Ameba Ownd

アプリで簡単、無料ホームページ作成

鳥取天文協会 Tottori Society of Astronomy

2021年5月のIAU(国際天文学連合)リストの流星群活動チェック

2021.07.05 13:13

A activity check of IAU shower list by visual observation on May 2021

河越 彰彦

みずがめ座η流星群が天候不良で未確認
 著名なEstablished showersの同群がほとんど見られなかった。全国的な傾向である。本来ならば10日過ぎても見られるが、今年は不活発のようだった。その他のEstablished showersも振るわなかった。悪天候の影響も否めない。


確実なのはθてんびん群だけ
 と言っても、この流星群を実際見たり耳にした人は流星観測者でも少ないだろう。この流星群は4月末から5月始めにかけて活動するものの大流星群ではない。黄道付近に活動する黄道型流星群のひとつだがきわめて地味である。


観測量が少ないのでチェック洩れの危険あり
 IAU(国際天文学連合)リストの流星群のチェック観測は天候に恵まれなかったので、他の月に較べて少ない。例えば5月の観測量は4月の半分である。
 5月も、例によって国内からは見えない南天に位置するものや、昼間に活動する流星群をのぞいた62個群を対象にして、河越と斉藤、延9夜1825分、流星35個のデータを分析した(表1参照)。この1825分(約30時間)は確認観測としては以下の理由で不十分である。
 即ち、一流星群当たりの時間は単純計算で、1825÷62=29.4分。因みに先月は79.6分。この数値が高いほど活動を確認できる確率は高い。仮に活動実力がHR=1だとすると30分に満たない観測ではHR=0.5だが80分観測すれば、HR=1.3>1.0で確認できるからだ。

弱い活動は11個群、50個群は未確認
 結果を別表に一覧する。第二級の流星群は48個中43個が未確認(約9割!)。全体でも8割が確認に至っていない。観測漏れだけでなく実際に活動していない流星群が多いことが想像できる。この第二級の流星群はほとんど存在していないものと予想している。

さそり座付近の流星群に着目
 そんな寂しい流星群活動のなかでも筆者が着目しているのが、さそり座付近に活動する群である(例えば別表中IAU№66と№161のωさそり群)。
 以前からさそり・いて座流星群という名前で観測されているが、その実態は不明瞭である。昨年筆者は5~6月にかけて15夜、約41時間(2465分)観測して、平均HRは1.0以下だが、時々集中的に出現することを捉えた。また放射点が黄道のかなり北側にあり、へびつかい座からたて座にかけて活動している結果を得た。それに関連してみかけの速さが大きく以前から発表されてといる「ゆっくり」とは異なっていた。今年はどうなのか注目したい。以上