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ゆとりらYOGA

「巡礼の約束」(映画感想)

2021.07.04 14:50

チベット人監督作品として日本で初めて劇場公開された「草原の河」のソンタルジャ監督が、聖地ラサへの巡礼の旅に出た妻と家族の姿を描いたヒューマンドラマ。山あいの村で夫のロルジェ、夫の父と暮らすウォマは、ある夢を見た朝に火をおこして供養をする。そんなウォマの姿を見た夫は、それは誰のための供養なのか、ウォマは誰の夢を見たのかが気にかかっていた。病院で医師からあることを告げられたウォマは、ロルジェに「五体投地でラサへ巡礼に行く」と決心を伝える。妻からの突然の言葉に、ロルシェは反対するが、ウォマの固い決意を前にラサ巡礼を受け入れる。妻を心配し、後を追う夫。さらに心を閉ざしていた前夫との息子ノルウも母ロルジェに会いにやってきた。血のつながらぬ父と息子は、母を亡くした1頭の子ロバとともに聖地ラサへの巡礼の道を歩き続ける。(「映画.com」より)


大阪・第七藝術劇場とシアターセブンで開催中の、チベット映画特集「映画で見る現代チベット」の中の1本。

5年前に、「ラサへの歩き方」を観て、チベット人達の巡礼(五体投地)を知ったので、今回も似たシチュエーションのお話だろうなと思っていたのですが…


何だかずっしりと重かった!

雄大な自然の中で、人間が織りなす苦しみや労りの描写が続き、深いところを揺すぶられたというか。悲しくて哀れでも、この大自然の中では小さな一事象と思えるというか。

現実に向き合うことが辛すぎると、やはり人は「祈る」という行為に没頭するのだなあ、と思いました。舞台がチベットだから、ということも勿論あるだろうけど…なんせ山の風景が素晴らしいし、祈りたい!自然の神様にこの身を捧げたい!という気持ちを持ち続けられるんではないかな。


五体投地と言うのは、YOGAに取り入れているクラスもあるようですが、もとはこの映画のテーマ、チベット仏教の聖地(ラサ)に向かう時の礼拝のことで、動きは太陽礼拝にも似ています。

主人公の女性は、とっても敬虔に真面目に、五体投地を1回したら、その場からきっちり3歩進み、また五体投地、を丁寧に繰り返していました。

(地面にひれ伏す動きの為、両手の平に、木製の草履のようなものを付け、前身を革製のエプロンのようなものでカバーして行います)

この映画の中では、1日に5km…と言っている。ラサまでは1年かかる、とも。

日本のお遍路さんとはちょっと違う感覚。

とにかく五体投地がきつそうで、特にこの女性は大きな病を抱えているため、そもそも巡礼なんて無理、というところからお話が始まるのですが…


この前に観た「幸せの答え合わせ」と、テーマは似ています。

夫と妻、母と息子、父と息子。ただこちらの作品は、父と息子がなさぬ仲で、2人の間には本当の愛情が通っていないように見える。だけど、相容れない2人をちゃんと助けてくれる隣人や動物(ロバの子)が現れて、時間と共に関係を構築していこうとする・・・


悲しみや苦しみがいっぱいなんだけど、過去を受け入れる描写で終わったから、観終わった後、すっごく温かい気持ちになりました。あの子はきっと大丈夫、ロバと一緒に逞しく成長してくれるだろうな、と。