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藤田晋 invitational RTDリーグ

高打点で相手に対応させる神!鈴木たろう RTDリーグ2017選手紹介12

2017.01.29 10:00

AbemaTV「麻雀チャンネル」にて放送される、RTDリーグ2017の出場選手を紹介していきます。

観戦記担当の鈴木聡一郎(最高位戦日本プロ麻雀協会)がお送りします。


選手紹介12回目の今日は、RTDマンスリーリーグ2016にも出場した、

鈴木 たろう(すずき たろう)

日本プロ麻雀協会所属

現在の競技麻雀界で、「天才」といえばこの鈴木たろうを挙げる者が多いだろう。

昨年度の優勝者インタビューで多井が挙げた「麻雀で大事な3つの視点」。

それは、自分の視点、相手の視点、客観的な視点であった。

このうち、特に相手の視点を捉えるのが非常にうまい打ち手、それがたろうである。

たろうの武器は、常に「自分が相手からどう見えるか」を正確に捉え、有利な行動を取ることができる点だ。

例えば、トップ目でも、こんな不十分な形から自風の北を1枚目から鳴き、ホンイツへ向かう。

これを鳴くと、相手からはどう見え、相手はどう行動するのだろうか?


まず、ここでたろうにホンイツをアガられるとトップが決まるため、まだオヤ番のある柴田・滝沢は鳴ける手牌なら鳴いてアガリに向かいやすい。

オヤの多井も当然ある程度速度を求めてくるだろう。

また、これを仕掛けておけば、字牌やソウズを打ち出してきた相手に手が入っていることを見抜くことにもつながる。

つまり、トップ目の自分にとって、早アガリが出る可能性を高め、追いつかれるにしても事前にその相手を把握して準備しておくことができるというわけだ。


このように「相手の視点」で語られることが多いたろうの戦略を誤解し、誤用している方をよく見かける。

誤用の多くは「とりあえず何でもいいから仕掛けてみる」というものだ。

それではいけない。

たろうの仕掛けが相手に対応させることができるのは、「高打点に見えるから」である。

すなわち、仕掛けの前提に「高打点の構想がうまい」という前提があるのだ。

「自分の視点」、それが高レベルであるという前提だ。

昨年の麻雀プロ団体日本一決定戦で、こんな局面があった。

オヤでもうひとアガリほしいところ。素直に打つなら打7sだが、ドラが8sなのである。

3sが薄いこともあり、たろうが選択したのは打4s。

そして、こんな2600オールで下位者を引き離した。


また、昨年度のRTDマンスリーでは、こんな配牌。

ここから安易に中を打たず、6p、4s、2sと切っていき、ホンイツやチャンタを見る。

早々に東をポンしていくと、中ツモでターツが足り、あとは一直線。

このように、遠くに見える高打点をしっかり追うことができるからこそ、たろうの仕掛けは恐れられ、けん制効果を享受できるのである。


高打点の構想という自分の視点と、プレイヤーの思考を掌握する相手の視点。それらの尋常ならざるレベルの高さから、たろうはいつしか全知全能の主神「ゼウス」と表現されるようになった。


そんなたろうは、予選WHITE DIVISIONに出場。

相手の思考を正確に把握し、各プレイヤーを操る。ゼウスの慧眼に畏怖せよ。


鈴木聡一郎(最高位戦日本プロ麻雀協会)