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沖縄の歴史を学ばずして基地問題は語れない

2021.07.09 10:00

(ひきとり新聞最新号のニュースを順にテキストで紹介していきます。)

『沖縄現代史 新版』

新崎盛暉著、岩波書店; 新版、2005年、946円

  *   *

本書は沖縄現代史の第一人者による2005年当時の沖縄現代史通史である。

第1章で、沖縄戦から1972年の沖縄返還にいたる米軍支配時代を記した前著『沖縄戦後史(1976)』が要約され、第2章以降では、沖縄返還以後の沖縄の歴史的歩みが整理されている。「沖縄の現代史を貫いているのは、構造的差別の上に成立する日米安保体制と沖縄民衆の闘い」である。反戦地主、自衛隊配備、米軍用地特措法、代理署名、振興計画、海洋博、米軍再編協議、辺野古新基地建設等々、沖縄の現代史は本土の戦後とは比較にならないほどに重たく、激しく、複雑である。

「日本はますます近隣アジア諸国から孤立し、これと対立を深めながら、超大国アメリカに寄り添い、沖縄を軍事的対立の最前線に置こうとしている。沖縄は、そして日本国民は、それを容認するのか、それとも拒否するのか、今そのことが問われている」。「あとがき」に記された、著者のこの問いかけは、16年の歳月を経てなお、我々がそれに直面することを促している。(吉村)

(ひきとり新聞10号・ひきトリの本棚3より)