緑に潤う中庭型3階建ての家_建築家の自邸レポート_2
リオタデザイン関本竜太さんのご自邸レポート、2回めです。1回目では外観から中庭、1階玄関とオフィス部分まで解説しましたので、よろしかったらご覧下さい。
今回は関本さん一家3人が暮らす2階部分をご紹介します。まずは2階の間取りから。
階段のところが住戸の玄関になります。
炭入りモルタルのたたき。弧を描く上り框がたたきの奥行きの浅さをカバー。見た目にも広がりが感じられます。靴箱の扉は有孔ベニヤ。通気がよく、見た目もチャーミング。
もう少し引いた写真。奥にリビングが見えます。廊下はガラス張りで、中庭を一望できます。
くるっと振り返ると個室・水まわりゾーン。パブリック(リビング)とプライベート(個室・水まわり)の間に玄関・廊下を挟むことで、距離感が出ています。開放(パブリック)と閉鎖(プライベート)のメリハリも明確に。
左の鉄骨階段は3階へと続きます。親世帯とは、玄関やキッチンなど諸機能を完全に分離し「スープの冷めない距離」を実現しています。ホームエレベーターもあるので、将来的にも安心。木目付きコンクリート壁を飾るのは、お子さんのアート作品。まとまった壁があると、飾る楽しみができますね。
こちらがLDKです。関本さんは観葉植物がお好きで、徐々に増えてきているようです。南側が全面ガラス張りでとても日当たりが良いのです。コンクリートスラブ(床下の基盤)の上に水の入った丈夫な袋を並べ、昼間の太陽で蓄熱する「アクアレイヤー」が採用されています。この家は2007年の竣工ですが、住宅の省エネ化がますます重要になってきた2021年現在、もっと注目されるべきアイデアだと思います。中央はベルトイアのラージダイヤモンドチェア。
対面のアイランドキッチンは、リビングと一体空間だけれども雑然としがちなキッチン内を見せないつくり。ダイニングのチェアはアアルト、ダイニングテーブル上のペンダントライトはユハ・レイヴィスカJL341。関本さんは北欧の建築やデザインがお好きで、フィンランドに留学していたほど。
天井も木目付きコンクリート(1回目の記事に解説あり)。無機質なコンクリートに有機的な木目を付けたことで、植物との相性がとてもいいです。
カウンター上には、フラワーアレンジメントをされている妻の心づかいが。
ダイニングから、中庭がよく見えます。
窓辺に寄って、中庭の見下ろし。玄関にだれか来たときも見えますね。
上を見上げると、空も独り占め。
何気なく、3階の親世帯の様子も感じられるのがミソ。機能的には上下で完全に分離されていても、すぐそばで暮らすことの安心感が得られます。
中庭のベンチの奥がオフィス。関本さんが夜まで仕事をしていると、窓の灯りが見えるはずです。
ダイニング越しにリビングを見たところ。
畳2枚分の小上がりがベンチであり、ごろ寝スペースにも。もしここに背もたれ付きのソファーがドカッとくると、空間が分断され圧迫感も出るかもしれません。そして、ソファに座ると視線がTVに限定されますが、この小上がりならいろんな向きに座れます。下部は収納として利用。いろいろな点で、クレバーなアイテムですね。
奥の赤い壁は越前和紙貼り。観葉植物の緑と補色の関係で、黄色のイームズチェアとともにちょっとラテンなカラーでありつつ、畳・和紙・信州カラマツうづくり加工の床といった和のテイストが混在します。
これで関本邸のレポートは終わりです。
このお宅の庭と室内を、以下の動画でより立体的にご覧になれます。
この家を設計した関本さん(リオタデザイン)のHP、詳しい仕上げなどのDATAは、1回目の最後に記載していますので、ご参照ください。↓
お読みいただき、ありがとうございました!