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イギリス紀行11

2021.08.05 09:30

終わったあとも、その気分を引きずり、そのまま日本に帰りたくなった。舞台挨拶の予定もあったけど、そのまま黙っていた。少し落ち込んでいた。すると後ろから拍手が起こった。え?って思うと、数人の観客が話しかけてきてくれた「きみが監督かい?よかったよ。感動したよ。」って英語で。えーそうなの?ほんとに?その反応も海外ならではで、戸惑った。これは半分お世辞ととらえていいじゃないだろうかと。


特にほめてくれたのはアメリカ人の監督さんで、クリスという人だった。「いや、ほんとよかったよ。涙が出てきたよ。コングラチュレーション。」とまで言ってくれて、握手を求めてきてくれた。それで一気に気持ちが明るくなった。「ありがとう。」って答えながら、映画の話をした。やっぱりアメリカ人ってポジティブだよな。日本人はネガティブだし、たぶん英国人でもあそこまで言わないだろう。アメリカについては、ちょうどトランプ大統領の時期だったからあれこれ言われてたけど、それでも好きな人たちだなって思った。


その後は三作品ほど他の監督の映画を見た。ひとつはアメリカのポップな若者の話(これは会場に監督や関係者は来てなかった)。もう一つはインド人の女性監督のプライベートフィルムみたいな美しい風景短編。これは監督さんが来てて、少し話したりした。あと最後がエストニアの監督の長編映画。これが一番多くの観客や関係者が来てて、大物感があった。ちょっと他とは違う、って感じ。内容はすごく実験的で、フィルムノワールみたいなんだけど、モノローグが入ったり、アートフィルムの感じがあったり。ロシア映画っぽさもあって、それはエストニアの地理的・文化的な影響かもしれない。世界には色んな映画があるんだなって改めて思わされたし、会場の雰囲気に少し気押されたりした。