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13th hour garden

幼なじみ (※閲注です)

2017.02.11 14:21

去年の年末に書いてた話(こちらはまだUPできないw)から派生した小鉄&狭霧話です。

ぶっちゃけ&イキナリな設定での

恋愛

ヴァージョンですww

キラいな方は避けてください~ そして、読む読まないの選択と読んだ場合の結果は自己責任ということでよろしく(笑)


***


それは例によって、狭霧の文句から始まった。

そのとき、二人は居間で夕食後の時間をそれぞれ別のことをして過ごしていた。狭霧はちゃぶ台の上にノートを広げて辞書を片手に課題文の英訳に取り掛かり、小鉄はその隣で読みかけの本のページを開いていた。

だが、大して時間が経たないうちに狭霧は持っていた鉛筆をノートの上に放り出し、突然、もう我慢ならないといった口調で叫んだ。

「ああ、もう、何なんだよこれ!」

その叫びを聞いた小鉄は本から眼を上げると、冷静な顔で聞いた。

「どうかしたのか?」

「どうかしたのか、だって?」

狭霧は小鉄の顔をねめつけると、真っ直ぐ人さし指で差した。

「これは何だよ?」

「何とは?」

小鉄が聞き返すと、狭霧は癇癪を起こして言った。

「距離だよ、距離!どう考えても近すぎるだろう!」

そう言われて、小鉄は改めて狭霧と自分のいる位置を交互に見た。近いとは言っても、狭霧がノートや辞書を広げる余裕は空けてあった。

「お前の勉強の邪魔にはなってないと思うが」

「邪魔してるだろ!そんなに近くにいられたんじゃ、気になって集中できないんだよ」

「別に俺は気にならないが・・・」

「誰がお前の話をしてるんだよ?」

一向に埒があかない小鉄との会話に狭霧は苛立ってきたようだった。

「とにかく、何でもいいからもうちょっと離れてくれよ、頼むから」

最後には懇願する口調になって狭霧は言った。

「何故?」

小鉄が聞くと、狭霧は一瞬返事に詰まったような表情をした。視線を斜め下に落とすと、ぼそっと答えた。

「・・・だって、お前、すぐ手を出してくるじゃん」

少し顔を赤くして言いにくそうに狭霧が言うのを聞いて、小鉄は二の句が継げなくなった。それは、確かに狭霧の言う通りではあるのだが・・・

「と、とにかく、六畳の部屋に二人しかいなくて、その両方が1メートル四方内にいる必要はないだろ」

互いの間に漂う気まずい空気を振り払おうとするかのように狭霧は言った。

例え六畳が二十畳の部屋であっても、自分たちのような関係の者同士の場合、できるだけ近くにいたいのが普通ではないだろうか。そう小鉄は思ったが、口には出せなかった。お互いの関係について、狭霧との間にかなりの認識のずれがあることに小鉄も最近では流石に気付いてきていた。

結局、小鉄はちゃぶ台を狭霧に譲り、自分は部屋の反対側の壁際に座って読書の続きをすることになった。そのまま1時間以上が過ぎ、ふと、小鉄は部屋の中が静か過ぎることに気が付いた。狭霧が鉛筆でノートに書き込む音や辞書をめくる音が聞こえなくなったためだと思い至り、本から顔を上げて向かい側を見ると、狭霧はノートの上に突っ伏して寝息を立てていた。

「狭霧。寝るんなら部屋に行って休んだらどうだ」

小鉄は座ったまま声を掛けたが、狭霧が気付く様子はなかった。

「仕方ないな・・・」

距離をとれと言ったのはお前だろうに。小鉄は溜息をつくと本を脇に置いて立ち上がり、狭霧の側まで行った。狭霧の傍らで片膝をつき、肩に手を置いて軽くゆすって名前を数度呼んだ。だが、狭霧はすっかり眠りこんでしまったらしく、全く眼を覚ましそうになかった。

小鉄は居間の隣にある狭霧の部屋へ入ると、押し入れから布団を出して床に敷いた。居間に戻り、眠っている狭霧の身体を両腕に抱き上げて隣の部屋へ運び、布団の上に寝かせた。掛け布団を掛けようとしたとき、狭霧が寝返りを打った。

「ん・・・」

仰向けになった狭霧は軽く眉を寄せた表情で、寝返りを打ったときに動かした右腕をぱたりと布団の上に投げ出した。だが、表情はすぐに穏やかなものになり、再び安らかな寝息を立て始めた。ただでさえ幼く見える童顔が、ますます子供っぽく見えた。

小鉄は眠る狭霧を見下ろしてその顔をじっと見つめた。子供の頃、隣で眠る狭霧の顔をこんなふうに眺めたことがあったことを小鉄は思い出していた。手を伸ばして狭霧のさらりとした前髪にそっと触れると小鉄はつぶやいた。

「隙だらけだな、狭霧・・・」

起きているときだけ俺のことを警戒しても、これでは意味がないだろうに。小鉄はそう思ったが、負けたのは自分のほうだと分かっていた。

小鉄は狭霧の髪に触れた手を引っ込めると軽く握りこんだ。それから、狭霧の身体に掛けた布団を直すと立ち上がり、明かりを消した。

「お休み、狭霧」

眠っている狭霧に囁いて、小鉄は静かに部屋を出て行った。


「っかしーな、俺、昨夜いつの間に自分の部屋に戻ったんだろ」

朝になって狭霧が首を捻りながら起きてきた。

「ノートの上に突っ伏してたから俺が運んだんだ」

先に起きて台所にいた小鉄が、水を入れたやかんを火に掛けながら答えた。

「あ、ああ、そっか。悪かったな・・・」

狭霧は言って途中でギクリとしたかのようだった。小鉄を上目遣いで見ると、恐る恐る聞いた。

「・・・まさかと思うが、お前、俺が寝てる間にヘンなことをしたりなんかしてないよな?」

「変なこととは?」

小鉄は知らぬふりをしてにっこりと微笑んで聞いた。

「い、いや、何もないならいいんだ」

「例えば・・・」

小鉄は狭霧の肩に腕を回して引き寄せると、耳朶にキスをした。

「こんなこととか?」


次の瞬間、小鉄が狭霧の一発をまともに喰らったのは言うまでもない。

                                    (了)