。
テレビのデメリットは、「到達力は高くても、ターゲットのセグメントが効きにくく、無駄な投下が多い」という認識がされていると思うが、本当のデメリットは、「見込み客にそうでない人と全く同じ15秒のメッセージしか届かないこと」である。