書評『UXの時代』
一言で言うと、「IoTによって変わっていく世界観と、人間本来のUXを追求していく今後の展望を語った本」、でしょうかね。
僕が興味持っている領域をほぼ全て網羅していて(途上国目線とか無かったけど)、新しい発見はなかったものの、読んでいて納得性がありました。
シェアリングエコノミーの世界観もそうですが、人工知能とかでテクノロジーが指数関数的に発達して行けば、人類は勝手にいろんなものをシェアして、より人間らしい営みに集中できます。
今まで見逃されてきたアートの世界とかスポーツとか、人間の感情だったり欲情だったりが直接的に影響を与える領域が価値を持っていくはずです。
ただ、「個に光が当たる」世界は、「格差」を産み出すでしょう。
人工知能によって人間の代替可能な仕事はどんどん置き換わっていき、汎用化されていくからです。より価値を産み出せる人間に資本が集中し、個を押し出せない人間の価値は廃れて行ってしまうのではないでしょうか。
また、そうした世界では、「レピュテーション」や「セキュリティ」が次世代の注目領域になっていく気がします。
Facebookではいいねがどれくらい付いているのか、誰の友達でどういった人間からコメントを受けているのか、で初対面の人間をある程度判断できます。
飲食店も、食べログを使ってレビュー数や星の数で大体の店は消去法で削れるでしょう。
本書の中でも繰り返し挙げられるUBERやAirB&Bもまさに同じですね。
個人が力を持って発信していき、それが価値を持って評価されていくため、個の情報を守るor維持するセキュリティ面が重要なモノになってくると思います。
それは、必ずしもハッキングとか個人情報流出、みたいな部分だけのセキュリティではなくって、もっと広い意味で、信頼とか信用もセットにできるようなものです。
ブロックチェーンとかは正にそんなイメージかもしれませんね。
個の繋がりとそれを信頼するセキュリティ面が同時に実現されている世界観です。
以下、本文を引用して気になった点を言及。
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IT投資の対GDP比率では、日本は4.7%で、アメリカの5.9%に及ばないものの、世界平均の4.0%を上回っており、中国(1.8%)など、新興国を大きく引き離している。
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日本そんなに投資してたの知らなかったです。。
てか、中国がめっちゃ低い。
恐らく、人口規模が大きいのと、都市部・郊外の格差が大きいと思うので、上海・北京・深セン・義烏とかはその比じゃないと思いますが。
でも、日本のこの数値面はなんだか現実味があまり無かったです。(正直、IT投資に関しては後進国なのでは無いかとすら考えていたし)
もっと実態経済に与えるインパクトと比例すべきだよなぁ、と思います。そこらへんはどこに責任の所在があるのか分かりませんが。
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実際には1年毎ではなく、18ヶ月ごとに2倍程度の伸びのようだが、それでもコンピュータの性能が指数関数的に伸び続けるというムーアの法則は生きていると言えるだろう。
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ご存知みんな大好き「ムーアの法則」。
孫さんの「Softbank30年ビジョン」でも触れられてましたが、将来的にやってくるシンギュラリティ(技術的特異点)の話はワクワクしますね。
人間の脳は確かあと数年でコンピュータに超えられちゃうようです。
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IPv6の割当可能なアドレス数は2に128乗=340兆×1兆×1兆個。これは「その辺の石ころにも個別にありあてることができる」数だという。
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とんでもない数字。。笑
従来のIPv4で割当可能なアドレス数は約45億個という話だから、爆発的な進歩だと思います。数字が大きすぎて全然イメージ沸かないですが。
https://www.amazon.co.jp/UX%E3%81%AE%E6%99%82%E4%BB%A3%E2%80%95%E2%80%95IoT%E3%81%A8%E3%82%B7%E3%82%A7%E3%82%A2%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%82%B0%E3%81%AF%E7%94%A3%E6%A5%AD%E3%82%92%E3%81%A9%E3%81%86%E5%A4%89%E3%81%88%E3%82%8B%E3%81%AE%E3%81%8B-%E6%9D%BE%E5%B3%B6%E8%81%A1/dp/486276245X