自転車事故への対策について(一般質問より)
新型コロナウイルス感染症に対する対策として、人との接触を低減する取り組みや公共交通機関の混雑回避、また、外出自粛による運動不足の解消などを目的として、自転車利用の関心が高まっています。
NPO法人自転車活用推進研究会が行った調査によりますと、通勤・通学の移動手段として自転車を利用する割合は、新型コロナ前の37.6%に対して、今後経済活動が再開した場合には50.9%に増加するなど、公共交通機関から自転車を利用した通勤へと意識がシフトしていることがわかりました。
また、企業活動における自転車通勤や業務利用を拡大するため、国土交通省では自転車通勤推進企業宣言プロジェクトを創設し、自転車通勤を積極的に推進する「宣言企業」と、その中から特に優れた「優良企業」を認定しています。認定された企業は、認定ロゴマークを使用することができ、「環境負荷の軽減や、従業員の健康増進に取り組んでいる企業」としてイメージアップを図ることができます。
さらに、平成29年5月に施行された自転車活用推進法に基づき、昨年11月、本県においても、自転車活用推進計画が策定されました。今後は、健康の増進や環境負荷の低減、さらには観光の活性化をめざして環境整備が行われていきます。
これらの社会状況の変化により、自転車の利用はますます増えていくと予想されますが、一方で懸念されるのは、自転車利用の増加に加え、自転車に不慣れな利用者の増加です。
昨年、全国の警察が摘発した自転車の違反行為は、2006年の統計以降最多となる25,465件となり、前の年よりも2,606件増加する結果となりました。また、仕事中に自転車に乗っていた人が起こした事故は、前年比45件増の1,281件で、そのうち自転車側に違反があったのは64.2%の823件、歩行者との衝突は60件増の156件でした。利用者の拡大に伴う交通トラブルや事故の増加が気になります。
そこで、県内の自転車事故の発生状況と事故を減らすための取り組みについて質問しました。
千葉県内における近年の自転車と歩行者の事故の発生状況はどうか?
過去5年間の発生状況は、平成28年中は115件、平成29年中は119件、平成30年中は143件、令和元年中は129件、令和2年中は99件 となっております。
また、本年の発生状況につきましては、5月末現在で、47件発生しており、前年同時期と比べて7件増加しております。
自転車事故を減らすために、どのような取り組みが行われているのか?
県警では、自転車利用者に対して「ちばサイクルール」に基づいた自転車の交通ルール等の周知を図るため、幅広い年齢層を対象とした集合型の交通安全教育を推進しているほか、交通安全に関する動画を作成し、県警の公式ツイッターやユーチューブで配信する等、広報啓発活動を推進しているところであります。
また、事故抑止効果が高いと認められる場所や路線での指導取締りを強化しており、酒酔い運転や遮断踏切立入り等の危険な違反や警察官の指示に従わず違反行為を継続するような悪質な場合には、検挙措置を講じるとともに、検挙に至らない場合であっても、無灯火や二人乗り、携帯電話使用などの違反について「イエローカード」を活用して積極的な指導警告を行っているところです。
その結果、本年5月末現在における自転車の違反取締り件数は、747件、前年同期比+410件であり、また、指導警告件数は32,461件、前年同期比+6,362件と、いずれも前年同時期と比べて増加しております。
引き続き、「悲惨な交通事故の根絶」を合言葉に、関係機関・団体と連携しながら、自転車安全利用の促進に努めてまいります。
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自転車の取り締まりが強化されたにも関わらず、自転車と歩行者との事故も増えていることが分かりました。
ある県民の方からは、小型犬を散歩させている際に、自転車の危険運転によって、危ないと感じることが多々あるという声も寄せられています。
全国的に見ても悪質で危険な運転が後を絶たないことから、警察庁の有識者委員会では、違反金の創設も見据えた議論もなされているようです。
また、歩行者相手の重大事故では、高額な賠償金を請求されるケースも相次いでおり、万が一に備え、自転車保険の加入を義務付ける自治体が増えています。近隣では、東京、埼玉、神奈川で義務化になっており、本年の4月からは、千葉市においても、自転車の保険加入が義務化となりました。
本県でも同様の取り組みが求められることから、自転車保険について県の見解を伺いました。
本県においても、自転車保険の加入を義務化すべきと考えるがどうか?
自転車保険の加入義務化に関するご質問ですが、本県では、条例で、自転車利用者は保険に加入するよう努めなければならないと定めていますが、県が行ったインターネット調査では、加入率は約6割であり、その向上が課題となっています。
全国的には、現時点で、22都府県が保険の加入を義務づける条例を制定しており、直近1年間では7団体増加しております。
県としては、今後も様々な機会を捉え広報啓発を行い保険の加入促進に努めるとともに、義務化についての効果や課題などを検討してまいります。
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保険加入の義務化後に東京都が行った調査によりますと、自転車を利用する都民の60.4%が自転車保険に加入しており、前年より13.8%増加したことが分かりました。 また、保険に加入したきっかけとしては、加入が義務となったからと答えたのが、49.0%と最も高かったとのことです。
万が一に備え、自転車保険の加入率を高めるためにも、早期の義務化を要望しました。
【参考資料】