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旅のチカラ、旅のカケラ

古都で知る、旅の醍醐味

2008.03.25 12:50


朝、6時30分。川のせせらぎで目を覚ます。

カーテンからは朝の光が差し込み、

天井のファンが静かに回っていた。


あいまいな記憶を瞬時に結び合わせ、

そっか、ルアンパバーンにいるんだ!と、

布団を跳ね除けるように起き上がった。

これ以上ない、穏やかな朝のお迎えだ。


水量は申し訳程度だが、充分に温かいシャワーを浴び、

大きなバックからカメラをひっぱり出す。

地図をポケットにねじ込み、

「じゃあ、行ってくるわ」と、

まだ夢の中にいる友人の枕元に鍵を置いた。


ここはルアンパバーン。ラオスの古都。

古くはランサン王国の王都で、ムアン・スワと呼ばれ、

その後シェントーンと名を変えた。

カーン川とメコン川の合流地点に位置する緑豊かな街である。

約80の寺院が残っているので、いくつ巡れるか楽しみだ。

モザイク画が美しい「ワット・シェントーン」、

スイカ仏塔の名で知られる「ワット・ウィスナラート」、

インドのアショカ王の使節団が建立した「ワット・タート・ルアン」、

黄金のレリーフに圧倒される「ワット・マイ・スワナプーマハム」…。

挙げればキリがない。


約5時間かけて、17の寺院を巡った。

無類の寺好きなので、

ディズニーランドで例えれば寺がアトラクションなのだ。

途中、「プーシー」と呼ばれる、小高い丘に登った。

300段の階段を踏みしめ、頂上に着くと街がジオラマのように見えた。

照りつける日差しを和らげる、心地いい風が吹き抜ける。

「心が洗われる」とはよく言ったものだ。


木陰に腰をおろし、川に挟まれた街を眺めた。

旅とは何か?

自分探し?

いや旅先で見つかるほど簡単じゃない。

美しい景色に出会うため?

それだけのためにこんな遠くまで行くモチベーションは続かない。

出会いを求めて?

それもまた違う気がする。


「こんにちは」日本語で話しかけてきた修行僧。

まだ15歳くらいだろうか?

隣に腰掛け、たどたどしい日本語で、会話をしようとする。


「OK、スローリー」(KAZ)

やさしい気持ちが芽生えてきた。

彼は独学で日本語を勉強しているという。

日本の美しい寺が好きだから、いつか日本に行きたい、

それが彼のモチベーション。

家族構成や数の数え方、簡単な挨拶や季節の話。

日本語を教える代わりに、ラオス語を教えてくれた。

はたからみれば取るに足りない会話だが、お互いに真剣そのもの。


ゆっくり、ゆっくりと、

子どももあやすように、会話をつづけた。


汗もすっかり乾き、肌寒さを感じ始めた。

もう1時間はこうしていただろうか。

難しい名前の少年僧に別れを告げ、階段を下りていった。



そっか、旅とはこういうことだ。


何かを求めて旅をするのではなく、

旅先で起こる何かを受け入れること。

何気ないことに心が動く瞬間こそ旅の醍醐味じゃないかな。

あれが見たい、これが食べたいは、

旅のきっかけで、

本当の面白みは、こんな小さなことなんだろう。


旅は場所じゃない。


小さく心が動いたとき、

それは旅が始まった合図かも。