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星を繋ぐ猫達 《第5章 カルカナルブロック》

2017.01.22 05:10

猫の額さんでの企画展も、無事に終わり、ホッとしています。次は6月の個展です。


なんだかんだ、このシリーズも4回目を迎えます。昨年は、仕事面や私事面で八方塞がりで進まず、作品制作も詰まりに詰まり、重い気持ちでいましたが、無事に解決、または解消し、新たな気持ちで作品を制作中です。


時折、更新が滞ったり物語が中弛みしたりと、進みが遅いですが、なるべく、月に1回以上は更新出来たらと思っております。


これからも、宜しくお願い致します。


画像は、猫沢さんです。昨年の個展作品です。


《第5章 カルカナルブロック》


悩む寅次郎博士を見守る猫達。


すると、猫庭博士が、


「寅次郎博士、私達の星では、あなたの伝えた救済法が浸透するまで、長い時間を要しました。もしかしたら…このテラでは、更に長くかかるのかもしれません…。どうか焦らないでください。」


猫庭博士は、そう言うと、深き森の主、カンタスカラーナシダーのペンダントを見せました。 


ペンダントは、寅次郎博士を、励ますように優しく輝きを放ちます。 


猫庭博士の祖父は、かつて寅次郎博士が、猫の星で、虎之助博士だった頃の愛弟子だったのです。幼い頃から、虎之助博士の話を聞いていた猫庭博士は、寅次郎博士の気持ちが痛いほど解るのです。


猫庭博士は、続けます。 


「貴方が創り上げた、この村で育てられた作物達は、エネルギーが満ち溢れ、伸び伸びと暮らす生き物達もいます。手作りの自家発電装置も整えられています。そして、村人達が生き生きとしています。ここから発信されるエネルギーは、いつか、誰かがキャッチして、少しづつ拡がっていきます。私達の星も、同じ道を辿ってきました…」


猫庭博士は、優しい表情で、しっかりと見つめ話を続けます。


「ですから、安心して下さい。虎之助博士は、あの時、イクサフィーゴ達とキーパーツを探す旅をし、祖父達は、研究を重ねながら、コロニーを守り育てて来たと聞きました。次は、私達がイクサフィーゴ達を探す番です。あなた方は、ここを守り続けて下さい。私達は、その為に、ここに来たのです。」 


「ありがとう。私は、ほんの数日前に、覚醒してから、20年のタイムロスに気づき、一瞬、大きな焦りを感じたが…心配はいらないのだな…」


寅次郎博士は、ホッとした表情で猫達を見つめます。すると、猫沢さんが、


「はい、私達は約束を果たしに来たのです。ところで、寅次郎博士、テラは、かつて、私達の星の技術と同等のレベルであった事が解りました。現在は、その技術や能力は封印され隠されてしまっていますね…」


かつての地球が、猫の星と同等の技術とは、一体?


「あぁ、その通りだよ。かつての力は皆無に等しい…現在の私達は、地球人のボディとメンタルを持っている…覚醒しても様々なブロックがかけられていて、身動きが取れない状態に近い…せいぜいスプーン曲げや、僅かな透視能力やテレパシーで精一杯だ。元々使えた能力が使えないんだよ…。我々地球人が、かの地に辿り着こう、思い出そうとすると、奴等は、厚い壁で、邪魔をし闇に追いやってしまう…有る筈のものを無いと伝え、無いはずのものを有るとね…」


寅次郎博士は、不思議な事を言います。一体何を示しているのか…?


