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沖縄と日本の間にある哲学

2021.07.10 10:00

(ひきとり新聞最新号のニュースを順にテキストで紹介していきます。)

『沖縄人として日本人を生きる』

金城 馨著、解放出版社、2019年、1,540円

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住民の約二割が沖縄県出身とされ、「ウチナーンチュ(沖縄人)の街」ともいわれる大阪大正区。その路地に佇む関西沖縄文庫を1985年から主宰するのが金城馨氏である。

この本は二部構成となっている。第一部は、金城氏に魅せられたしかたさとし氏が、金城氏の生い立ちからアイデンティティの模索、県外移設=基地引き取りという発想から人びとを巻き込み現在に至るまでの軌跡をふりかえるインタビューとなっている。第二部では、基地引き取り論を「本土」から提唱する高橋哲哉氏との対談を収録。

本書に通底するのは、沖縄と「本土」の間でさまよいながら、「沖縄人として日本人を生きる」ことを探究しつづける金城氏の哲学である。彼にとって基地引き取りとは、「過去に「出会い直す」ことで、暴力や差別の支配から解放された未来に出会うため」に不可欠の実践なのだ。(S)

(ひきとり新聞10号・ひきトリの本棚3より)