世の中が注目!世界でもっともおそろしい化学物質DHMOについての嘆願書のお話
いきなりですが、ジハイドロゲンモノオキサイド(略称DHMO)という化学物質をご存知でしょうか。
1997年にアメリカの中学生が行ったこの化学物質の危険性についての調査が、当時世間の注目を集めました。
彼は「ジハイドロゲンモノオキサイドの使用を禁止せよ」という嘆願書を作成し、街頭で署名を集めました。彼の訴えは以下のようなものでした(一部変更)。
「ジハイドロゲンモノオキサイド(以下DHMO)は無味無臭無色。そして、毎年数え切れないほどの人を殺しています。ほとんどの死因はDHMOの偶然の吸入によって引き起こされています。DHMOはほとんど全ての河川や湖や貯水池で発見されていて、世界中を汚染しています。なのに政府はこの物質の製造や拡散を禁止することを拒んでいます。更なる汚染を防ぐために、今、行動しなくてはなりません」
この嘆願書は多くの署名を集めたといいます。
改めてDHMOの危険性をまとめておきましょう。
- 液体の中で呼吸ができなくなって死亡
- 固体に長時間晒されると皮膚に深刻なダメージ
- 気体は重度の火傷を引き起こす可能性がある
- 液体の過剰摂取は多くの不快な副作用を引き起こしときには中毒で死亡
- 液体は強い習慣性があり、常時摂取者は飲用を止めると短期に死亡
- 癌細胞から発見。癌細胞から取り除くと癌細胞は死滅。つまり癌細胞の増殖の原因の一つ
- 酸性雨の主成分
- 温室効果に強い影響
- 台風や集中豪雨など自然災害に関与。地形を変えるパワーも持つ
- 気体は車や工場からの排気ガスの主成分
これだけの危険性をもつ化学物質DHMOですが、すでに私たちの食べ物や体も大いに汚染されているといいます。
このお話は上記の本「世界史は化学でできている」の「世界でもっともおそろしい化学物質」の章から抜粋したものです。確かに恐ろしいですよね。
さて、そろそろネタバラシをしましょう。
化学物質DHMOとは、実は水のことです。水の化学式はH2O。水素原子2個と酸素原子1個がくっついているので、ジハイドロゲンモノオキサイド(一酸化二水素)という名称になるのです。
アメリカの中学生がこの調査結果から訴えたかったことは、「理科教育をもっと充実させるべき」ということでした。たった呼び名を変えただけでコロリと騙されてしまう人の多さに警鐘を鳴らしたということです。
なんともアメリカらしいジョークのきいたお話ですね。「善意を無駄にするな!」と怒る人もいそうですが、悪意を持った人に騙されなくて良かったと教訓にするのが良いかもしれません。
自分の頭で考えることが大切。そして、そのためにも必要最低限の知識は必要というお話でした。
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