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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

フランス革命の道21-大噴火による異常気象

2021.06.25 10:45

1783年、アイスランドの火山が相次いで噴火した。空気中に1億2千万トンの二酸化硫黄が放出され、ヨーロッパに異常気象をもたらし、フランスでも食料不足に陥った。88年には春から夏にかけて雹が降り、農作物を痛めた。夏には80年ぶりの旱魃が起こり、冬は厳寒となった。

季節農民は金が得られず、小作農民も生活ができず、都市流浪者となって、教会の施し、現在のアメリカならフードバンクに頼るようになった。しかし都会でも仕事ばなかったのだ。86年に結ばれた英仏自由貿易協定で、イギリス産業革命による安い繊維製品が押し寄せ、手工業者が失業した。

ブリエンヌが辞職したあと再登板した財務長官ネッケルは、穀物輸出を禁止し、食料を輸入しようとした。が、異常気象は物流にも影響し、影響を受けた欧州北部各国がやはり食料を輸入しようとした結果、食料は不足し、しかも高かった。三部会開催と同時に行った陳情ではこうした苦情が寄せられた。

こうした不満は身近な者のせいにされた。例えば徴税人や役人である。そして噂は、特権階級が買い占めを行っているという「アリストクラートの陰謀」となり、各地で暴動が発生した。生活の困窮は、三部会開催による政治の刷新の期待をいやおうなく高めていった。