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住まい逍遥

緑に潤う中庭型3階建ての家_建築家の自邸レポート_1

2021.07.10 10:28

これから数回に分けてご紹介するのは、リオタデザイン/関本竜太さんのご自邸、「OPENFLAT」です。2007年に竣工した3階建ての建物で、コの字型に中庭を囲んでいるのが特徴。1階にはリオタデザインのオフィスが併設され、2階は関本さんの世帯、3階には親世帯がある二世帯住宅でもあります。

場所は閑静な住宅地。前面道路は少し幅が広くゆったりしていますが、交通量はさほど多くありません。パッと見は、ガラス張りでビルのような、少し硬質な印象。でも側面の外壁は左官仕上げで、ただのつるっとした箱ではないなー

近づいていくと、ガラス面と繊細な木の縦ラインとの組み合わせで、クールな中にもぬくもりが感じられます。バルコニーを覆う縦ルーバーがかなり細くて密なデザイン。RC(鉄筋コンクリート)造だからこれだけの開口部がとれるのですね。

道路側の1階部分はピロティになっており、敷地へのゲートであり、駐車スペースです。奥に中庭がチラ見えして、庭好きの人なら興味をそそられそう。ピロティの内側の壁も左官仕上げで、あたたかみがありますね。

構成を把握するため、間取りを見ておきましょう。

板壁に2つの世帯それぞれのインターフォンと、その右にポストが並びます。庭を眺めながら、デッキ張りのアプローチをさらに進むと、右手に玄関ドアがあります。

ちょっとわかりにくいかもしれませんが、庭に入り込んで玄関を正面から見たところです。ガラス面、木製のドア、コンクリート打ち放しの外壁、庭の緑、というように、硬軟ミックスが心地よさとカッコよさの両方を満たしています。

コンクリート打ち放しの外壁には、木目が。ドロドロのコンクリートを成形するのに「型枠」を組んでその中に流し込みますが、その型枠に「徳島焼杉」を使ったのだそうです。硬いはずのコンクリートなのに、触ってみたくなるようなやわらかさが見た目に加わっています。これも硬軟ミックス。

玄関前から道路側を振り返るとこんなふう。ピロティがあることで、すごく奥まった感じがして、落ち着きます。街に対して完全に閉じないところが、お互いの安心感につながるような気がします。

中庭から見上げた風景。中庭に面した外壁は、レッドシダーの板張り。ガラスとの硬軟ミックス。

中庭の造園は「耕水」さんです。デッキ張りの園路と、大理石の一種「トラバーチン」で地面を覆っています。それなりに面積のあるお庭なので、土の露出部分を少なくすることは、雑草管理などの手間を抑えるのに有効です。関本さんは造園家からトラバーチンを提案されたとき、想定外に洋風のイメージが強くなりそうだと感じ、戸惑ったのだとか。提案の理由は、3階建ての建物に3方向から囲まれる井戸の底のような庭なので、地面を白い石で覆い明るさをもたらすため。関本さんは暮らしてみて、その効果に納得したそうです。撮影は春で太陽高度が高い時期でしたが、光が入りにくくなる冬季は、よりこの白さが生かされそうです。

庭のベンチはまるで彫刻のようなこったデザイン。奥にはオフィスの窓が見えています。

玄関に入ります。

大きなガラス面から庭がよく見えて、外と内があいまいな感覚に。

室内の天井と外部の軒部分がフラットにつながり、より内外の連続性を高めています。ガラスがはまっているのですが、ないみたいですね。

この玄関は、1階にあるオフィス、2階、3階の住居への共通の入り口ですが、2,3階にはそれぞれまた玄関があり、土足のまま上階へ上がります。写真は玄関入って左側を見たシーン。突き当り左手がオフィスになります。木目付きのコンクリート壁がここにも。

これがオフィスの打ち合わせスペースです。窓から見えるお庭の眺めが最高で、リラックスしながら打合させができそうです。このペンダント照明は、北欧通の関本さんが特別なルートで入手したレアものだそう。

次回は2階の住居部分をご紹介しますので、お楽しみに。

この庭と住まいを、動画で立体的に疑似体験していただけますので、ぜひご覧ください。

サムネイルに使用した写真に写っている本は、関本さんの著書「伝わる図面の描き方」です。

関本さんの主催する設計事務所リオタデザインのHPもぜひ!



【DATA】

OPENFLAT

所在地 埼玉県 

鉄筋コンクリート造地上3階 事務所併用二世帯住宅

家族構成/母世帯2人,子世帯3人(夫婦+子)

設計 関本竜太/リオタデザイン https://www.riotadesign.com/

植裁計画 耕水 http://www.k-kousui.co.jp/

施工 堀尾建設

敷地面積 150.40㎡

建築面積 89.90㎡

延床面積 222.70㎡

1階 46.92㎡

2階 87.89㎡

3階 87.89㎡

竣工 2007年3月

外部仕上げ

屋根/軟質塩ビシート防水

外壁/マジックコート左官塗り(HMS),

防火処理レッドシダーボード(ウィルウォール ボード&バテン)

一部徳島焼杉型枠打放し

開口部/アルミサッシュ(住宅用,一部ビル用),木製カーテンウォール(造作)

内部仕上げ

事務所

 床/コンクリート直押さえ 防塵塗装

 壁/使用済み杉板型枠張り

 天井/コンクリート打放し

LDK

 床/信州カラマツ無垢うづくり加工t15 OF

 壁/PB t=12.5 越前和紙張り(玉紙)

 天井/徳島焼杉型枠打放し

主な使用機器

照明/マックスレイ,ヤマギワ,ニッポ,モデュラー

建築金物/スガツネ,アトム,堀商店