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KENO, a part-time photographer

センサーサイズとイメージサークルとオールドレンズの話

2021.07.14 14:47

世の中多くのカメラがミラーレスになってきていますが、ミラーレスはこれまでのレフレックスカメラが機構の進化で値段が上がってきたのに対して、ソフトウェアによる付加価値がメインで値段が上がってきています。

ライカのような工芸品や、メカとしてのNikonが好きな人からするとこういうのはおもちゃだ、って感覚になるようですが、ゲーム機とかと同じですね。

さて、ミラーレスのメリットとして過去の様々なオールドレンズを使いやすいというのがあります。

何故ミラーレスだとオールドレンズが使いやすいかというとフランジバックが短いので、マウントアダプターを付けやすいから、ですね。

ミラーレスカメラの欠点というか近年のレンズ全般に言えることですが、お値段が高いこと。

お値段が高いので、比較的手頃な価格で入手できるオールドレンズが人気なのだと思います。また、オールドレンズはコーティングやレンズの素材がショボいので盛大にフレアが入ったり、画面の隅のピントが甘くなって画面の中心に視線が行くようなふわっとした絵が撮れることから、Instagramで映えるというのもあって人気のように思えます。

さて、そんなオールドレンズを使う時に、どんなカメラを使うか、悩ましいですよね。

その話をしたいと思います。


ミラーレスカメラってセンサーサイズがいくつかあります。

それぞれのセンサーサイズを比較してみましょう。



紫が4/3(フォーサーズ)センサです。OLYMPUSやパナソニックのGシリーズがこちらのサイズですね。

青がAPS-Cセンサです。人気のZfcなどのニコンDXフォーマットの機種やソニーのα6000シリーズ等がこのサイズになります。

黄がいわゆるフルサイズ、35mmフィルムサイズになります。

左上に寄せて比較している絵はよく見かけますがセンターを合わせると大きさに圧倒的な差があることがよくわかると思います。

画像の目盛り1つが大体1mmと思ってください。

センターに合わせていますので、みていただくとわかりますが、フルサイズ35mmはAPS-Cより左右に5mmずつくらい幅が広いですね。

APS-Cもフォーサーズに比べると左右に3mmずつ幅が広いですね。フォーサーズとフルサイズで比較すると左右に8mmくらい幅が広いことがわかります。


ここで急に難しい話をしますが、レンズのカタログ見てたらMTF曲線って言うグラフがあるのを見たことがありませんか?アレってなんやろっておもいつつ大体スルーしてると思いますが、まずはアレの意味してることを知ってもらうことが大事です。

ググったらシグマさんがいい感じの解説記事を書いてくれていました。

簡単にまとめると、横軸がセンサーの中心からの距離、縦軸がどれだけ元の画像を写しているかの度合い(1が最高)というグラフになります。

つまり、こういうことですね。


この矢印が右に行くに従って映像の再現性がどれだけ高いかを示したグラフ、ということです。

ここでソニーのあるレンズのMTF曲線を見てみましょう。


(引用元)

ここで謎の円の説明をします。

image-circleと書いていますが、レンズを通った光はこの円位の所に当たります。この絵では35mmセンサー用のレンズをイメージしていますが、35mmセンサーがすっぽり入るような円が描かれるように設計されています。そうしないとセンサーの隅っこに何も写らなくなっちゃいますからね。

35mmのセンサーがすっぽり入るくらいには光が当たりますが、画面中心からの距離が18mmより外側はセンサーがなく写りません。

つまり、MTF曲線のグラフで画面中心からの距離が18mmあたりより右側はガクッと落ちていても(=画質が劣化していても)問題ないわけです。

SIGMAのページの解説によると10本/mmはコントラストを表しているとありますので、まずはオレンジの線を見ていきましょう。

これを見ると実線が16mmくらいのところでガクッと落ちていますね。ここでコントラストが落ち始めると言うことがわかります。

次に比較のためにもっとやっすいレンズで見てみましょう。

(引用元)


やっすいレンズだとわかりやすいですね。こちらは緑の実線を見てみましょう。

先ほどの超高級レンズがイメージサークル外で落ちていったようなあたりの数字に、中心から12mmくらいの距離でもう到達しています。これがレンズの値段の差、ですね。

(余談ですが最初のMTF曲線のレンズは25万円、やっすい方は3万円くらいのレンズです)

中心から12mmというと、APS-Cのセンサーのサイズくらいのところでだいぶ性能が劣化している、ということになります。なんでこれフルサイズ用なんでしょうねw

つまり、最近のレンズはセンサーの隅々までしっかり高画質で記録できるのに対して、安いレンズは端に行くほどどんどん画質が劣化していく、ということになります。

さて、ここで思い出してください。

オールドレンズの魅力ってなんだったでしょうか。端に行くほどいい感じにボケる、暗くなる等々でしたね。そうです。安いレンズってオールドレンズみたいな特性なんですね。


ここでもう一度、イメージサークルとセンサーサイズの絵を見てみましょう。

オールドレンズにもよりますが、オールドレンズと言っても元はといえば35mmフィルム用のレンズ。つまり真ん中の方は実はそんなに画質が劣化しないんですね。

もちろん経年劣化で劣化してるとかはありますがそれはそれで置いといて、真ん中の方はオールドレンズらしさが享受できないんです。

先ほどの安いレンズはAPS-Cのセンサーサイズでもその周辺の画質の甘さを享受できませんでした。

オールドレンズも同じような特性だとしたら……?

Instagramで見かけているようなオールドレンズらしい写真がなぜかフォーサーズ機で撮れない、APS-C機で撮れない……そんなことで悩んでいないでしょうか?

物理的に当たり前なんです。オールドレンズでおいしい思いをしたかったらフルサイズを買え、もうこれだけ覚えて帰ってください。


そんじゃーね。