Ameba Ownd

アプリで簡単、無料ホームページ作成

ゆとりらYOGA

「14歳の栞」(映画感想)

2021.06.24 14:34

ある中学校の3学期、2年6組に在籍する生徒35人全員に密着した青春リアリティ。中学2年生という子どもか大人か曖昧な時期、学校が世界のすべてだった生徒たち。主人公もなく、劇的なドラマもなく、どこにでもいるありふれた35人の生徒たちそれぞれの姿を映し出すことで、誰もが経験してきた「あの時期」に立ち返るような120分が展開する。監督は短編映画「ハロー!ブランニューワールド」で注目を集めた竹林亮。(「映画.com」より)


自分が20代の頃、3年ほど過ごした埼玉県春日部市。都内迄は小一時間で出られるけど、でも東武線沿線だからまっすぐ出られるのが北千住とか浅草とか。とにかく渋谷区や港区からは遥かに遠い田舎町。

映画には、見覚えのある大きな川やショッピングモール(今は撤退して家具屋さんになってるらしい)…道が広くて畑が多くて…春日部変わってないな!

そんな春日部市の公立中学校2年生の生徒達を映すドキュメンタリー。


1人1人教室でインタビューし、授業中や部活の様子を追いかける。大きな事件やトラブルはないけど、夫々の言葉に驚かされたり苦笑させられたり。


気づいたら、彼らと一緒に、自分の14歳の頃にタイムスリップしていました!


50をとうに超えた今の自分は、14歳は無限の可能性がある年齢と思うけど、当の本人達の中には、「もう無理です」「諦めてます」という子がいる。インタビュアー(多分監督さん)が、そんなことないよ、まだまだやれるよ、とか挟んでいるけど、この瞬間の、この子のリアルな言葉なんだろうな、と、昔を思い出しながら微苦笑して観てました。


んで、こういうネガティブワードを発するからといって、自己肯定感が低いとは限らないとも思って。

無理とかダメとかいう時って、少なくとも高いところを見て、そこに到達することを諦めかけてるだけで、志自体は高いという事だと思うんですよね。どこかでスイッチが入ったら一気に駆け上がる可能性があるし。

そう、どこかでスイッチが入る可能性、という事で言えば、14歳でも54歳でもあまり変わらないように思う。若い時の向こう見ずな行動力とか、単純に筋力、体力というのは羨ましいけど。


中2という最高で絶妙な拗らせ期にしては、ここに出てくる子達は皆、穏やかで良い子。でもそれぞれが悩んだり、周りを気にしたり、本音を言えなかったり、社会生活の入口での悩みを一身に背負っているように見えました。

誰もがこの14歳を通って大人になる。このドタバタの先に大人の世界が待っている。


自分自身は、14歳の頃に戻りたいとは思わないけれど、今の自分に大きな不満はないから(出来ないことや日々の反省点は山ほどあるけど)、14歳時代はそんなに悪い時ではなかったのかもな、と気づきました。


ちなみに。

皆良い子だけれど、カメラに映っている時点でもうそこに、撮られていると意識するバイアスがかかるので、これが「ありのまま」の彼らかといえば、多分違うと思う。監督さんは驚異のコミュニケーション能力で、彼らの内面を掘り起こしていると思うけど…でも子ども達の方が一枚上手な気がするなあ。14歳ってもうそういうところもちゃんと斟酌できる年だし。


とはいっても、素敵な作品であることには間違いありません。

ラストのクリープハイプの「栞」で一気に涙が出ました。