忘れ物は…と ワスレグサ
忘れ草(わすれぐさ)
一日咲いたら、咲いたことを忘たかのように萎れてしまうところから『忘れ草(わすれぐさ)』。
一日花と呼ばれるモノだが、実際は2〜3日は同じ蕾の花が咲いたりするので厳密には一日花ではないが、代わる代わるに次の蕾から新しい花が咲くムラサキツユクサ等と同じタイプ。
その昔、中国ではワスレグサ(忘れ草)の花を身につけたり見たりするだけで“憂いを忘れさせてくれる”とも言われていた。
葉っぱが"萱(かや)"に似ていることから漢名で「萱草(かんぞう)」と呼び、八重咲のモノを、草むらに咲くので(?)「藪萱草(やぶかんぞう)」。一重咲のモノは野に咲くので(?)「野萱草(のかんぞう)」と呼び分ける。
※八重咲と一重咲とで咲く場所が変わるとは思えないが…
いつの頃からか、拙宅の脇の草むらに夏になるとニョキっと伸びてきてオレンジ色の鮮やかな花を咲かせるようになった。
道草や雑草を観察して花の名前を調べるのを趣味としているうちに、我が家の自然庭園(手入れしてないだけ、とも言う)にも季節に合わせて色んな花が咲き、中々風流なモノだと勝手に悦に入るようになってきた今日この頃。
ワスレグサ(忘れ草)に対応するワスレナグサ(勿忘草)は「紫苑(しおん)」のことを指す。
「今昔物語」中のワスレグサ(忘れ草)とシオン(勿忘草)にまつわる鬼の逸話はシオン(紫苑)の頁に記載しているので参照のこと。
この逸話から"鬼萱草(おにかんぞう)"とも呼ばれる。
萱草と紫苑、共に漢語音読み花名で原産は中国北部・朝鮮半島。恐らく古墳〜飛鳥時代あたりに渡来人とともに日本にもたらされたモノなのだろうか。
万葉集より
忘れ草 垣も繁みに植えたれど
醜(しこ)の醜草(しこくさ) なお恋にけり
(作者不詳)
意味:忘れ草を垣のところまでたくさん植えたのに、この草は憎いくらいに効き目がなくて…余計にあの人のことが恋しい…
花言葉:愛の忘却/悲しみを忘れる/憂いを忘れる/宣告