広告会社はCTOを置くべし
最近になって日本でも「アドテクノロジー」というワードが業界で使われるようになった。ただアドテクノロジーの本質を理解している人は極めて少ない。
昨年、aQuantiveをマイクロソフトが買収したり、グーグルがダブルクリックを買収したり、WPPが24/7を買収したりと、広告配信を中心とするアドテクノロジーを大資本が(MSに至っては自分が世界最大のソフト開発会社であるにもかかわらず)次々と囲い込んだ。その影響で日本の広告会社の経営層もアドテクノロジーを認識しないわけにはいかなくなったようだ。
アドエイジ誌の世界の広告会社ランキングで、10位はADKだが、その上の9位にランキングされているのaQuantiveである。aQuantive自体は持株会社なので、事業会社としては、AvenueA Razorfishというインタラクティブエージェンシー、Atlasというテクノロジー会社、DrivePMというアドネットワーク=メディアの3つで構成されている。
これがある意味次世代の広告会社の業態の将来像かもしれない。
とはいえ、未だに日本では「アドテック」が開催されていない状況で、日本のアドテクロノジーに対する認識は低い。
例えば、グーグルのAnalyticsを使ってトラッキングデータを分析してくれとか、アド配信ツールを使って、企業Webサイトをユーザー別のダイナミック表現を展開してくれとか、クライアントに依頼されることは今後いくらも出てくる。そのニーズに対応できる広告マンがどれだけいるかである。
別に広告会社が技術を囲い込むことはないが、駆使できるスキル育成は必須である。
そうした環境下には、広告会社がチーフテクノロジーオフィサーを置くことが求められる。
おそらく、人材はいないだろうから、テクノロジーに精通した外部に人を求めがちであるが、広告ビジネスを十分理解していることがまず先で、その上でテクノロジーの評価ができることが重要だ。
従来広告業界はITなどの技術に疎い人の集団で、システム構築もSEベンダーに結構いいように鴨にされてきた。
またせっかく大金を投じてつくったプランニングシステムとかをろくに使わないできた。どこかでシステムやメソッドに使われているような気がして、人の産業である広告マンのプライドが許さないような感覚があるのだろう。
しかしもうそんな悠長なことを言っていられる時代ではない。
この際、CTO人材育成を社内外に打ち出して、テクノロジーによる広告ビジネスの付加価値向上やオペレーションコスト削減を推し進める時期にある。