「寅次郎博士、それは、カルカナルが植え付けた、テラビト特有の概念ですね。壊してください…私達の瞳を見つめて下さい」


キチンと整列した星の猫達は、一斉に寅次郎博士達をウルウルと見つめました。


すると、空気中に漂う素粒子達が、フルフルと震え、一瞬、虹のような空間が現れ包み込んだかと思うと、すぐに元に戻りました。


「寅次郎博士、神楽師匠のノートを見直して見てください」


「?…あ!」


「どうした?風天さん」


「白紙だった所に…今の私達の事が書かれている…そうか、時空の分岐点が変わったんだ!私はすっかり忘れていたよ。私自身も、未だカルカナルが見せる幻影の中に居て麻痺しているが、新たなブロックが解けたようだ」


明るい表情になった寅次郎博士は、かつての感覚を少しづつ取り戻していくのでした。覚醒したとは言え、70年もの間、地球人として生き、すっかり感覚は麻痺して、随分と鈍ってしまっていたのですから…


「これで、大丈夫ですよ」


猫沢さんは、ニコリと微笑むと、


「では、良い報告を…テラビト達は、カルカナル磁場の中に居ながらも、着実に何かを感知しています。どこかで何かを見つけ何かに気づき、自らの手で、カルカナルの造った現象を壊すでしょう」


「それは本当か?」


門田さんは、不思議そうな表情です。そう、まだ彼の感覚は、覚醒して間もない為、どっぷりとカルカナルの中に居ますから、どうにも掴めないのです。


「私達が観察してきたテラビト達の中には、既に、無意識ではありますが、何かに気づいている者もいます。この数が臨界点を超えた時、テラに何かが起きます。それまでに、それらを理解する者達を少しでも増やす事が大切です」


猫沢さんは、地球人サンプル達の小さな変化に気づいていたのです。


最初(2013年)に、初めて接した地球人達よりも、次の年に、新たに接した者達の方が、理解力に優れ、すんなりとコンタクトが取れるようになった事を伝えました。 


「それは驚いた…」


「しかし、カルカナル磁場は強力ゆえに、彼等は葛藤を強いられています。気づいてしまった者達を、カルカナル世界側へ引き戻す者達との争いに疲れ果て、半ば、苦悩しながら生きているのです…」


「苦悩しながら…?それは…まるで、20年前の私の姿と同じではないか?」


寅次郎博士は、当時の自分を思い出しました。ジャッコ博士と出会った時に知った、あの事を…


「その通りです。例外もあります。中には、カルカナル磁場の隙間を自由に駆け廻り、折り合い付けてうまく生きているテラビトもいます」


「…なるほど」


「はい」


猫沢さんは、明るい表情で、うなづきました。


「寅次郎博士は、テラは多様化した目的を持った生命体達が、生きる星と言いました。私達も、ようやく、何故、この星に来たのか解って来ました…」


かつて、カルカナル磁場に支配され、逃れ、進化してきた猫達は、再び、カルカナルと向き合い、何かを見出だす為に地球に来た事に、気づき始めていたのです。


「ジャッコ博士は、あの時「何があろうとも、必ず助け船を出すから」と約束してくれた…君達が、その助け船だったんだな…」


あえて、覚醒困難な星に生まれる事を覚悟して、任務にやって来た寅次郎博士達は、猫達の律儀さや素直さに感謝するのでした。


その頃、門田さんは、ゴソゴソと鞄から大きな黒いファイルを取り出しました。


そう、あの絵です。


[つづく]


(※このブログでは、ブログ小説【猫沢さん作品[幻想の魚の秘密]】架空のSF物語を展開中です。


物語と共に、登場猫達の紹介や、作者と猫達との交流を中心に発表しています。


そんな楽しい猫の星の世界観第3弾を、東京.高円寺[猫の額]さんでの個展にて発表。2016年6月に開催いたしました(^O^)


2017年の6月も、幻想の魚の秘密.第4弾を展示決定しました!既に準備は始まっています。お楽しみです。


猫沢さん作品の挿絵のポストカードは[猫の額]さんでも購入出来ますよ(^O^)


※この猫物語は、私の好きなミュージシャン平沢進氏の楽曲をBGMに流しながら浮かんだインスピレーションを元に綴り上げる実験的SF物語制作の一環です)


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