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旅のチカラ、旅のカケラ

風の谷の少年

2008.05.16 12:00


風の谷の少年

パキスタンのフンザにいる。

ここの景色は「風の谷のナウシカ」。

切り立った谷の斜面に、いくつもの村が形成されている。


昨日はフンザに着いたのが夕方だったので、

村の一部しか見ていなかったが、

それでも感嘆のため息が漏れた。

風の谷をもっと見たい!

そう思って眠ったせいか、

午前5時に目が覚めてしまった始末だ。

気持ちが昂っていると眠気はどっかにひっこんでしまうもの。

いつもこんな風に職場に向かえたらどんなに楽だったことか…。


ここフンザはパキスタン北西部に位置する地域で、

1974年まで藩王国として存在していた。

桃源郷と謳われ、長寿の里として知られる場所である。

バックパッカーにとって憧れの地で、

春の杏の花、夏の緑と山々の景色、秋の紅・黄に染まった木々と

それぞれの季節に美しい景色を魅せてくれる。


朝食はクッキーで済まし、待ちきれず外へ飛び出した。

少し歩いてはシャッターを切る、

もう少し進むと今度は振り返ってパシャ。

もう水前寺清子状態…、3歩進んで2歩下がる

そんなだから、村を1周するのに半日がかり。

昼過ぎにようやく本来の目的地である

「イーグルネスト」という村を一望できる高台を目指し始めた。


宿の人の情報によると片道2時間。

1本道だから簡単と、軽~く教えてくれた。

ところが…、迷路のように入り組んだ道や急な斜面、

ここは道?みたいな水路の脇を通り抜ける。

途中何度も道に迷い、すれ違う人に

「ハロー」と「イーグルネスト」を連呼して歩いた。


バルティットフォートという、かつての要塞を過ぎた頃

ふたりの少年に出会った。

10歳くらいだろうか?流暢な英語で話しかけてきた。

「イーグルネストはこっちかい?」(KAZ)

「そうだよ、ついておいで」(少年)

ひとりはスタスタを慣れた道を行き、

もうひとりは何度も振り返って気遣ってくれた。

「ここは古い井戸だよ」

「これは●●っていう花だよ」

「ヤギを飼っている家を見るかい?」

と、いっぱしのガイドだ。


崖を滑り下り、川を渡り、大きな岩をよじ登った。

頭の中には『スタンド バイ ミー』が流れてきた。

30分ほど歩いたあと、木陰でひと息入れて

なぜか元来た道を進みだした。


「イーグルネストはこっちなの?」と訪ねると、

「今日はこれから学校があるんだ。だから続きは明日」

と、ケロっとした顔で言う。


えぇ、そんな…(泣)


さすがスローなアジア。このゆとりがときどき羨ましくなる。

でもアジアを旅していると、

すぐに「まぁいいか」と思えるから不思議だ。


少年たちと別れ、再び村を散策。

フンザの人はどれだけ日本人好き?と思うほど

「コンニチワ、オゲンキデスカ、アリガトウ」と

知っている日本語の波状攻撃に遭う。

そして必ず握手を求められるか、写真を撮ってくれとせがまれる。

これほど友好的だと、この後のインドでギャップに苦しむかも…?


太陽が西に傾き、斜面の村を満遍なく黄色く染めた。

キラキラと杏の木々がきらめき、

ブルカ姿の女性が光に包まれて神々しい。


そして谷を抜ける風――。


今日もたっぷりと癒しをくれたパキスタン。

明日はこの谷にどんな風が吹くか楽しみだ。