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旅のチカラ、旅のカケラ

終わらない夏

2008.03.15 12:00


毎日が夏。

この旅は、ずっと夏がつづく旅。


タイのパーイからメーホーンソーンへと移動した。

タイ北部の西端、ミャンマーとの国境にあるこの町は、

乾期には霧が立ちこめて幻想的な風景になるそうだ。 

早起きしてみたが、街はクリアー。

残念ながらその光景には出会えなかった。 


チャン族やカレン族、モン族など山岳民族が共に生活し、 

隣国ミャンマーの文化の影響を受けているようだ。

また、ミャンマー様式の仏教寺院を見ることができ、 

ワット・プラタート・ドイ・コンムーは、 

何層にも重なり合った高い屋根をもつ木造の本堂、 

精緻に施された美しい装飾などが見どころである。 



車窓を流れる景色は、ずっと深山。

とにかく緑でいっぱいだ。

ときどき小さな川を渡ったり、山あいの村が顔を覗かせたり。

そんな景色を眺めていると、少年時代の夏休みを思い出す。




遠い親戚のもとへ行ったこと、

日が暮れるまで大地を駆け回ったこと。

泥んこになっても笑ってたこと。


ずっと終わらないそう思っていた、夏の日。

ロングバケーションにもいつかは終わりがくる。

あの頃の記憶は、もう断片的にしか思い出せないけど、

こんな心象風景に出会うと、微かに胸がうずく。


今、「明日」が来るのが楽しみでしかたない。


日本で仕事に追われていたころ、

何もすることがなく、ただぼんやりと過ごしていたころ、

こんな気持ちになかなか出会えなかった。

いつしか社会人になり、「夏休み」を取り上げられた僕らは、

懐かしい記憶だけがそっと心を慰めてくれる。


―この旅もいつかは終わる―


夢から覚めるように、もうひとつの現実へと戻るときがくる。

だから今だけは、終わらない夏を追いかけていたい。

あの頃の少年の眼差しで。