北中米卒業旅行-2-
資本主義超大国・アメリカの高物価に喘ぐ私が目指したのはカリブ海に浮かぶ夢と理想の社会主義国家・キューバ。比較的安く過ごせるから…などと東側を舐めた態度で入国しようとするなど言語道断、どんな罰が下されるかわかったモノではない、、、はずであるが時は2017年。
かつて冷戦期、核戦争一歩手前の一触即発の事態へ至るその一因となったあの頃とは違い、2016年からなんとアメリカとキューバの間は直行フライトによって結ばれるに至ったのである。
歴史の流れの今最先端にいるのではないかとの感慨に耽るフロリダ→ハバナの短い短い空の旅。なかなか出てこない預け荷物、外の風がぬるく吹き抜けるバゲッジクレーム。忙しく時の流れるアメリカとは打って変わったゆるーい世界がそこにはあった。
目に飛び込んでくるのは馬車、50年60年モノのクラシックカー。
そんなものがこの21世紀も20年が過ぎようとしている今なお現役バリバリで行き交うその理由はあまり好ましいものではないにせよ、これが我々を惹き付ける観光要素そのものであるという点はなんとも皮肉。
宿に至るまでも尽くが絵になるこの国の情景に感嘆する日々。
ハバナから遠く離れてはみたかったがそうもいかないあまりにも侘しい財布事情。
何も生活のあり方までもキューバに密着しなくてもいいのだが。
そんな財布と相談しながら飲むキューバコークは不思議な味でありしあわせの味であった。
宿のママが作ってくれるぬるいジュースは非常に素朴で味わい深いものだった。
だがその24時間後、転戦先のメキシコシティで腹痛にのたうちまわることになるともつゆ知らず。
滞在中、せめてもの鉄分ということでハーシー電鉄のよくわからない駅で途中下車。
ハリケーンでなくともちょっとした嵐ですぐにでも倒れそうな木製架線柱が好ましいがインフラとしてどうなんだ。
帰りの電車は定刻と教えられた時間から結構な遅れで駅にやってきたかと思いきや目の前で立ち往生。何らかの即席修理をやっている間にも時間はひたすらに流れていく。
だがそれでいい。そういうユルさを求めてやってきたのだから。
全くもって焦る風でもなく”まぁこんなもん”と日向ぼっこをする地元民たち。
どうか、このユルさがいつまでも残っていて欲しい