アンドロイド搭載TVの登場に見る「テレビはデフォルトで放送を受信するものでなければならないのか?」
つい先日までW杯で盛り上がったブラジル。ところで、日本のデジタル放送方式がブラジルを始め、南米諸国で採用されていることはご存じだろうか。
ところが、せっかく日本のデジタル放送方式が採用されたにも関わらず、現地で売れているテレビはほとんど韓国製なのだそうだ。いろいろ訊いてみると、価格の問題もあるかもしれないが、スマートTVとしてのオンライン接続規格で、日本のTV機器は世界のニーズにしっかり対応できていないからだという話もあった。
そもそも日本では、テレビはデフォルトで放送を受信する状態になっていないといけないことになっている(らしい)。次世代スマートTVの仕様においても、テレビ放送を主体としてネットを従属サービスとしている。
しかしグローバルには、ずっとテレビの生産を止めていたフィリップスが久々に再開したテレビがアンドロイド搭載だったりしていて、今や放送の受信は選択肢のひとつであると考えていいと思う。
昨年のスマートビエラのテレビCM放送拒否問題も記憶に新しいが、(拒否ってしていいのかな。どうなんだろ?)
http://www.huffingtonpost.jp/2013/07/08/panasonic_n_3559736.html
放送事業者を中心にテレビというデバイスはデフォルトで放送を受信するものと規定する発想には、「それを選ぶのはユーザーなんじゃないの?」と思うし、テレビ局はコンテンツ制作者でもあるんだから、ディストリビューション手段がオンラインでも「ドンと来い」と構えて欲しい。編成権が視聴者に移ってしまった時代の番組供給手段としてむしろオンラインを活用しないといけないのでは?・・・、というか、そもそもオンラインの動画コンテンツ供給にテレビ局が本格参入しないと面白くないのよ。HULUにだって番組の供給がかなり出てきているんだし、オンラインでも広告収入モデルにチャレンジして収益性を確認してみたらどうだろう。(コンテンツごと課金⇒見放題課金⇒広告で無料)
アメリカでは放送とオンラインの垣根は本当になくなっている。Netflixが制作した「HOUSE of CARDS」がエミー賞を獲得したことはみなさんご存じのとおり。一回もテレビ放送されていないドラマがエミー賞。また、アメリカではテレビスポット広告はアクチャル保証するけど未達の場合の補てんを放送によるかオンラインによるかは「おまかせ」という仕組みが出現している。
私の家のリビングのTVでは、だいたいNHK2:民放4:WOWOW2:HULU2ぐらいの視聴時間シェアだから、まだまだ放送受信主体だが、ただ専念視聴時間でいうと、NHK2:民放2:WOWOW2:HULU4くらいかな。(今は全米オープンテニスやってるからWOWOWとHULUは逆転してるかも)
視聴者が能動的に、かつ自ら選択的に視聴するオンデマンド番組の方が専念視聴される分広告効果が高いなんて調査が出てきてからオンラインに本気出しても遅いんじゃないの? 頑張ってよ!テレビ局・・・。
今のテレビリモコンじゃあ、まあオンラインコンテンツ視聴は面倒だし、そもそも回線は早いのにテレビ側の処理速度が遅かったりする。画期的なポインティングデバイスや入力方法などにイノベーションがあれば、大きな高精細画面をリーンバックで享受するコンテンツをネットから自在に選びたいという欲求は大きいと思う。放送で観ようが、オンラインで観ようが、テレビの大画面で観たいのは、今のところは映画やドラマがメインだしね。(今のところはね・・・。)
さっそく買ってみたChromeCastはうちではそれなりに活躍しているが、テレビは既にデジタルデバイスなのだ。放送事業者側がその仕様を決めるのではなく、テレビメーカーも通信事業者も一緒にユーザーオリエンテッドな開発を進めて欲しいものだ。そうでないとメーカーもただただ端末ハードを売るだけが続くだろう。しかも40インチくらいのテレビが4~5万で売られていて、スマホより安いのだから・・・。