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梨の日

映画『海辺の彼女たち』

2021.07.02 14:59

映画館ポレポレ東中野さんにて映画の日に。

ずっとずっとずっと観に行きたかった映画。



『海辺の彼女たち』

監督:藤元明緒

出演:ホアン・フォン/フィン・トゥエ・アン/クィン・ニュー




藤元監督は、私が出演させて頂いた『恋とさよならとハワイ』のまつむらしんご監督と、今新作『由宇子の天秤』(9/17公開)が話題になりまくっている春本雄二郎監督と3人でオンラインの監督会合(笑)をされていました(YouTube『俳優・監督をめざす人の学校 春組チャンネル』内の生配信)。

まつむら監督のSNSからこの配信にて、今作を知ったのが経緯です。


また、出演者兼アソシエイトプロデューサーとして、以前共演致しましたキタガワユウキさんも関わっていました。


狭い世界だとはいえ、毎回皆様の多岐に渡るご活躍に感銘を受けてます。。




日本へ来日した外国人技能実習生の女性3人を描いた本作。

不当な扱いを受けた職場から逃げ出し、不法な存在となってしまいながらも、再度新たな働き場所としてブローカーに紹介された北国の港町にやってくる。

そこで発覚した、フォンの身体のこと…。

今作では彼女たちの本名が役名にもなっています。



少しづつ物語が見えてくる中で、嫌な予感は増幅したし、当たってた。

ずっと胸が苦しくて痛くって、一緒に絶望を漂う時間はとても辛かった。


立場は違えど、人生1度でも、誰にも話せないことやお金が本当に無い経験をしているのなら、他人事に思えなくて。


それでも彼女には自国にいる家族の顔が、常に過っていたんだと思う。

つまり自死を選ぶこともできない。

というかここまで、彼女たちに自由の選択肢ってあったのかな。

まるで小学生のように夢を語る、修学旅行の夜ような瞬間はとてもとても可愛く、胸がキュ、とした。


しんどい中でも、映画の中で見ることの出来た、胎内で生きる1人の影。

あまりにも尊い瞬間に糸がほぐれた気分になったのは、女としての性なのかなぁ。。

私も、あの影を見る日が来るのならどんな状況でも彼女のように涙が溢れるのかしら。



ただ、彼女には自由が、選択肢がやっぱりない。


最後、映画が終わる前。

戻ってきた部屋の色はストーブの温度が広がったようなオレンジ色。

一緒にいる2人とは気まずい空気なのに、暖かい色、暖かい食べ物を口にして、何かが変わるフォンちゃん。


あまりにもキッツイ、けれどしごく現実が迫ったけど、

「泣きながらご飯を食べたことのある人はこの先も大丈夫」

という言葉を思い出しながら、

あの小さな影の子にも、母がわずかな時間でもアナタに想いを馳せらたことが伝わったはず、だよね、と思いたくなった。


他人にとっても、現状の自分にとっても予定外の出来事。

だったとしても、フォンちゃんだけは1人の命に対して一生抱えて生きていく。

命について、一人の人間について、重点的に説明されなくてもじゅうぶんに伝わってくる。。



身分がバレた時点で強制送還。

でも、誰か手を差し伸べてあげられなかった。

何も知らない田舎のおばあちゃんが話を聞いてあげたり助けてくれるかな、なんて思ったけどそんな展開も当然ない。

あったとしても、彼女は何も言えないし、おばあちゃんが出産費用を出す義理もない。

いたらマリア様だわ。


私たちの身の回りの生活は、誰かの犠牲や、誰かの、様々な思いの上で成り立っていることを、改めて、チクリと刺されたように思い出す。


地元には沢山の外国人がいたけれど、

日本という外国の地に来て、働いたり遊んだり、生活するのは何故なんだろう。

疑問に思ったあの時の子供の自分が、ちょっと過った。


あの場にあの子達がいるのはなんでなんだろう。


人と会わなくなり、人との距離感や他人への配慮、想像力が、今ではなく今後、会えるようになってから更に問われるかもしれない。

またそれぞれで調整する期間はきっと必要だからね。


だから、この映画に出会えて良かった。

あんなにずっと苦しかったのに、最後は優しい気持ちになれた。

というか、色んな人へ優しくできるような、そんな映画だった。


人が生きていくのは、大変なのだから。





しかしどうして日本にくるんだろう。

調べたら理由はすぐ出てくると思うけど。

他にもっといい国がないのだろうか。

日本ってそんなにイイ国かしら。←


でも、

他が厳しすぎたり、

他に比べて“都合がいい”のなら、

都合のいい国であって欲しい。

逃げ道になるのなら。


いや、、根本的な逃げ道にはならないんだけどさ。。




尊い時間を、じっと見つめられた時間がありがたかったです。


緊急事態宣言が終わって、上映回数も増えました。

ロングランに感謝…。


観終えて1日経って、何度も思い返して。

きっとこの先も、彼女たちを何度も思い出す。



公式HP





オンラインコミュニティ

映画『海辺の彼女たち』を応援する会

というのも発足されてました。




今回の上映後には藤元監督の舞台挨拶がありました。

本編とはまた違う感想ですが、お1人ながら言葉を紡がれるのがとてもとてもお上手で…。


自身の言葉を持って、人に伝えられる人って、私はすごく尊敬しているのです。

映画への想いや客席への感謝を含めて、ストレートに分かりやすく、とても綺麗な言葉を発せられていた姿から、あの映画が完成されたのだなと。




これからもたくさんの人に届きますように。


是非。