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富士の高嶺から見渡せば

「慰安婦像」を子供にどう説明するのか⑥

2017.01.25 09:00

<「癒やし金」を受け取っても公表できない被害者たち>

2017年1月24日夜放送のNHKクローズアップ現代プラス「韓国 過熱する”少女像“問題~初めて語った元慰安婦~」は、NHKによるひさびさの特ダネといえる取材だった。人物を特定できない完全な「ぼかし映像」ではあったものの、3人の元慰安婦とされる女性とその家族が登場し、日本政府が提供した「癒やし金」1億ウォンを受け取ったその心境を、直接カメラの前で語っていたからだ。そのうちの一人は、慰安婦像をめぐる最近の韓国内の状況に対して「(韓国の人たちは)これまで自分が味わってきた苦しみは何も理解していないくせに、わあわあ言って騒ぐだけだ」と非難していた。またもう一人は認知症を患い「癒やし金」を受け取ったことも忘れていたが、病気になる前にお金を受け取ることを表明していたため、家族が替わって手続きをしたらしい。その家族は「日本政府からのお金を受け取ったのだから、日韓両政府の合意に従って慰安婦像を撤去するのは当然だ」と話していた。

いま現在、生存する40人前後の「元慰安婦」のうち、34人は日本政府による「癒やし金」を実際に受け取り、「日韓合意」を受け入れているのである。このことは韓国内ではほとんど報道されず、「元慰安婦」とその家族たちは、日本政府の金を受け取ったことを世間に公表すれば、大バッシングを受ける。テレビの取材に顔も出せず、映像をぼかし音声まで変えなければならないことが、何より彼女たちが抱える厳しい状況を示している。

NHK番組に出演した静岡県立大学の奥園秀樹教授も言うとおり、「元慰安婦」といわれる人たちの年齢はみな90歳以上で、彼女らの心の救済は時間との勝負になっている。慰安婦像の設置と日韓合意の破棄にこだわる挺対協をはじめとする「親北・反日」の活動家グループは、「元慰安婦」たちの現状や彼女らの本当の気持ちを理解しようともしていないのである。

大統領選への出馬に意欲を示す潘基文(パン・ギムン)前国連事務総長は、慰安婦像の撤去問題について、「もし(日本政府が拠出した)10億円が少女像撤去の対価なら、決して受け入れられない」、「何よりも慰安婦だったおばあさんたちの恨(ハン)を解きほぐすことが重要」と強調した。(聯合ニュース1月25日「10億円が少女像撤去の対価なら受け入れられず=潘前国連総長」)

潘基文氏はそれ以前にも「10億円が慰安婦像撤去と関連しているのであれば返すべきだとも発言している。10億円をたとえ韓国側が一方的に返してきたとしても、元「慰安婦」とされる老婦人34人が、一人1億ウォン(1000万円)の金を受け取ったという事実に変わりはなく、このことはたいへん重い意味を持つ。彼女たちは受け取るお金が「日本政府の予算の中から支出されたお金」であることを承知の上で、しかも日韓両政府がこの問題の「最終的かつ不可逆的な解決」を宣言した上で、韓国側に支払われた金であることを理解したうえで受け取っているのだ。「おばあさんたちの恨(ハン)を解きほぐすことが重要」だというが、彼女たちは世間の厳しい批判を覚悟の上で、苦しい選択をし、心の整理に決着をつけたのではないか。

韓国の「中央日報」2016年10月19日によれば、 女性家族省の姜恩姫(カン・ウンヒ)長官は、去年10月、韓国国会で「多くの被害女性の方々は(日韓合意に)賛成し、この合意に感謝の気持ちを表現している」と明らかにしていた。 (「中央日報」2016年10月19日韓国女性家族部副長官「韓日慰安婦合意、被害女性ほとんどが賛成…反対は少数」)

被害者の気持ちを理解していないのは、韓国の政治家と反日を煽る活動家だけであることが分かる。彼らの目的は慰安婦問題の解決にあるわけではなく、かれらの政治目的を実現するための一つの有効な手段として慰安婦問題が利用しているに過ぎないからだ。つまり日本を攻撃、非難の対象とし、侮辱することは、誰からも反発を受けず、無知盲目の国民をひとつにまとめる手っ取り早い手法だ。その先にある彼らの未来は、おそらく間違いなく宗主国「大中国さま」いいなりの属国となり、李氏朝鮮の古代への先祖帰りしか、道は残されていないと思われる。