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温泉MaaS Developers

温泉MaaSアイデアソンの進め方(1)

2021.09.13 00:00

長野県千曲市ワーケーションにおける温泉MaaSの開発では、技術やサービスありきではなく、利用者(=ワーケーション参加者)のニーズに根ざして開発することを心がけています。一方で、どんなにニーズがあっても実現できなければ仕方ありません。残念ながら「どこでもドア」はまだありません。

特に交通サービスでは、地元交通事業者との連携が不可欠です。また既存の公共交通機関との調整も必要となります。また行政側の理解も必要となります。そこで、こちらの記事にすこし紹介したように、私たちは、千曲市ワーケーション体験会のなかでワーケーション参加者と地域関係者が参加するアイデアソン「温泉MaaSアイデアソン」を実施することにしました。

アイデアソンとは

目的やニーズ、方法が不明確なものに取り組むときに、よく使う手法として、アイデアソン・ハッカソンというものがあります。アイデアソンは、idea(アイデア)とmarathon(マラソン)を合わせた造語で、集まったメンバーで(多い時はグループに分けて)アイデアを出し合い、マラソンを走り切るように最後には一定のアイデアの方向性=アウトプット(成果)を作り上げるものです。一方で、ハッカソンとは、hack(ハック)とmarathon(マラソン)を合わせた造語で、アイデアソンの成果では文書に留まることに対して、ハッカソンでは実際に動くもの(ソフトウェア、ハードウェアなどさまざま)を作り上げます。

アイデアソンの参加者

アイデアソンは、さまざまな観点で参加者が課題や意見を出し合い、まとめて行く必要があります。そのためにアイデアソンを開催するには必要な役割をもつ参加者が必要となります。大きく以下の3つの役割が揃うことが望ましいでしょう。

参加者に期待する意識

アイデアソンに参加してもらう方に持ってもらいたい意識があります。それは「なにを」「どうする」ということではなく、「なぜ」それが必要なのか、それを行うのかという「なぜ」という部分に着目して考えて欲しいということです。これを意識してもらうために大変適しているサイモン・シネック氏の講義がTED Talkで公開されています。こちらを参加者全員で一度見てからアイデアソンに入ることも大変有用です。

アイデアソンの進め方

アイデアソンのように、さまざまな方が参加されるワークショップを開催にあたって、参加者に事務局側が行いたい全体像をイメージしてもらい、そのうち今回行うことがどういった範囲かということを意識してもらうことは重要です。これは、参加されている方の「何をするのかわからない」という不安感を払拭するということもありますし、いきなり局所的な目的や方法論に陥ってしまうことを防ぐためでもあります。

温泉MaaSアイデアソンでは、まずは「MaaSとはなにか」「国内外ではMaaSに関することがどのように行われているのか」「どんなモビリティが存在するのか」「どんなモビリティサービスが存在するのか」といった参加者の視野を広げることが必要です。そうすることで参加者の知識を一定程度底上げすることができるとともに、個人の既存の知識や経験にのみ根付いた考えに固執しなくなることが期待できます。視野を広げた後、「地域の交通課題」というテーマに対して各自がアイデアを出し合いますが、ここでアイデアを取捨選択する必要はありません。出てきたものはどんどん書き出していきます。これをアイデアの発散と言います。温泉MaaSアイデアソンでは、まずはさまざまなアイデアを出してもらいたかったので、アイデアの発散までを範囲としました。

アイデアソンではさまざまなアイデアが出されますが、それを実際に実装・実行するにはさらなる検討が必要です。アイデアによって必要となる技術や製品、要員、連携する事業者が変わってきます。そのため、出されたアイデアを精査する必要があります。それをアイデアの収束と言います。アイデアの収束では、アイデアの分類を行います。分類する観点はさまざまとなりますが、ニーズ、必要となる要素技術、必要となるスキル、連携する事業者などが考えられます。またアイデアを実現するために必要な時間も大切な要素で、すぐに実現可能なもの、数年程度で実現できるもの、長期的に取り組むことで実現できるものなど、実現できる時期によってアイデアを分類することも考えます。そうすることで、出てきたアイデアを実装・実行する計画を作ることができます。

温泉MaaSにおいては、アイデアの発散までを1回目のアイデアソンで実施し、2回目ではその深掘りを行いました。アイデアの収束、実装・実行はアイデアソンで出てきたアイデアをベースにして温泉MaaSプロジェクトチームで実現時期を精査して、千曲市ワーケーションのイベントごとに機能追加しています。

次の記事につづきます。