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Doskoy Boys

二兎ゲットカバオ

2021.07.07 14:00


昼だ。腹が減った。


飯を食おう。


孤独のナニガシ並みに自分でナレーションを入れ、席を立つ。


本当に孤独のカバオは只今中華の気分だ。


のっしのっし歩き、頻繁に通っている馴染みの店に入る。


そこには入り口で客を待ち、お会計を司るおばあちゃまが1人。


曰く、どうやら満席とのことだ。


無理もない、店自体は広くはなく隠れ家的オサレ雰囲気グンバツなのだ。


味も素晴らしいのであっという間に埋まってしまう。


仕方ない、外も暑いし待っていよう。


携帯で取るに足らない情報ばかりを得ていると、時間が過ぎるのは早い。


一体どれほどの時間を、僕たちはそれにこれから費やすのか。


5分ほど過ぎたろうか。40代位のお姉さん店員が人懐っこい笑顔で近づいてくる。


「どっちか入れます?」


右手にはアイスコーヒー。


アイスコーヒー?


アイスコーヒー!


アイスコーヒーを受け取った。


ブラック派なので、左手に持っていたミルクもシュガーもお断りした。


「あら、大人じゃない〜」


からかわれたのか、和ませてくれたのか、自然と笑顔になるカバオ。


これはサービスだと言う。


なんと嬉しいお心遣い。


ストローでチュウチュウ吸う。うん、冷たいし美味い。


ありがたい、ありがたすぎる。


元々お気に入りのお店だったが、明日も行こうと既に決める。


またしばらく待っていると、さすがに食べ終わった客も出てくる。


席に通されてメニューを聞かれる。


それじゃあ…Aランチで。


「かしこまりました。待たせちゃってごめんなさいねぇ。」


いや全く気にしていない、


どころかむしろありがとう。


感謝します。まだ飲み切ってないアイスコーヒーを楽しみながら待とうではないか。


頼んだものはすぐに来た。


「こちらサービスです。」




ん?




Bランチのおかずである青椒肉絲が、私のテーブルで仁王立ちしている。





おや?






私が頼み遊ばせた、Aランチの生姜焼きも威風堂々鎮座している。






嬉しい悲鳴だが、テーブルの上で料理達がひしめき合っている。


他のテーブルと比べると、豪勢で豪華だ。


なんという心遣い、なんというおもてなし、なんて粋なことを。


客を待たせただけでこんなリカバリー、見習いたい。


…うん、やはりどちらも旨い。


心もお腹も大満足だ。


生きのさばる全ての人間がこうなれば争いはグッと減るだろう。





「満席なんでごめんなさい」


大体のお店はこれだけ言われる。


もちろん問題無いし、仕方ないし、その対応で合っている。


それプラス、アイスコーヒーに青椒肉絲を躊躇いなく提供することの凄さ。


もはや恐ろしい。


私もこの店の様な男になりたい。そう強く感じざるを得ない。





今度何かに遅刻した際は、一発ギャグとモノマネを披露してリカバリーしよう。






カバオでした。