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旅のチカラ、旅のカケラ

中央アジアのスイス

2008.04.28 14:00


午前10時、中国のカシュガルから、

キルギスのオシュへ向かう。

いわゆる国際バスというやつだ。


実は朝からひとつドラマが起きていた。

昨日知り合ったパキスタン人に、

パキスタン大使館宛の紹介状を書いてもらったのだが、

今朝、より完璧な公式文書を用意してくれた。

わざわざオフィスへ行って書類を作成し、

バスの出発時間ギリギリに届けてくれたのだ。


ありがとう!これで必ずビザをもらって

美味しいケバブを食べに戻ってくるよ。


さて、良いことの後には悪いことが待っているもので、

このバスで酷い目にあった…。

まず、出発時間になってもなかなか動き出さない。

なにやらエンジンをいじってる様子。

電気系統のトラブルらしく、

ブルル…と鈍い音を立ててすぐに止まってしまう。


待つこと2時間、ようやく元気にエンジンが動き出した。


走り出して20分。今度はある建物の前で動かなくなった。

道端では運転手がなにやら捲くし立てている。

押し問答が1時間はつづいただろうか?

どうも通行料が足りなくてもめていたようだ…。

もう、しっかりしてよね…。


結局3時間遅れて走り出したバス。

しかし順調だったのは国境までだった。


中国のイミグレ前で突如全員降ろされ、1回目の検問。

スタッフが一人ひとりのパスポートをノートに写していく。

なんの意味があるのか、こんな作業で1時間のロス。

そして中国側のイミグレへ到着し、

パスポートコントロールとカスタムの列に並ぶ。

大勢が詰め掛ける国境に、スタッフはまたもや1人。

イライラしながら長い列をつくり、

のらりくらりの仕事を呆れ顔で見つめていた。


全員の出国手続きが終わるのにざっと1時間。

これで無事中国を出国か!と思いきやまだ終わらない。

バスの出国手続きが手間取っていた。

「あと30分」と運転手が叫んでいたが、

バスが動き出したのは、さらにその3時間後だった。


出国後もたった1~2kmしかないキルギス国境までに、

公安が2度もバスに乗り込み、

全員のパスポートを回収。

念入りなチェックのもと、ようやく出国を果たした。


さてお次はキルギス。

こちらはスタンプを押すだけの簡単な入国。

なんだろうね、このお国柄の違いって。

しかも、日本人はビザが無料!

他国の人たちは100ドルほど払っていたのに申し訳ない。


バスは貨物トラックの列に挟まれ、

2時間ほどチェックに時間がかかったが、

中国側と比べればスムーズなものだ。


というわけで、7ヶ国目はキルギス!


しかし、時計はすでに21時を指していた。

カシュガルからたった100kmなのに

なんだろうこの虚しい気持ちは…。

キルギスに入るも山道でタイヤがバースト!

激しく崖に車体をぶつけ、横転しかけるバス。

真夜中の山道で、修理の音がいつまでも響いていた…。


目が覚めると景色は春だった。


出発から24時間、季節は夏から冬、

そして春へと目まぐるしく変化していた。

たんぽぽの綿毛が飛び交い、

雪解けした山肌には緑の絨毯。

牛や羊の群れがバスの行く手をはばみ、

馬に乗った少年がそれを追いかける。


「中央アジアのスイス」

そう謡われる美しい国、キルギス。


出発から26時間、ようやく辿り着いた旅路の果て。

長い、長い夜のトンネルの向こうには

ハイジの世界が待っていた。