小川隆夫著「MILES SPEAKS」
今年はジョン・コルトレーン没後50年だが、昨年はマイルス・デイヴィス生誕90年で没後25年だった。
一昨日あたりからコルトレーンを聴きながらチビチビやっていましたが、昨日の夜から小川隆夫「MILES SPEAKS」を読んでいます。小川さんはマイルスからマイ・ドク(My Doctor)と言われ、日本人で一番帝王を取材した整形外科医でJAZZジャーナリスト。
85年、マイルスにキャンセルしたいと告げられた最初のインタビューが予期せぬ幸運が重なり実現する。しかも、小川さんが整形外科医だと知り股関節手術後の状態が思わしくないマイルスが「この傷を見ろ。どういう手術かわかるか?」と切り出した結果、小川さんがマイルスにリハビリメニューを渡すことになる。このことで二人の距離が一気に縮まった。まさに、「医は身をたすく」だ!
そして2度目の会見の時に「おまえのメニュー通りにやった」と知らされる。マイルスは痛みからかなり解放されていた。そして、別れ際にメモを渡しながら言った言葉が「オマエはオレのドクターだ、マイ・ドク、いつでもこの番号に電話しろ。いいな、いつでも構わないぞ」でした。
それから始まるマイルス体験記にはあのダミ声のマイルスの肉声が息づいている。ディジー・ガレスピーのように速いパッセージが吹けないマイルスは「間(スペース)を生かしたフレーズを吹け」とチャーリー・パーカーによく言われたという。それが個性を磨くことになると。
さて、これからページをめくるとどんなエピソードが出てくるのか楽しみです。
間(スペース)を生かすマイルスとシーツオブサウンドに向かったコルトレーン、同年二人の巨人のアプローチは違ってもJAZZはいまだに二人が起こしたビッグバンで生まれた宇宙にいるようだ。