詩/グレープフルーツの詩
2021.06.28 13:24
満月を見てきれいだと言う、あなたのそのことだけに気持ちを揺すられる自分がいやです。お皿洗いはひまなひとがやれば苦痛ではないのかしらと思う。その日にわたしには羽が生えているはずだから、どうかそのまま連れ去ってください。愛したかったあなたにだけ詩情を割くのです。一緒に暮らすmとn。幾千通りの幸せのうちの、誰も通れない隙間を、わたしだけがすり抜ける。
覚悟なんて生まれたときから持つことが決まっていたようなものを。つめたい果汁に溺れる夜は、底に沈む。じっと待つ。ひかりはしあわせなひとの顔にしか当たらないと言う。代わりにわたしは懐中電灯をつける。